DISC REVIEW
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USインディー・ロックの良心を体現しながらも、メジャー・シーンで商業的にも成功を収める、唯一無比の存在にまで成長したデスキャブの、通算9枚目となる最新作。5人体制となった彼らが新たに提示したのは、近年の作品群と比べて、いかにもUSインディー然とした素朴な雰囲気が戻ってきたような感覚を残しつつも、ギター・ロックに留まらない、エレクトロニクスを巧みにアンサンブルの伴侶とし、緻密に作り上げられたサウンド・プロダクションが、高品質なクオリティを保証する、絶妙なバランスの上で成立する楽曲群であった。Ben Gibbard(Gt/Key/Vo)による、永遠の少年性と成熟した味わいが同居した歌声と、ナイーヴで繊細な美メロ、際立ったソングライティングの妙も健在である。好盤。 井上 光一