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FEATURE

LOST

2011.03.09UPDATE

2011年03月号掲載

現在のスクリーモのあらゆる要素を 吸収・消化し、さらにアグレッシヴに、 そしてポップに進化した LOSTの新作EPが到着!

Writer MAY-E

大阪発のヘヴィ・ロック・バンド“LOST”が、新作EP『The Monsoon』を完成させた。
SCREAM OUT FEST 2011への出演も記憶に新しいが、彼らの経歴を簡単に振り替えると、バンドのブレインであるドラマーのTAGがバンドに加入したのが、今から10年も前となる02年に遡る。これまでにTaste Of CHAOS 06への出演や、08年のTAKENのトリビュート・アルバムへの参加とインディーズ・シーンで勢力的に活動を続けてきたバンドであるが、この10年というキャリアの中でリリースされたアルバムは『innocence』(04年)『DISCOVERY』(10年)の2枚。タイトル数こそ多くはないが、ゆっくりと、そして着実に日本のインディー・シーンを歩んできたバンドである。

もともと叙情的なサウンドを得意としていたこのLOSTだが、新ヴォーカリストHirokiを含む08年の大きなメンバー・チェンジを経てからの音楽性の進化には目を見張るものがあった。新体制となった5人の魅力を開花させたのが、前作『DISCOVERY』(10年)である。激情系スクリームが交わるヘヴィ・サウンド。その中を突き抜けていくHirokiのスーパー・ハイトーン・ヴォーカル……。この度リリースされるEP『The Monsoon』は、この『DISCOVERY』で完成した新LOSTサウンドを更にビルドアップさせた作品なのだ。
キラキラとしたエレクトロのイントロから突如ヘヴィ・パートに展望する「Cheers To The Blossom」。英語のリリックの中、「桜舞う、木漏れ日の中」という日本語のフレーズとそのメロディが耳に残る、瞬発力抜群のリード・トラックだ。
極めてキャッチーでありながらブレイクダウン・パートがしっかり盛り込まれた躍動的なナンバー「Starfish Promise」から、スピーディなスクリーモ・ナンバー「The Red Leaf」へ。
そして、A DAY TO REMEMBERを彷彿とさせるブレイクダウン・パートから軽快且つ爽快なサビ・パートへと展開する「Silver Flame」は、個人的に最も興味深い。“ポップ”と“ヘヴィ”が表裏一体。ライヴで映えるであろう1曲だ。
LOST節全開のアグレッシヴな「In The Room Of Apathy And Religion」、シンセサイザーを導入したハイブリッドな「Thumbs Up For Mr.Animal Style」、その他インスト2曲を含む、全8曲が収録されている。

現在のスクリーモ・シーンのあらゆる要素を吸収・消化し、さらにアグレッシヴに、そしてポップに進化している。静と動のコントラストや哀愁いっぱいのメロディなど彼らの魅力を損なうことなく、モッシュやクラウドサーフを誘発させる展開が多くなっているのだ。“POP CORE”という表現は、言い得て妙である。
今作『The Monsoon』は、彼らがジャパニーズ・スクリーモ・シーンをさらに押し広げていく存在となるであろうことを予感させる、強力な一枚。今なお進化を止めないこの5人組から、しばらく目が離せそうにない。

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