INTERVIEW
Uz:ME
2025.09.19UPDATE
2025年09月号掲載
Member:田中 理恵(Vo) Patrik Leonheart(Gt) Simon Andante(Gt)
Interviewer:杉江 由紀
あのセリフ部分は、聴く側に曲により入り込んでもらうために必要だったんです
-「VENGEANT」の詞世界そのものについては、当初どのようにプロットを組み立てていかれたのでしょう。
Patrik:そこも僕とLeo君とで決めていきました。"VENGEANT"は"復讐者"という意味で、内容としては、"何回も警告したのに聞き入れてくれなかった"から"ざまぁ"ってことなんですよ。
Simon:今ちょうど僕が編集中のMVも、歌詞に合わせたストーリーになってます。
Patrik:これまでのMVはほとんど演奏シーンがメインだったんですけど、今回はイメージ・シーンが結構多いんですよね。
Simon:1日で一気に4パターンくらい撮りました。
田中:バタバタで大変だったよね。どうしても時間が足りなくて、スタジオを借りるのを1時間延長しちゃいました。でも、その分皆さんにはこれまで以上に楽しんでいただける映像をお届けできると思います。
Patrik:一番の見どころは、田中さんがセリフの役だけじゃなく他にもいろんなキャラクターになってるところですね。
田中:そのたびにお着替えしているので、ぜひそこも注目してください(笑)。
-それにしても、「VENGEANT」のテーマが復讐とはなかなか不穏ですよね。Uz:MEはこれまでにもフィクションとしての世界を構築しつつ、その中にリアリティを絡めることをしてきています。この詞の内容を聞くと、今回もその要素はありそうですね。
Patrik:あまりネタバレはしたくないですけど、自分たちが経験してきていることが詞に反映されているところもあるのは事実です。
-田中さんは、ヴォーカリストとして「VENGEANT」とはどのように対峙されていくことになりましたか。
田中:メロも歌詞もめちゃくちゃいいなと思いましたし、これを必ずUz:MEの代表曲の1つにしていけるようにしっかり歌いたいなと感じました。個人的にも、この曲は今までで一番好きって言っていいくらい気に入ってますね。イントロの段階から、物語の雰囲気を濃厚に感じられるというか、イマジネーションが広がる感じがすごくあるんです。
Patrik:イントロが始まるところで、わざわざ"Uz:ME"って田中さんがバンド名をつぶやくところもすごくいいんですよ。
-Uz:MEにとっての代表曲、看板曲だからこその演出ですよね。
田中:音も詞も歌もMVも、全てが"これこそUz:MEだね!"っていう作品になってると思います。
-なお、そんな「VENGEANT」のセリフ部分には"傲慢な人類"というフレーズが出てきます。皆さんがそれぞれ"人類って傲慢だな"と感じるときはありますか。
Patrik:自然を人間の勝手な都合で壊すときですかね。
田中:海洋汚染とか、温暖化とかも、そういうのが原因になってるだろうしねぇ。あとはやっぱり、いろんな争いを起こすところかなぁ。政治的な理由だったり、宗教的な違いだったり......まぁ、こういう話をし出すとセンシティヴになっちゃうから怖いんですけどね。でも、人間同士が戦い出すときには、きっと人間たちの傲慢さがその背景にあるんじゃないかと思うところはあります。
Simon:Patrikと田中さんの言ってることに僕も同意します。
田中:結局「VENGEANT」は、そういう人類が自業自得としての報いを受けるって物語になってるんですよね。
-自業自得、あるいは因果応報。これは仏教的な思想に基づいた言葉となりますが、PatrikさんとSimonさんの故郷、スウェーデンにもそれに近いような概念は何かしらあるのでしょうか。興味があるのでぜひ教えてください。
田中:キリスト教圏は、恐らく悔い改めたら許されそうじゃない?
Patrik:僕はキリスト教じゃないからそれはよく分からないですけど、スウェーデンでは自業自得とはちょっと違う考え方をすることが多いと思います。自分がされたい扱いは、他人にもするべきみたいな考え方はわりとあるかな。
Simon:うん、それはあるね。
田中:慈愛だね。love's sacrificeだ。自己犠牲。
-何よりも自分の損得を優先して生きる人がいる一方、できれば人や自然環境に対して優しくありたいと思いながら生きている人もいる、というのがこの世知辛い現世ではありますけれども。この「VENGEANT」という楽曲は、エンターテイメント作品であることを前提にしつつ、聴く人に様々なことを考えさせる1つのきっかけになっていくかもしれませんね。
Simon:国籍とか育った環境、人それぞれの考え方とかは別として、「VENGEANT」はどんな人間にも、"その気持ち分かるな"って共感してもらえる曲になってると思います。
-それから、先程「VENGEANT」はすでに2回ライヴで演奏されたとのお話が、田中さんからありましたけれど、PatrikさんとSimonさんは、生でこの曲をプレイしてみて何か感じられたことはありましたか?
Patrik:目黒鹿鳴館でやったとき("Angels and Demons - Thank You 目黒鹿鳴館")は予想してた以上にすごく盛り上がりました。
Simon:でも、僕たち側は演奏するのがちょっと大変でしたねぇ。
Patrik:作ってるときは部分ごとに録ってるんで、1曲を最初から通して弾くっていうことをしてないですからね。"そうか、ライヴではまるごと弾かなきゃいけないんだった"って気付いたときには、かなり自分たちにとってハードルが高い曲に仕上がっちゃってました。しかも、ライヴだとパフォーマンスの面で、ヘドバンしながら弾きたいっていうのもあるじゃないですか。
Simon:僕らは2人共、普通に立ったまま弾くのは好きじゃないんです(笑)。
Patrik:Uz:ME的に言えば、ここまで激しいブレイクダウンが入ってるっていうのも「VENGEANT」は面白いと思いますね。ワーミー・バーを使った、ノイジーでピーキーな音が入ってるところもおすすめです。
Simon:「VENGEANT」はイントロからみんなで"Oi Oi!"って盛り上がれる曲になってるから、ライヴではそこもみんなで楽しめるのが最高ですね。
Patrik:ライヴと言えば、僕はいつも始まる前にストレッチとかをやってるんですけど、Simon君と田中さんは何回も言ってるのに全然やってくれないんですよ。で、次の日に"首痛い"とか言ってるんですよね。どうしたらいいと思います?
-それはもしや、リアルな"何回も警告したのに聞き入れてくれなかった"からの"ざまぁ"状態ですか?
Patrik:さすがに"ざまぁ"とまでは思いませんけど(笑)、"ちょっと、2人共お願いしますよ!"とは思ってます。
Simon:ちょっとめんどくさくて(笑)。
田中:私はまだ、そんなに弱音吐いてないですけどね! でも、たしかにライヴの次の日はちょっと腰が痛くなったりはしてます(苦笑)。一応、最近は健康オタクになろうと思って納豆をよく食べたり、青汁を飲み始めたりしました(笑)。皆さんにもっとライヴで楽しんでいただけるように、これからさらにいろんなことを頑張ります!