DISC REVIEW
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今思えば、前作『Erra』のデラックス版でNINE INCH NAILSやAUDIOSLAVE、MUSEをカバーしていたのは本作への布石だったのかもしれない。ERRAの6thアルバムは、ジャンルの象徴と呼べる域にまで確立されたDjent/プログレ・メタルコアから、インダストリアル/オルタナ/ドリーム・ポップまで音楽性をさらに拡張した作品に仕上がった。グルーヴィなリフに抑制の効いたクリーンVoが絡み合う「Blue Reverie」や、近未来的なエレクトロ・サウンドが展開される「Slow Sour Bleed」、ほぼクリーンVoで構成された「Past Life Persona」など、メランコリックで没入感のある楽曲が実にディープ。代名詞と言える、即効性のあるハイトーンの煽情的なサビが少ないことは賛否が分かれるかもしれないが、緻密なアンサンブルと表現力豊かなツイン・ヴォーカルは新たなスタイルを違和感なく聴かせる説得力に満ちている。ジャンルの垣根を越え支持層を広げそうな、転換点となり得る作品だ。 菅谷 透