DISC REVIEW
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札幌が世界に誇るハードコア・バンド、SLANGの約10年ぶり8枚目となるフル・アルバム。9曲で約13分のコンパクトな作品だが、一曲一曲のサウンドと歌詞は磨き抜かれた短刀のように鋭く強靭で強烈。子供と老人を搾取する社会構造、腐敗した政党、沖縄の基地問題、パレスチナで起きている虐殺、人種差別主義等現代の社会情勢をストレートに描写し、それへ中指を突き立て、唾を吐き掛ける姿勢はまさにハードコア・パンクの本質だ。KOの怒りの咆哮はもちろん、暴走するビートや、もがき苦しむようなギター・ソロも焦燥感と緊迫感に拍車を掛けている。再生時間こそ短いが、それ以上の時間をかけて内容と向き合い、思考を巡らせるべき1枚と言えるだろう。 菅谷 透