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INTERVIEW

Uz:ME

2025.09.19UPDATE

2025年09月号掲載

Uz:ME

Member:田中 理恵(Vo) Patrik Leonheart(Gt) Simon Andante(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

闇の女神が鉄槌を下すとき、きっとそこに響くのは、激しくヘヴィでドラマチックな面持ちを持った「VENGEANT」のような曲なのだろう。"機動戦士ガンダムSEED FREEDOM"のラクス・クライン役を筆頭に数々のアニメ作品で活躍している声優、田中理恵をヴォーカリストに据え、スウェーデンのロック・バンド、BATAAR に在籍していたギタリストであるPatrik LeonheartとSimon Andanteが脇を固める、唯一無二にして異色のトリニティをなすバンド、Uz:MEの最新音源ここに到着!

-前作の1stミニ・アルバム『SPEKTRA』(2024年リリース)に次ぐ今回のデジタル・シングル「VENGEANT」で、Uz:MEの音はさらにヘヴィな方向へと舵を切った印象ですね。

Patrik:3年前に「SEARCHLIGHT」(2022年リリースの1stシングル)でデビューして以降、Uz:MEは作品を出すたびに進化してきているんですけど、今回は改めて"Uz:MEの代表曲"みたいなものを作りたいと思っていたら、やっぱりこういう感じになってしまったんですよ(笑)。どんどん音がヘヴィになってきてるのは確かですし、最近は田中さんからの"もっと激しいのを歌いたい"っていうリクエストに応えてる面もあります。

Simon:最初の頃よりはライヴをやる機会が増えてきたっていうのも、音に変化を及ぼしている大きな要因だと思いますね。今回の「VENGEANT」に関してはUz:MEの代表曲にしていきたいって気持ちと、生でやったときに盛り上がるライヴ向きの曲にしたいというのの、両方を追求していったんです。

田中:ただ、歌う側としては今回も"私にちゃんと歌い切れるのかなぁ?"っていう不安は多少ありました。Uz:MEの曲はどれもそうなんですけど、基本的に私が楽に歌えるキーにはなってないんですよ(笑)。

-Patrikさんも、Simonさんも、常に田中さんの限界を引き出すべく曲作りや音作りをされているのかもしれませんね。

田中:レコーディングは歌い直しや編集とかもできるのでまだいいんですけど、特にライヴのときはいつもプレッシャーがすごいです。最近はイヤモニを使うようになったんで、ギターやドラムの音が爆音でもだいぶ音を取りやすくなってきてるんですが、Uz:MEの曲を歌うにはもっと鍛えないとダメだなって感じることも多いですね。

-まさに今回の曲「VENGEANT」も、ヴォーカリストとしてはかなりのスタミナを必要としそうな仕上がりになっていますものね。

田中:声優の仕事をやりながら、デスヴォイスのレッスンに行くのは日常になってるものの、よくロック・ヴォーカリストの人たちがやってる筋トレや、走るみたいな体力作りはまだやってないので、そういうのもやっぱり必要なんだろうなと思ってるんですよ。特に、前作『SPEKTRA』のときの「ELPIS」なんかはライヴで歌うとすごく消耗します(笑)。そういう意味でいくと、今回の「VENGEANT」はまだそこまでじゃないかも。実はすでにライヴで2回程歌わせていただいたんですけど、結構気持ち良く歌うことができました。お客さんたちからも非常に好評で、まだリリース前なのに皆さんめちゃくちゃノリノリな状態でしたね。曲中にセリフが入っているところも、喜んでいただいてるみたいです。

-「VENGEANT」について語る上での大きなポイントは、ヘヴィな音像であることだけでなく、まさに田中さんのセリフがフィーチャーされているところだと思います。以前のインタビュー(※2024年4月WEB掲載)でも、田中さんは"せっかく声優とバンドマンで組んでいるわけですから、私は今までの経験やスキルも使った楽曲もここからやっていければいいなと思ってます。普通に歌うだけではなくて、例えばセリフを入れるだとか"と発言されていましたけれど、そのヴィジョンがここにきてついに具現化されたわけですね。

田中:あのセリフ部分は、聴く側に曲により入り込んでいただくために必要だったんです。異世界の悪い女神みたいなイメージでやらせてもらいました。ライヴでも、あの場面ではちょっと前に出てお客さんたちを煽りながらセリフを言ってるんですよ。

Patrik:理恵さんが「VENGEANT」では声優としての力を発揮してくれてますね。

-先程、田中さんが「VENGEANT」は"まだそこまでじゃない"とおっしゃっていた理由は、キー設定とも関係していそうですね。それこそ超絶ハイトーンな「ELPIS」と比べると、この曲ではセリフ以外の部分でも部分的に田中さんの少し低めな声を活かすことで、詞世界の醸し出す"ダークな怖さ"がより強調されているように感じます。

田中:それはあると思います。Uz:MEとしての新しいアプローチができました。

-「VENGEANT」の作曲をされているのはPatrikさんですが、曲作りの段階で、ヘヴィな音像と田中さんのヴォーカリゼイションを共存させていくという面で、特にこだわられたのはどのような点だったでしょうか。

Patrik:こだわりを持って作ってるというよりは、作ると自然に"こう"なるんですよ。毎日いろんなバンドのヘヴィな音楽を聴いてるし、聴きながら"自分たちがこんな曲を作ったらどうなるんだろう"って想像してるせいもあるんですかね。

Simon:ちなみに、いつもPatrikは曲を作ってもあんまり自信を持ってないことが多くて、そのたびに僕は"これ絶対いいと思う。この曲は完成させて世に出すべきだ!"って言うことが多いんです。でも、今回はその逆で、「VENGEANT」が80パーセントくらいできた状態でも、僕はこの曲に対してなんにも感じてなかったんですよ。

Patrik:はっきり"シングル曲というより、Bサイド向きな曲じゃない?"って言ったよね。だから僕、ちょっとムカついてたんです。ところが、その後いろいろと細かく調整して曲を送り直したら"ごめん。これ最高だよ!"、"この曲はUz:MEの代表曲にしていくべき!"ってSimon君から返ってきました(笑)。

Simon:今となっては、オリジナル・バージョンがどういう感じだったのかを、詳しく思い出せないくらいなんですけど、大きな違いとしては歌のメロディが変わったんですよ。それが「VENGEANT」自体の印象をすごく変えたんだと思います。あと、シンセとか打ち込みの入れ方も違うでしょ?

Patrik:僕からするとそこまで大きく変えたつもりはなかったんだけど、たしかにオリジナル・バージョンと同じなのはギターだけだね。メロと打ち込みをちょっとずつ変えたことで、全体としての雰囲気が変わったんだと思います。

-田中さんはその過程をご存知でしたか?

田中:全っ然知らなかったです(笑)。歌メロも私が貰ったときには今の形になってました。

Patrik:ちゃんと完成するまで、曲は送らないことにしてるんですよ。

田中:完成したものが送られてきて、初めて"今回の曲、セリフがあるんでよろしく"って言われたんです。で、そのときに"このセリフってライヴのときはどうするんですか?"と訊いたら、Patrikさんは"ライヴのときは音源でセリフ流しますから"って言ってたんですけどね。結局ライヴで生で言うことになって、最初は"えっ! そうなの?"って思ったんですが、やってみて"生にして良かったな"と感じてます。

-Patrikさんは、もともと「VENGEANT」にはセリフを入れようと思って作り出されていたのですか?

Patrik:いや、これはSimon君が出してくれたアイディアでした。

Simon:Patrikが今セリフの入ってる部分を"どうしたらいいかな?"ってちょっと悩んでたんですよ。

Patrik:最初はヴァイオリンとギターだけだったんで、少し物足りないなっていうことは僕も感じてたんです。そうしたら、Simon君が"理恵さんはせっかく声優なんだから、この部分はセリフをいれてもらったら?"って言ってくれました。

Simon:そうそう。悪役みたいな怖い声でねって(笑)。

Patrik:僕としてもセリフを入れるのは絶対カッコいいなと思ったんで、今回また詞を書いてくれてるLeo(45 EXCEED/Vo)君に、"アニメの悪役が言いそうな感じのセリフを入れたい"って相談して、あの部分も作ってもらいました。