DISC REVIEW
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ザラザラしたギターが斬り込み、疾走感に富むビートが刻まれ、そこに大らかなシャウトを決める。冒頭曲「Cannonball」には10代でパンクと出会った彼女の初期衝動が渦巻いている。その意味ではアルバム『Let Go』の「Sk8er Boi」あたりの作風を彷彿させるけれど......いや、キャリア史上最もロック色を強めた1枚と言えるだろう。昨今のポップ・パンク・リヴァイヴァルのトレンドをキャッチし、今年デビュー20周年という大きな節目に自身の原風景に立ち戻ったと思われる7thアルバム。基本2~3分台の楽曲が並び、明るく開けたキャッチーなメロディ、身も心も踊る躍動感を運ぶコンパクトな曲調は無駄を削ぎ落としたキレの良さだ。豪華ゲスト陣も華を添え、「Bois Lie」ではMACHINE GUN KELLYと親密な掛け合いを披露し、「Love It When You Hate Me」においてはBLACKBEARがラップと歌メロで応戦。さらに「All I Wanted」はBLINK-182のMark Hoppus(Vo/Ba)と共演を果たし、00年代前後のポップ・パンクの熱を現代によみがえらせる。彼女の場合は憂いを帯びた哀愁も魅力のひとつだが、ここまでブライトに振り切った作品はなかっただけに、とても興味深い。 荒金 良介