INTERVIEW
I PREVAIL
2025.09.30UPDATE
Member:Eric Vanlerberghe(Vo)
Interviewer:菅谷 透 Translator:金子みちる
-ここからはいくつかの楽曲について伺います。タイトル曲で第1弾のシングル「Violent Nature」は、まさに今までのイメージを覆すようなアグレッシヴなナンバーです。
この曲はアルバムで最初に作った曲の1つなんだ。最初にインストゥルメンタルのアイディアがあって、それをもとに作業を始めたんだけど、Steveが"Violent Nature"っていう言葉を持ってきたんだよ。その時点ではまだその言葉にどんな意味があるのか分からなかったけど、なんだかしっくりきて、俺がそのフレーズを歌った瞬間に曲全体のイメージが一気に形になったんだ。
正直、それ程深い意味のある曲じゃないよ。まるで動物的な本能から生まれたような曲で、ただ直感を信じて、溜め込んでいた何かを解き放ったって感じだった。俺たちの音楽は普段ポジティヴなメッセージやリアルなことを歌うことが多いけど、時には怒りや苛立ち、どうしようもない憤りを感じることもある。音楽ってそういう感情を吐き出すのにすごくいい手段だと思うよ。「Violent Nature」は、長い間溜め込んできた怒りをついに爆発させて解き放つ、そんな曲だね。ライヴでもモッシュピットにいようが客席にいようが、鬱屈したものを抱えている人なら、この曲で一緒に叫んで怒りを解き放つことができるんじゃないかな。
-「Into Hell」はあなたのクリーン・ヴォーカルを大々的にフィーチャーした楽曲で、初めて聴いたときに驚いたファンも多かったのではないでしょうか。
面白いことに、この曲はアルバムの中でも最後のほうに書いた曲なんだ。最初はインストゥルメンタルから始まって、そこにメロディのアイディアがあり、俺がいくつか歌詞を持ち込んで作り進めていったら、自然とロマンチックなラヴ・ソングになっていったんだよ。この曲はどんな困難や苦労、例えば健康の問題や外からの様々な圧力があったとしても、もし本当に大切な人に出会えたなら地獄だって一緒にくぐり抜けるし、その人も同じように自分のために戦ってくれる。そういう思いを込めた曲なんだ。
実はシングルになるとは思っていなかったんだけど、レーベルがデモとアルバムを聴いて"これはシングルにすべきだ"と言ってくれたんだよ。"えっ、この曲が?"って驚いたんだけど、彼等がすごく自信を持っていたから"じゃあ、やってみよう"ということになった。結果的に、彼等のアドバイスを受け入れて本当に良かったと思っているよ。
-「Rain」はこれまでのバンドのスタイルと、本作の先行シングル2曲で提示した新しいスタイルの橋渡しになっているような楽曲ですね。
「Rain」は、俺が初めてコーラスを全面的に歌った曲なんだよ。自分の声をしっかり見つけて、I PREVAILの新しい方向性を掴んだ最初の曲でもある。俺たちとしては、ヘヴィな部分もありつつ、メロディックでビッグなコーラスもある、まさにI PREVAILらしい核となる曲を作りたかったんだ。曲を書き始めたときから俺のお気に入りの曲の1つだったし、今でも大好きな曲だよ。もしI PREVAILのことを知っていてまだ新作を聴いたことがない人がいたら、まず聴いてほしいのがこの「Rain」だね。それくらいI PREVAILらしさが詰まっている曲だと思う。
-アコースティック・サウンドを取り入れたメロディックな「Crimson & Clover」もある一方で、「God」ではバンド史上最もヘヴィと言っても過言ではないサウンドを展開しています。このように振り幅の大きいアルバムを作ろうと意図したのでしょうか?
いや、最初からこんなに幅広い作品にしようって決めていたわけじゃないんだ。制作に入ったときはただ"最高の曲を作ろう"っていう気持ちで、オープンな姿勢で臨んでいたんだけど、制作の後半になってから、ある日"とにかくヘヴィで楽しい曲を書いてみよう。アルバムに入るかどうかは分からないけど、今できる限り一番バカみたいにヘヴィなものをやってみよう"って話になって、それで生まれたのが「God」だった。この曲を制作している最中はずっと"もっとヘヴィにできるか?"、"さらにヘヴィにするにはどうすればいい?"っていう感じで、どんどん突き詰めていったんだけど、俺たちにとってはすごく楽しい挑戦だったよ。
一方、「Crimson & Clover」は逆に、最初はアコースティック曲になる予定じゃなかったんだ。フル・バンド編成で作っていたんだけど、何かが足りなくて、"これだ!"っていう感触がなかった。で、誰だったか忘れたけど"コーラスだけアコースティックでやってみたら?"って提案があってね。試してみたらすぐに"うわ、これ最高だ!"と思って、"この曲全体をアコースティックにしたらどうだろう?"ってことになったんだよ。
そんなわけで、曲の半分くらいまで作って一旦作業を中断して別の曲に取りかかったんだけど、アルバム制作の終盤になって、この曲を収録するかどうかで少し意見が分かれたんだ。このアルバムに合わないかもしれないという意見もあったけど、俺は"絶対に入れるべきだ"って主張した。というのも、この曲があることでI PREVAILの2つの側面を見せることができるからね。つまり、バンドで一番ヘヴィな曲がある一方で、しばらく作っていなかったアコースティック曲もある。特にヴォーカルとメンバーが変わった今、10曲のアルバムでI PREVAILのあらゆる側面を見せるのは、とても重要なことだと思ったんだ。最終的にはみんなが賛成してくれて、"この曲のヴィジョンが見えてきた"って言ってくれたから、あのときの議論に勝てて本当に良かったと思っているよ(笑)。
-アルバムを締めくくる「Stay Away」は新境地のダウナーなサウンドですね。コーラスは女性ヴォーカルなのでしょうか?
これは俺たちがこれまで書いた中でもお気に入りの曲の1つだね。これまでに挑戦したことのないスタイルを取り入れて、もっとスペイシーで浮遊感がある夢のような雰囲気を持った曲を試してみたかったんだ。書いていて本当に楽しかったな。というのも、この曲に関しては、こんなサウンドにしなきゃいけないとか、I PREVAILらしく聴かせなきゃいけないとかの縛りが全くなかったからね。すでにアルバムのほとんどの曲が完成していたから、少し実験的なことをしてもいいんじゃないかって思ったんだ。
それに面白いことに、君は女性ヴォーカルって言ったけど、実はあれはDylanが歌っているハイ・ハーモニーなんだ。彼は本当にすごい音域を持っていて、この曲では彼のヴォーカルが際立っていると思うし、俺のヴォーカルと彼のヴォーカルの相性もばっちりだったと思う。実はこういうタイプの曲は『True Power』のときにもアイディアとしてあったんだけど、そのときはアルバム全体の流れに合わなくて見送ったんだ。だから、ずっと温めていたアイディアを形にできて本当に最高だった。何年も脇に置いていたものにようやく息を吹き込むことができたからね。
-2023年の来日で、I PREVAILは日本でさらに多くのファンを獲得されたように思います。今回のリリース・サイクルで、日本での公演は話題に上がっているのでしょうか?
俺はしょっちゅう日本のことや日本でのショーの話をしているよ。あのときの観客の反応は素晴らしかったな。"ヘイ! ヘイ!"って声を合わせたり、全員が一緒にジャンプしたり、ヘッドバンギングしたり、合唱してくれたりするんだ。俺たちの地元のミシガンですら、あそこまで一体感があることはなかなかないよ。文化的な違いもあると思うけど、日本のショーで見たパフォーマーに対する人々のリスペクトは本当に美しいものだった。アメリカだと"みんなジャンプして!"って言っても、せいぜい半分くらいしかジャンプしない。他の人たちはスマホで撮影したり、ビールを飲んだりしている。もちろん楽しんでくれているけどね。でも日本では俺がジャンプしたら、全員が一斉にジャンプしてくれるし、"声を出して!"って言えば、みんなが本当に声を上げてくれるんだ。あれは本当にすごかったな。東京でのステージ以来、あれ程気持ちよくプレイできたことはないよ。本当に最高だった。だから日本のことはよく話題になるし、また日本に行くのが待ち遠しいね。近いうちに必ずまた戻ってきたいと思っているよ。
-心から願っています。最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
もちろんだよ。まず最初に言いたいのは、俺たちはみんなのことが本当に大好きなんだ。いつもサポートしてくれてどうもありがとう! I PREVAILはバンドとして11年間活動しているけど、日本に行くことができたのはまだ1度だけなんだ。でも、これからもっともっと戻ってこられるように全力を尽くすと約束するよ。気長に待っていてくれて、本当にありがとう! またみんなに会うのが待ち遠しいな。次回は3回だけじゃなく、もっとたくさんショーをやりたいし、できるだけ早く日本に戻って来られるよう心から願っている。本当に辛抱強く俺たちを支えてくれて、心の底から感謝しているよ。
RELEASE INFORMATION
I PREVAIL
ニュー・アルバム
『Violent Nature』
[Fearless Recordings]
NOW ON SALE!!
配信/購入はこちら