DISC REVIEW
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聴いたことのあるようなフレーズばかりが飛び交い一種の飽和状態にある昨今のメタルコア/ポスト・ハードコア・シーンで、COME THE DAWNがリリースしたデビュー・アルバムの存在感は特筆に価する。元ATTACK ATTACK!、現BEARTOOTHのCalebプロデュースによる本作は、デジタル感の強いシンセとオーセンティックなメタルを彷彿させるフレーズが新人らしからぬ構成力で一元化され、1度聴いたら頭の中でリフレインする中毒性を併せ持つ。各パートが主張するグラマラスで多彩なサウンドは、散漫になることなく1枚にしっかりとまとまり、聴き応えのある作品に仕上げられている。強度のある音圧、縦にノらせる絶妙なリズム感覚でテンポよく展開するフレーズには、ついつい意識を持っていかれてしまうのでBGMにはオススメできない。これを聴いている間は何もせず、たっぷり12曲に集中して味わい尽くして欲しい。 小林 詩央里