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LIVE REPORT

LIZA

2025.08.28 @東高円寺二万電圧

Writer 杉江 由紀

黎明期を経ての揺籃期に入ったところで行われる初ワンマン、ということなのかと思いきや。今宵LIZAが始動から満2ヶ月と数日のタイミングで繰り広げてみせた"LIZA 1ST ONEMAN「Art Nouveau」"は、フロントマン HIVARIが冒頭で発した"僕たちの芸術を始めよう......!"との言葉通り、彼等の創出する芸術を音とパフォーマンスという形でたっぷりと体感することができる場となっていた。

口開けの一曲として選ばれていたのはLIZAにとっての初音源として世に出た「未完の肖像」で、MÖTLEY CRÜEやDREAM THEATERを聴いていたというドラマー #FFFFFFの叩き出す力強い波動、90年代ヴィジュアル系から始まりラウド系も好きだというベーシスト Amaneの放つうねるような低音、LOUDNESSやギター・ヒーロー Yngwie Malmsteen等を信奉するギタリスト Rokiの放つヘヴィなフレーズ、SLIPKNOTやcoldrain等を好むという7弦奏者 ICEの紡ぎ出すワイルドなプレイが渾然一体となったサウンドが、しょっぱなから東高円寺二万電圧の場内に轟くこととなった次第である。

そもそもLIZAが「未完の肖像」で表現したかったのは"ヴィジュアル系とラウドの融合"との発言が先立ってのインタビューでもあっただけに、見た目の部分では完全にV系バンドでありつつも、彼等の提示する音はむしろだいぶ"激ロック"寄りであって、その絶妙なバランス感はシーンの中で今後もより際立っていくことになるものと思われる。

また、リアルにDIAURAファン="愚民"であることを堂々と公言しているヴォーカリストHIVARIの存在感はLIZAにとって"ヴィジュアル系バンドとしての美意識"を象徴するアイコンであると同時に、歌のみならず彼の立ち居振る舞いや発言はLIZAの世界を芸術たらしめるものだとも言えそうだ。ちなみに、LIZAのバンド名はレオナルド・ダ・ヴィンチの描いた"モナ・リザ"に由来し、「未完の肖像」もバンド名と紐付いていて、それらは全てHIVARIの発案であるとのこと。

"僕たちが皆さんの前に姿を現してから約2ヶ月、ここまで各所で闘い続けてきました。たったの2ヶ月と思う人もいるかもしれませんが、僕たちにとっては汗を流して、血を流して、何かを得るために闘い続けてきた掛け替えのない日々でした。今日は僕たちの信じ続けてきたものが本当に正しい、と証明するためにここに来ました。これからも共に未来を描いていきたいと、誓い合うためにここに来ました。そして、僕は新たなこの音でそのことを証明しに来ました。さぁ、共に歴史を作る準備はいいか!"(HIVARI)

こうして観衆を煽っては一体感を醸し出すロック・バンドらしいアプローチを取る一方、新曲「ANTARES」を披露する前には、ギター・プレイ習得の前に3歳からヴァイオリンを学び、かつてはオーケストラで活動もしていたことがあるというRokiがバッハの名曲「G線上のアリア」を交えた調べでオーディエンスを魅了する一幕も。曲数としては本編8曲のアンコール3曲と決してまだ長尺のワンマンではなかったとも言えるが、それでも始動からわずか約2ヶ月の段階でLIZAの目指す芸術世界の在り方が存分に伝わってくるワンマンを成功させた、という事実とその意味はあまりにも大きい。

11月7日には池袋BlackHoleにて"LIZA 2nd ONEMAN「Art Nouveau #2」"が決定しているほか、年内は主催イベントも3本組まれていて、来年1月には待望の1stフル・アルバムもリリースするというLIZA。彼等が描き出す物語の行く末はまだ誰も知らない。

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