DISC REVIEW
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自身のルーツである、ブルースにフォーカスしたカバー曲中心の前作『Blue Lightning』(2019年)を経て、再び全曲オリジナルで構成されたインギーことYngwie Malmsteenの新作である。ドラム以外の楽器をすべてYngwie本人が手掛け、リード・ヴォーカルも担うという、ここ数年続いているスタイルは健在で、まさにインギーのひとり舞台といった様相を呈している。インスト曲が6曲、4曲がヴォーカル入りで全編彼の個性が詰まった速弾きスキルが炸裂しており、「パガニーニの主題による狂詩曲」をモチーフとしたソロが飛び出すなど、熱心なファンであれば楽しめる内容であろう。原点回帰と言える"らしさ"の詰まった作品ゆえに、サウンド・プロダクションの悪さは残念のひと言。 井上 光一