DISC REVIEW
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このバンドを聴いていると、ほんとにジャンルで音楽をカテゴライズするのなんて馬鹿馬鹿しくなる。それくらいにArbusというバンドが奏でるサウンドは、突き抜けて"自由な音楽"だ。ベースになっているのはハードコアでも、ハードコアにはない優雅さと繊細さと色気、そしてドラマがある。プログレッシヴ・メタルやジャズ、ポップス、あらゆる要素をここまで盛りすぎなくらいに詰め込むのも、ただ技巧的で上手いだけでできることではない。恐ろしいまでの強烈なセンスが、絶妙な"気持ちいいくらいに気持ちが悪い"バランスを生み出している。特に、ラストに収録されている2曲のインストゥルメンタル・バージョンは、"エレキ・ギターの渦に溺れたい"そんなときにぜひ聴くべきだ。 山本 真由