DISC REVIEW
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ブラジルの至宝、ANGRAにとって2023年はアルバム・デビューを果たして30年という節目の年であり、そのような年にリリースされる記念すべき通算10枚目のアルバムが本作『Cycles Of Pain』だ。圧倒的なテクニックと練り上げられたバンド・アンサンブル、ラテン音楽などの彼らならではの要素を取り入れつつ、複雑且つドラマチックに展開していく楽曲群はどれも粒揃いの出来栄えで、アップテンポなナンバーのみならず、ミディアム・テンポの楽曲も間延びすることなく聴かせてくれる確かなソングライティングが光る作品となった。Fabio Lione(Vo)が歌うメロディも美しく、飛び抜けてキャッチーというわけではないにせよ、大ベテランの底力を示した力作と言えよう。 井上 光一