DISC REVIEW
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1990年代半ばアメリカは北カリフォルニアの町、ロスガトスにて結成。00年代のモダン・ロック・シーンを代表するバンドのひとつであるTRAPTの通算7作目。フル・アルバムとしては約3年半ぶりのリリースだ。マイナー・コードが紡ぐ哀愁のあるメロディと熱いロック・サウンドが織りなす楽曲群は、ヘヴィなグルーヴでありながら随所で精妙なリズムやフレージング、コーラス・ワークも多く、メランコリックな心情に浸る感覚とそれをなぎ払おうとする力強さと相反するものを同時に鳴らしている。まさしく複雑に入り組む人間の心情そのものを表しているようだ。4曲収録されたアコースティック・アレンジは、豊かに響くギターと美しいメロディ、さらにヴォーカルのパワーをじっくり堪能できる。 沖 さやこ