DISC REVIEW
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あ、懐かしい。と言っても決して古いという意味ではない。むしろ現在、いそうでいない珍しいタイプのバンドという意味では、若い読者ほど新鮮に感じるかもしれない。2007年結成のドイツの5人組による2ndアルバム。ツイン・ヴォーカルのひとりがシンセの音を加える曲もあるとは言え、基本は泣きを含んだメロディを時折シャウトも交えながら感情たっぷりに歌い上げるギター・ロックだ。一昔前はこういうバンドをエモと言ったんじゃなかったか。筆者に言わせれば、その後のエモはショッキングなインパクトを求めすぎるようになってしまった。だからって、これは決して懐古趣味などではない。だって、曲そのものの魅力で勝負している、こんなに素敵なバンドが現在進行形で活動しているんだから。 山口 智男