FEATURE
FULL BLOWN CHAOS
2011.01.07UPDATE
2011年01月号掲載
Writer 米沢 彰
4年ぶりとなる5作目のアルバム『Full Blown Chaos』を生み出した、ニューヨーク・ハードコア(NYHC)の最重要バンド、FULL BLOWN CHAOS。これだけ待たせて、更に5作目にして初のセルフ・タイトルという“満を持して”のリリースとなる本作を世のハーコー・キッズ達は大きな期待を持って待っていることだろう。2月9日にアルバムをドロップ、そしてそのリリース直前には日本が誇るハードコア・フェス、PUMP UP THE VOLUME FEST 2011(1月29日@川崎クラブチッタ)への出演を含む日本ツアーも組まれており、FULL BLOWN CHAOSが今年の台風の目となることは間違いない。
初のセルフ・タイトルとなった「Full Blown Chaos」の制作にあたっては、Mark Gumbrecht(Gt)が新メンバーとして加入し、ツイン・ギター体制で臨んでいる。その意図は作品を一聴すればすぐに伝わってくるだろう。これまでもHATEBREED直系のモッシュ・スタイルにブルータリティを加えたスタイルを貫いていたが、そこに更にギター・サウンドが強化されたことで、サウンド全体に厚みと多様性を生み出すことに成功している。もはや、ハードコアと一言で括るにはちょっと難がありそうなぐらいに、、、というか、曲によってはメタルと呼んだ方が適切だと思える曲が多々あり、正にジャンルを跨いだ作品に仕上がっている。Track.5「Silence Is Golden」などで聴けるギター・ソロは生粋のメタラー達をも唸らせる繊細さが感じられる一方で、ほぼ全編通してハーコー・キッズ達がブンブンしまくること間違いなしのHATEBREEDばりの凶暴なモッシュ・パートが散りばめられている。2本のギターが、重くザクザクと刻んでみたり、繊細に奏でてみたりと大きく緩急をつけていることで、良い意味で特定のジャンルに固まっていないのだ。それにしてもTrack.5「Silence Is Golden」のギター・ソロはメタル・ファンにこそ聴いてみて欲しいものだ。この曲がハードコアへの入り口になってもおかしくないぐらいだから。
前述したとおり、前作『Heavy Lies The Crown』と比べると、今作に見られる起伏の激しさと展開の多様性には目を見張るものがある。前作も十分エネルギーに満ち溢れた良盤であったことは間違いないし、今作もそのエネルギッシュな部分や、ハードコア特有の純粋さをしっかりと受け継いでおり、ちゃんとこれまでの延長上にあると思う。
そんなFULL BLOWN CHAOSに加えて、COMEBACK KID、STRIFE、THE GHOST INSIDEら海外勢、更に国内からもENDZWECK、FC FIVE、LOYAL TO THE GRAVEらが出演と、まずとんでもない盛り上がりになるであろうことが間違いないPUTV 2011。そして、名古屋を皮切りにEDGE OF SPIRIT、EACH OF THE DAYS、THORNらと共に回る日本ツアーで、FULL BLOWN CHAOSはニュー・リリースに向けた最高のスタート・ダッシュを切ることになるだろう。ライヴで魅せてなんぼ、キッズ達と一体になるステージを作ってなんぼのハードコア・シーンの中心格であるFULL BLOWN CHAOSのパフォーマンスが今から楽しみでしょうがない。来日がリリースの直前となってしまうが、そこは良く分かっているとばかりに彼らのMyspaceには先行して一部の楽曲がすでにアップされている。今から予習して当日に備えるべし!
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