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LIVE REPORT

[LIVEHOLIC 10th Anniversary series〜激ロックpresents"Burning Blue vol.5"]

2025.09.07 @下北沢LIVEHOLIC

Writer : 横山 開、中島 颯士 Photographer:あさば りんたろう

激ロック/Skream!プロデュースの下北沢LIVEHOLICにて、ライヴ・イベント[LIVEHOLIC 10th Anniversary series〜激ロックpresents"Burning Blue vol.5"]が開催された。LIVEHOLIC 10周年記念を兼ねて行われた今回は、激ロック編集部が選んだ6組が出演。ラウド・ミュージックという共通項を持ちながらもそれぞれカラーの異なる多彩なサウンドを奏でる、まさにこれからのシーンを担っていくであろうバンドたちが一堂に会する一夜となった。 開場後から転換中にかけては、All Good SoldiersのKento Ozone(Gt)がGREATVIBESとして登場。ポップ・パンクやメロコア等を中心に国内外の多彩な楽曲をセレクトし、DJプレイで絶えず会場を盛り上げ続けた。

早くもフロアはぎゅうぎゅうで熱気に包まれるなか、トップバッターとして登場したのは大阪発のイージーコア・バンド Launcher No.8。気合の掛け声で空気を引き締めてRUKA(Vo)が"頭から遊んでいきましょう!"と煽り、ライヴのオープナー「2025」からの「Mediocre」では耳を惹くリフレインとメロディックな展開に合わせ、ヘドバンやクラップが次々に巻き起こる。SHOIの哀愁漂うギター・ソロも加わり、イージーコアの多彩な魅力を提示した。さらに「Beginning of the GAME」、「City Lights」と疾走感あるナンバーを畳み掛け、会場はますますヒートアップ。RYOSUKE(Gt)が主催者にとって今回が最後のイベントであることに触れ、"気持ちに応えるために、本気で遊んで、本気で音楽やって、みんなで楽しみましょう"と宣言すると、オーディエンスの熱は最高潮に。「Like Express 999」ではFUMIYA(Dr)のタイトなビートに乗せてツー・ステップが炸裂し、MISORA(Ba)の小気味よい横ノリも光る。ブルータルな「帝」では強烈な歪みがフロアを支配し、ダイバーが次々と出現。さらにReVERSE BOYZ/195のMaco(Gt)が乱入し、ステージはカオス状態に。「WAKE UP!」ではシンガロングが広がりフロアをブライトに染め、ラスト「Day Dream」でのRUKAの静寂から咆哮へ至る緩急が観客を揺さぶって、イベントの幕開けに相応しい勢い溢れる狼煙を上げた。

続いて登場したのは、異質なオーラを放ちただならぬ雰囲気を纏う横浜発のファンク系ポップ・パンク・バンド Black Leech。多田のカッティング・ギターとサポート・メンバー 齋藤優汰のスラップ・ベースが際立つ「From the Island」で幕を開け、往年のポップ・パンクを想起させつつファンキーなフレーズが絡む「Don't Call My Name」でフロアの温度を一気に上昇させた。小泉(Vo)の危うさを帯びた目力と多彩な表情に会場は釘付けとなり、「Defective」から「Toxic Water」へと展開すると妖艶な空気が漂う。「Go Ahead Without Me」ではポップな要素も交え、自在に空間を操ってみせた。さらに小泉がウクレレを手に取り、LINKIN PARK「In The End」のサビを披露すれば、オーディエンスも即座に反応し、続くTHE COMMODORES「Easy」では温かな一体感が広がる。ラストは三谷(Dr)のパワフルなビートが光る「Meat Sushi」、「Make You Sad」で締め、ファンクやポップ・パンクにとどまらず、ニューメタルやレゲエ等からの多彩な影響を感じさせるスキルフルなステージで、その存在感を強烈に刻み込んだ。

3番手に登場した AFTER SQUALL は、アッパーなセッションで熱気を高めると、爽やかな「UP」でライヴをスタート。Seiya(Gt)が開始早々前へ乗り出してフロアを煽り、Aoba(Ba/Cho)の耳心地よいコーラスとTaiyo Miyuの力強い歌声が重なり、個性豊かなパフォーマンスで会場を染め上げる。続く「スターゲイザー」ではTaiyoの"バカみたいに全員で歌いませんか?"という呼び掛けに大きなシンガロングが巻き起こり、会場はエモーショナルな空気に包まれた。そこから一転し、アグレッシヴな「So What!」、AC/DC「Back In Black」のフレーズも飛び出した「DERP」でモッシュやツー・ステップが誘発され、続く「MONSTER」ではダンサブルな熱狂へ。MCでTaiyoが"普段と違うメンツだからこそ何が起こるか分からなくてワクワクする"と語ると、新曲「BYE BYE BYE」では、"全てを抱えて行く"という歌詞にあるその信念が示されるかのようにフロアから拳が突き上がる。「crazy」で熱を繋ぎ、ラストは"私は私になりたいだけ"と歌う「EXTRA」で、これからも前に進み続ける彼女たちの道がハッキリと見えた渾身のステージを締めくくった。

みんなが笑顔になったAFTER SQUALLのライヴが終わり、DJはここでGREATVIBESからkento(LIKE A KID/Vo)にバトンタッチ。BPMの速いレイヴ・ミュージックで会場のテンションを急上昇させる。

そんななか登場したのは、ポストハードコア・バンド SIGHTBACKS。メンバーがドラム・セットの周りに集まり、気合の掛け声から"みんなで踊ろうぜ"と最新EPより「ACID COLOR AREA IN MY HEAD」を投下した。赤いストロボが激しく明滅する。楽曲は今日の出演者の中では最もハードではあるものの、ヘヴィなリフやシャウトだけでなく、いい意味で予想外のメロディアスな側面も併せ持つ彼等。「ZONE」では目まぐるしく変わるテンポで繰り出されるブレイクダウンからギター・ソロまで他にない存在感を放ち、続くショート・チューン「Hang over the Candy」では、ダークな照明の中SOTA(Vo)が悪魔的な笑い声を響かせた。"今日出てるバンドで俺等が一番カオティックで何やってんだってやつらです。乗り越えられますか?"と様子を窺った後、制作中だというニュー・アルバムから和モダンな雰囲気漂う新曲「ENNMA」を放つ。ダイナミックなブレイクダウンの応酬が、照明で朱く染まるステージとシンクロし圧倒された。ライヴも終盤、"まだまだ止まらないぜ!"(SOTA)と彼等の楽曲の中でもメロディアスで疾走感のある「RAINRUNNER」、「RACEBACK」を続けて披露し、最後まで一貫して唯一無二のパフォーマンスを見せつけた。

前回の"Burning Blue vol.4([激ロックpresents"Burning Blue vol.4"~1st Anniversary~])"ではトリを務めたDimraysが登場。"やろうぜ下北沢、全員でここ潰そうぜ!"とLIVEHOLICを焚きつける茜(Vo)の煽りから、「Get Over」でライヴがスタート。サークル・ピット、ステージ・ダイブと、"潰そうぜ"のMCに応えるようにフロアの雰囲気も一転した。"今日は激ロックのいつも呼んでくれる人の集大成の企画ってことで、こんな日に呼んでくれてマジで嬉しい"と早速今日の日に向けた想いを伝える茜。「OVER-CONFIDENT」、「Everlasting」と続けて柵に乗り出し煽り、㮈灯(Ba)は頭をぶんぶん振り回しながら重低音を響かせる。"激ロックに出る機会を作ってくれた人のイベントやから恩返しと言っちゃなんですけど、激ロックがやっているこのLIVEHOLIC潰す勢いでかかって来い!"と、彼女たちなりの言葉を紡ぎ、その勢いのままグロウルとブレイクが混在する「Mr.Coward」、「Bad Taste」と定番曲を炸裂させ、ラストには疾走感のある「Fr」を披露。ヒップホップ要素も感じる楽曲で、これまで凶悪なビートやリフを奏でていたMACKY(Support Gt)と㮈灯も独特なダンスでこの場を楽しんでいた。激ロック関連のイベントに出るのは今回で3度目となるDimrays。トリのSEEK US NEEDに熱いバトンを渡した。

時刻は21時過ぎ。日曜日の遅い時間にもかかわらずまだ多くの観客が残っていた。kentoのDimrays前のDJではSNSを通して海外でも大バズりした"西山ダディダディ"を挟む等バラエティに富んでいた本日のセットリストだったが、トリ直前のこの時間にはリミックスで「Thnks Fr Th Mmrs」(FALL OUT BOY)、「Misery Business」(PARAMORE)をかける等、ポップ・パンク好きには堪らない選曲で各々が自由にこの空間を惜しみつつも楽しんでいた。

"やろうか"、 Kodai(Vo)の覚悟のような言葉で始まりこの日を締めくくるのは、"Burning Blue vol.2(激ロックpresents LIVEHOLIC 9th Anniversaryseries~Burning Blue vol.2~)"でトッパーを務めたSEEK US NEEDだ。"せっかくこんな時間まで残ったんだ。手放しで最後まで楽しんでこうぜ!"と最新EPのオープナー「Defined」で幕開け。Kodaiはハイトーン・ヴォイスとしゃがれた叫び声を使い分け、続く「POSTSTANDARD」では、竿隊のShogo(Gt)、DAIKI(Gt/Cho)、Shige(Ba)も含め横一列に並び攻撃的なメロディを放ち、Say(Dr)も重厚なサウンドを響かせる圧巻のパフォーマンスを見せた。"未来を描いて導け/未曾有の世界へ羽ばたけ"という言葉に気持ちが乗っかった「WE ARE GOING DOWN」、挑み続けようという信念を提示する「Faith」と、強いメッセージが込められた2曲を披露した後、Kodaiが本イベントへの感謝とエールを述べる。"何かを始めるってことは終わりが来るのは当然なんだけど、何かを終わらせることってエネルギーが必要で。俺等の音楽はそういう誰かの背中を押せればと常々思っているからこそ、(イベントに呼んでくれた)彼の新しい門出に呼んでもらえて光栄です"。熱いメッセージを告げた後、最新EP表題曲「Vital」をラストに披露。25分間という短い時間で、バンドの掲げる信念と熱い想い、そして現ラウド・シーンを牽引していくエネルギーが詰まった圧倒的なライヴを見せつけ、[LIVEHOLIC 10th Anniversary series〜激ロックpresents"Burning Blue vol.5"]は終幕を迎えた。

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