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INTERVIEW

THE HALO EFFECT

2025.01.10UPDATE

2025年01月号掲載

THE HALO EFFECT

Member:Niclas Engelin(Gt)

Interviewer:菅谷 透 Translator:安江 幸子

-Mikaelはアルバムのアートワークにも関わっているとのことですが、アルバムのアートワークは前作との関連性を感じるデザインに仕上がっています。デザインの由来等あれば教えていただけますか?

俺たちはみんなAdrian Baxterの作品が大好きなんだ。ファンタスティックだよね。『Days Of The Lost』のジャケットには少しイェーテボリの要素が入っているんだ。シンボルみたいなデザインだけどね。俺が好きなタイプのジャケットは、手に取ってみて、一旦しまって、1年後にまた見たときに新しい発見があるやつなんだ。例えばIRON MAIDENの『Somewhere In Time』のジャケットを見て"あれ、こんなものがあったんだ"と気付くとかね。そういう感じのジャケットだと思うし、とても気に入っているよ。俺たちはイェーテボリ出身だから、今回もジャケットにイェーテボリの要素を入れているんだ。

-イェーテボリの要素というのは、例えば市の紋章が隠れているとか?

いや、イェーテボリのランドマーク的なものとかだよ。見てすぐ分かるようにではなくて、よーく見ると中に隠れているような感じ。

-地元の人が見たら"あれ、これって"と思うような。

そう、ちょっとそんな感じだね。

-全員イェーテボリ出身ですもんね。その要素は前作にも今作にもあると。つまり次の、3作目にも入れるのでしょうか。

それはまだなんとも言えないけど......(笑)。入っていても驚かないな。

-さて、収録曲について聞いていきたいと思います。シングルになった「Detonate」はまさに爆発的なリフの嵐で、"THE HALO EFFECT ver2.0"とでも言うような新鮮なインパクトを与える楽曲ですね。

音楽的にはギターが多用されていてメロディが多い。ソロが出たり入ったりしてね。メロディを多く入れる余地を求められた曲だったね。1度だけしか演奏されないパートが4、5ヶ所あるんだ。俺に言わせればそこがちょっとプログレ的だね(笑)。それから、JUDAS PRIESTの『Screaming For Vengeance』みたいにストレートなロックのヴァイブがあると思う。ああいう空間のあるアレンジが必要な曲だった。プレイしていて楽しい曲だと思うよ。プレイヤーとしても多くを求められる曲だね。

-「Our Channel To The Darkness」はフォーキーなイントロからファストなリフ、勇壮なメロディ、テルミンのようなサウンド等多彩な要素を持った楽曲です。

あの(テルミンのような)音はギターをいじって出したんじゃなかったかな? あの曲はライティング・プロセスの面で興味深いやつだったよ。コーラスで始まっているからね。(※イントロのアコースティック・ギターのフレーズを口真似)そこから正統派メタルみたいな感じでハードに始まっていく。メロディがとても気に入っているよ。アコースティックで少しゆっくり目にやってみようと言い出したのは俺なんだ。だから君が"フォーキー"と言ってくれてとても嬉しかった。それが俺の狙いだったからね。アコースティックで、これからのメロディを示したんだ。その後1回目のコーラスに入るところにも似たようなメロディを使っている。"あっ、あのメロディが戻ってきた! でも今回は何か違うぞ"という感じだね。

-分かります。曲全体のイメージも多彩ですね。

ありがとう! 気に入ってもらえて嬉しいよ。

-「Cruel Perception」は打って変わってイェーテボリらしい、ストレートなメロデス・サウンドに仕上がっていますね。

イェーテボリの要素が入っているのは間違いないね! 芯までイェーテボリだよ。と言いつつ、俺たちはメロディがちゃんとある曲が好きだから、曲の後半でブリッジが始まると、テンポがハーフ・タイムになる。Netflix映画にありそうな感じのメロディだよね(笑)。俺たちはみんなああいうのが大好きだから、取り入れてみたんだ。

-この曲はイェーテボリ出身者としてのアイデンティティが表れている曲なのでしょうか。

だと思うよ。メロディは俺たちの得意分野の1つだと思う。同じメロディが何回かバックグラウンドで繰り返されているのも好きだしね。口笛でもなんでもいいけど、別のことをやっているときに、そのメロディが忍び寄るように流れてくるんだ。リスナーも気付いてくれるといいね。"あれ、今のなんだ? さっきも出てきたような?"なんて思ってもらえたら。

-「March Of The Unheard」は中盤のツイン・リードが印象的で、ライヴでメロディのシンガロングが起きそうなアンセムに仕上がっています。

あれはさっき少し話したけど、ライヴのイントロとして作ったものだった。メロディのあるイントロが好きだからね。あれもちょっとフォークっぽいというか、ラララ~とシンガロングできるような感じなんだ。80年代のメタルみたいなところもあって、それがとても気に入っている。俺たち全員にとって納得のいく内容なんだ。

-ツアー中やその合間に曲を書いているという話でしたが、そういうライヴに親和性のある要素を入れることも、その影響で自然の流れだったのかもしれませんね。

そうだね。そもそもライヴのイントロとして始まったものを曲にしたというのもあるし。新曲を今後ライヴでやるのが楽しみだよ。みんな気に入って、大合唱になってくれるといいな。あるいは"なんだこれは"と立ち尽くすだけかもしれない。どうなるか分からないけど(笑)。

-もともとイントロやアウトロとして始まった曲ですし、この曲はアルバムのタイトル曲になるべくしてなったのかもしれません。

そうだね、俺もそう思うよ。曲があるべき姿に導いてくれるからそうなるんだと思う。最初は作っている自分も理解できていないけど、だんだん"なるほど、これがタイトル曲になるんだな"と思えてくる。それがとても重要なことなんだ。

-「Between Directions」はストリングスを用いたダークな楽曲で、ストリングスを使うのは初めてではないにしろ、新境地と言えるようなサウンドですね。

俺はイントロのリフを作ったんだ。(※チェロの音で始まるイントロの口真似)不気味で怖い感じだなと思った。昔のドラキュラ映画に出て来そうな感じで(笑)、追いかけ回されるんだ。クールでデス・メタル的で、THE HALO EFFECTらしいなと思った。で、曲作りを進めているうちに、Johannes(Bergion)とErika(Risinger)のことを思い出した。チェロとヴァイオリンをやる人たちで、バンドとも仲がいいんだ。それで彼等に電話して"今作っている曲に君たちのスキルが必要かもしれない"と言って曲を送ったら......彼等は真のアーティストだよ。こういうプレイをするというのをすぐ譜面に起こしてくれたんだ。彼等を使うという俺の直感は正しかった。その後作ってくれたものを聴いたら......"これだ、これこそがこれまで欠けていたものだ"と実感したよ。これがあるおかげでこの曲が羽ばたいて、独自の命を持つことができるんだ。そういう、新しいものを取り入れることに対してオープンでいることって大切だと思うし、曲を面白いものにしてくれると思う。俺にとってはね。

-ちなみにJohannesとErikaというのはクラシックのミュージシャンなのでしょうか?

そう、すごく幼い頃から始めてね。真のプロフェッショナルだし、独特の存在感があるよ。彼等と友達でいられてとてもハッピーだし、恵まれていると思う。

-長年の友人なんですね。彼等もイェーテボリ出身なのでしょうか。

付き合いは長いよ。出身も......たぶんそうじゃないかな? 少なくとも今住んでいるよ。

-才能がある人が地元にたくさんいていいですね。

そうなんだよ! すごくたくさんいるんだ。ただ、自分で見つけるのはなかなか難しい(笑)。

-「The Burning Point」は緊迫感のあるリフと壮大なメロディが融合した、「Coda」に入る前の本作のクライマックスと言えるような楽曲です。

そうだね、とても激しい曲だ。コーラスが壮大で、ギターはちょっとKING DIAMOND風だと思うね、特にソロ・メロディのあたりが。俺はAndy LaRocque(Gt)が大好きだから。いい曲だと思うし、聴いていて楽しいと思う。

-本作には「March Of The Unheard」の前奏曲である「This Curse Of Silence」や、本編を締めくくる「Coda」といったインストゥルメンタルの楽曲も収録されていて、アルバム全体を最初から最後まで聴くことを前提としたコンセプトになっています。前作でも全体の流れは重要だとおっしゃっていましたが、今作でも意識されたのでしょうか? 少なくとも音楽の面では、ストーリーラインがあるような気がします。

そうだね。俺はそういうふうに書くのが好きなんだ。全体のプロセスを始めるときというのは、たいまつをこう(※垂直になるように根元を握る仕草)に持って、最初から最後のマスタリング段階まで落とさないようにしっかり握っていないといけない。さっきも言ったけど、俺は先週新作のヴァイナルを手に入れたから、最後の段階まで完遂したということだね。その過程では、自分が何を感じて何を見ているかをしっかり把握していないといけない。レコ―ディングには地図が必要なんだ。曲の骨組みのようなものを前にして、その曲に必要なものを足していく。曲はレコーディングの合間も成長し続ける。曲によっては初めは"ダメだな、これは退屈だ"と思ってしまうものもあるけど、それが気が付いたらお気に入りになることもあるからね。そういう曲は花みたいに成長して、最終的に"うわぁ、なんてファンタスティックな曲なんだ"と思うようになるんだ。逆に、初めはお気に入りだったものが、あまり気に入らなくなってしまうこともある。たいまつを落とさないようにするためにはレコーディング中も曲を感じて、なんなら"曲を生きて、呼吸する"必要があるんだ。そうしていると、レコーディング中もいろんなものを吸収することができる。曲の層やフレーヴァーが見えてくるんだ。"これはここに入るべきだ"とか、"この曲はこの位置だな"とかね。俺はライティングやレコーディングのプロセスをぎりぎりまで続けるんだ。曲ができて半年経って、マスタリングのJens(Bogren)と一緒に作業していたときも、"あっ、これは取らないと。代わりにこれを入れよう"なんてやっていたよ。マスタリングが終わるまで、アルバムの形作りをしているんだ。サウンドがしっくりくるまでね。それが俺の仕事のやり方で、そうすることによっていろんな方向性が見えてくる。ただ、たいまつをしっかり持って、どの方向に行くのかのヴィジョンをしっかり持っていないといけない。それがとても重要なんだ。

-曲はたくさん書いたのでしょうか。日本盤はボーナス・トラックがありますが、ボツになった曲はありますか。

"ボツ"という感じではないね。レコーディングを終えた段階で、アルバムのあるべき姿を感じないことがあるんだ。そこそこの曲は入れたくない。書き手としての自分、バンドとしての俺たちが100パーセントを注ぎ込んだものだと実感できるものでないとね。そうしたらベストを尽くしたって分かるから。そうすると曲とコネクションが生まれて、曲に対する感情も生まれるんだ。そこから後はリスナーの感じ方に委ねることになるけど、俺には俺の感じ方があるからね。

-全体の流れ、曲順、ご自身の感じ方がとても重要なことになってくるんですね。たしかに「The Burning Point」に緊迫感があったので「Coda」から安らぎを感じました。しかも先程あなたが言っていたように「Coda」には収録曲の要素が少しずつ入っているので、アルバム全体を振り返ることができるようになっていますね。だからこそリスナーにも浸透しやすいんだと思います。

そうなるといいね。俺は流れのあるアルバムが好きだし、ディナーを作りながら聴いていても何か発見があるのがいいと思う。それで"あれ、もう終わり? もう一度聴いてみるか"と思ってもらえれば最高だよね。少なくとも自分でそう思えれば、そのアルバムはいいアルバムなんだ。

-1月からはヨーロッパ・ツアーを行い、夏にはフェスもすでに控えているようですが、今後の活動予定について教えていただけますか? 日本での公演もアイディアはあるのでしょうか。

もちろん! 日本に行く話はしているよ。何しろ俺たち全員にとって日本に行くのはマストだからね! 今話している間もツアーの計画を練っているんだ。俺たちは1年先、2年先を計画しておきたいタイプの、退屈なバンドの1つだからね(笑)。みんなのスケジュールを揃えないといけない。日本にはどうしても行きたいんだ。

-来日の発表が早くあることを願っています。最後に、新作や来日を心待ちにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

日本の素晴らしいサポーターたちにアルバムの曲を聴いてもらうことを楽しみにしているよ。俺たちも最高に気に入っている作品だから、『March Of The Unheard』をみんなが俺たちと同じくらい気に入ってくれることを願っているんだ。そして......もうすぐ会おう!