LIVE REPORT
[激ロックpresents"Burning Blue vol.3"]
2024.11.26 @下北沢LIVEHOLIC
Writer : 横山 開 Photographer:あさば りんたろう
激ロック/Skream!プロデュースの下北沢LIVEHOLICにて、ライヴ・イベント[激ロックpresents"Burning Blue vol.3"]が開催。本イベントは、ラウド・ミュージックという共通項を持ちながらも、それぞれカラーの異なる多彩なサウンドを奏でる、これからのシーンを担っていくであろうバンドたちが集う、激ロック編集部主催のライヴ・イベントで、このたび3回目の実施となった。
OASISの「Wonderwall」が流れるなか、"ハイパーポップ"を掲げ渋谷を中心に活動する2人組、ELLEが登場。"昔から激ロックでPTP(Pay money To my Pain)のインタビューを読んでいたから、この時間をめちゃくちゃ大事にしたい"とLee(Vo)が万感の想いを述べ、「Come Alive」、「Freak's parade」と開始早々にアッパーでダンサブルなナンバーを続ける。オートチューンを使用したLeeの歌声と、疾走感のあるKen(Gt)のフレーズによって生まれる浮遊感に、オーディエンスが酔いしれていく。多角的な音楽性で新時代を感じる彼等だが、Leeからは"細かい形にこだわらないで。俺等の根底にあるのはロックだから"とロック・ミュージックへの愛を示す言葉も飛び出した。後半ではステージにWORSTRASHのLen(Vo)とbibi(Ba/Vo)も現れ、2組のコラボ・パーティー・チューン「BAD KIDS ft. WORSTRASH」でフロア全体を揺らすと、ラストに爽やかな旋律が沁みるロック・ナンバー「Blue」をプレイ。パフォーマンス後にLeeが放った"この先嫌でも目に付くのでよろしく"という言葉は、このイベントの幕開けとして相応しい言葉に感じ、実に頼もしかった。
各セクションの転換中にはLIKE A KENTとしてLIKE A KIDのkento(Vo)がDJを努め、RAGE AGAINST THE MACHINE、BRING ME THE HORIZON、PARAMOREやFACT、coldrain等、国内外問わずこれまでのラウドロックのヒストリーを辿るかのようなナンバーをプレイし、会場を盛り上げていった。
2番手のALL I WANTは、Naoのハイトーン・ヴォイスが響き渡る「Sky」でスタート。爽快感のあるバンド・サウンドとピアノの旋律によるドラマチックな展開でフロアの興奮を高めていき、Shogo(Ba)とShoichi(Gt)の弾ける笑顔も楽曲のキラキラ感を増幅させ、1曲終えただけで高揚感に満たされた。MCを挟み、Shoichiのギター・フレーズが特徴的な「一生」、Ryujiのパワフルなドラミングが光る「六等星」を続けてドロップ。Naoは"今日対バンするバンドとこの先いろいろとやっていくと思う"と言い、バンド同士で高め合っていろんなストーリーを作っていくことと、そんなバンドが一同に集まって音を鳴らすことに意味があることをアツく呼び掛ける。そんななか披露したアンセミックな「One&Only」では会場の熱気も増し、"今日いろんな歌がここに集まるけど、俺たちが歌う意味を最後に示してこの後のバンドたちにバトンを渡す"(Nao)と話した。聴いているこちらが照れ臭くなるくらいストレートな歌詞の「歌えば」を、決して背伸びをせず、等身大の姿でまっすぐに届けた彼等の姿は、多くの観客の心を掴んだことだろう。
3番手は茨城mito LIGHT HOUSEからの刺客、F.WALT。Natsukiの伸びやかなハイトーン・ヴォーカルとスクリーモがミドル・テンポのなかで炸裂する、彼等の魅力が存分に詰まった最新曲「PERSONA」で幕開けだ。エモーショナルな空気で包み込んだのち、"俺たちが次世代担うか分からんが、一番激しいライヴしに来ました!"とNatsuki が高らかに宣言し、ダイナミックながらタイトなJumpeiのドラムをバネに、スピード感溢れる「Pitch-Black」に繋いでフロアを一気にヒートアップさせる。MCではこの日Natsuki と主催者が共に誕生日であることを明かし、新たな1年のスタートの日にライヴができることを噛み締めていた。またステージから見えるオーディエンスがそれぞれ素敵な表情であると触れ、"みんな捨てきれない何かを持っているばず"と、美メロの中に"夢と現の錯誤"を描いたという「Asleep」、TAIOSIN(Gt)のリフレイン・フレーズが特徴的な「Gravity」を続けて奏でる。"どれだけ新しい音楽が流れてきても本質は変わらん。バンドはバンド"とNatsuki が熱いメッセージを放ち、投下した「Let me call you bad dream」で、アグレッシヴなアンサンブルのなかグロウルを響かせ、終始ボルテージの高い渾身のステージを見せつけてステージを締めくくった。
1音目から爆音を一斉にかき鳴らし、ダイナミックな音圧により一瞬で会場を掌握したNavvvyは、ハートフルでメロディアスなパンク・チューンである「Here I Am」、「ノンフィクション」を立て続けに演奏し、早々にオーディエンスの拳が上がる。"やっぱライヴは嬉しいし楽しいですありがとう!"と言う$HUN(Vo)の無邪気な様子にこっちまで自然と楽しくなってくる。そして"ミクスチャー・ロックいきますか"と「ZOMBIE」、「MIXTURE」と立て続けに彼等の真骨頂であるミクスチャー・ナンバーをドロップ。前半までの様子とは打って変わりギターを歪ませ、ラップあり、ヘドバンありのステージ。音はへヴィでありながらもキャッチーなメロディで、フロアもジャンプし身体を揺らしていった。MCではMizzy(Gt)がイベントのタイトルである"Burning Blue"にちなみ、青色にも様々な色があり、人にも境界線のない様々な感情があること、いつ死ぬか分からないなかで想いをしっかりと伝えたいときに伝えないといけないということを話す。自分なりの熱い炎を燃やしていきたいという想いが胸を熱くさせた。そこからダイレクトに胸を突き刺すメッセージ・ソング「Miss You」を届け、会場に温かい雰囲気を残しステージを後にした。
ライヴも終盤に差し掛かるなか登場したのはAll Good Soldiers。イントロから4人のアンサンブルがバシッと決まると、自然とオーディエンスの拳も上がる。Ryohey(Gt/Vo)の"パンク・ロックしようぜ!"を合図に「Never look back」でライヴがスタートし、持ち前のグッド・メロディとRyoheyの満面の笑顔でフロアにも笑顔が広がった。Kento Ozone(Gt)が"俺たちなりのラウドロックかますわ!"と発し、大自然を連想させるスケール感のある「Be Myself」を披露。「Cruise」ではOzoneとやーしゅん(Ba/Vo)がステージ前に踊り出てオーディエンスを煽り、アグレッシヴなパフォーマンスとエモーショナルに上昇していくメロディラインに、観客が波打つように呼応する。MCでRyoheyは、10代の頃に読んでいた激ロックのイベントに出演できたことへの喜びを述べ、激ロックWEBサイトで公開している動画メッセージの挨拶を真似るように、"激ロックのイベントに出演するAll Good Soldiersです!"と改めての自己紹介。そのまま力強いシンガロングがフロア中に響き渡るアンセム「FAREWELL」へと続き、会場全体に一体感が生まれ、哀愁漂うOzoneのギター・リフとKenkiのパワフルなドラミングが耳を惹く「Alive」でライヴを締めくくった。一曲一曲に魂を込めた歌と演奏で聴く者を熱くさせると共に、終始ハッピーな空間を作り上げ、最後のWORSTRASHへとバトンを繋いだ。
この日のトリを務めたWORSTRASHは軽快な「Beach stage」、「Mane」を続けて放ち、ポップ・パンクをベースにヒップホップのビートやヘヴィなリフを詰め込んだ楽曲でフロアを揺らし、早々に自分たちの空気に染め上げる。Lenは今日の出演者がみんなそれぞれの"ロック"を持っているなか、自分たちの"ロック"とはこれだというのを見せると宣言し、最新曲「KAGEROU」を披露。先程の2曲とは一転、清々しい疾走感のあるビートとシンセ・サウンドのなか、日本語のリリックをLenとbibiのツイン・ヴォーカルで歌ったナンバーになっており、ライヴハウスが煌びやかな空間に。さらに続く「Deep Wet Pink Cave」では一気にダンス・フロアへと変貌させ、何度もLenが前に乗り出しオーディエンスを煽っていく。そして"激ロックに向けてちょっとだけ激しいの持ってきました"(Len)と重厚なギター・リフとインパクトのあるTØMのドラミングが特徴的な「Navy blue」で、バラエティ豊かなサウンドを響かせた。"まだ生意気な若僧だけど、また激ロックの看板背負って戻ってこれるように頑張ります!"というアツいメッセージをきっかけに、ラストに放ったのはキラーチューン「Oh my no mind」。残りのエネルギーを爆発させ、"次世代の王冠被るのは俺等だぜ"とLenが言い放つ。今後彼等を中心に変化していくであろうシーンの未来に期待しか感じなかった。
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