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INTERVIEW

nurié

2025.01.15UPDATE

2025年01月号掲載

nurié

Member:大角 龍太朗(Vo) 廣瀬 彩人(Gt) 染谷 悠太(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-そうした経緯があるからなのか、この「Firebomb」はキックの使い方がこれまでのnuriéには全くなかった感触になっておりますね。

染谷:そうなんですよね。リフとバチッとハマるキックになってますし、あとは16分でバーッと踏まなあかんかったです(笑)。とにかく曲タイトルに相応しい音にする必要があったんで、後半2行分だけ雰囲気が変わるところ以外はめっちゃ音数を詰め込みました。そこだけは歌詞をちゃんと聴かせたかったんですけど、あとは逆に歌を喰うくらいの勢いでいきたかったんですよ。

大角:僕もこの詞はかなり攻撃的なモードで書きました。"お前の異常は"、"俺の普通"っていうところは実際に自分が感じてるところだし、自分はバンドマンやからネジがどこかしら外れてるっていうのもあるんやろうけど、普通に働いてる友達と話したりしてると"そんなん俺等からしたら余裕やのに、何ビビってんの?"とか"そんなに悩むくらいやったら、お前の中に眠ってるもんをもっと爆発させてみろよ!"って感じることがあったりするんで、そういうことを詞にしてます。

-もっとも、先程染谷さんのおっしゃられていた後半の"あぁこんなにも愛おしいモノで溢れてる毎日を/終わらせない様 祈りを込めて愛を形に"という2行分のくだりは、音の展開も含めてガラッと趣が変わるところが味わい深いです。

大角:そこは特別な2行なんで、ここだけは聴かせ方を大きく変えたかったんですよ。

廣瀬:激しい感じで進んできて、最後エモい感じにしたいって言われてこうしましたね。

-そんな「Firebomb」から「流るる季節に君の面影」への流れも、いい意味でのギャップがありとても素敵です。マイナー・コードを用いた切なさを感じさせるこのアッパーチューンは、nuriéにとっての得意技が詰まった曲でもありそうですね。

廣瀬:だと思います。こういう歌モノはnuriéの得意分野です(笑)。

染谷:これもまた別の意味ですごくエモいんですよ。個人的にはこれがリード・チューンでも良かったくらいですね。

-"流るる季節に君の面影"という曲タイトルは小説か映画のようですし、そこから繋がっていくインタールード+環境音で構成されたSE「夏霞」、それを経ての「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温(album ver.)」は季節の移ろいを感じさせる物語性にも満ちている印象です。こうしたドラマチックな表現方法からも実にnuriéらしい手腕を感じます。

大角:ありがとうございます。「流るる季節に君の面影」は別れをテーマにしたストーリーを描いたもので、「夏霞」はもともとライヴで「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」の前に、より曲の世界が広がるようにということからSEとして流していた曲だったんですよ。

廣瀬:せっかくあるんやしということで、今回はアルバムにも入れることにしました。

大角:「眩く青の無影灯」から「冷凍室の凝固点は繋ぐ体温」までの流れは、夏の情景から一気に冷たい空気が流れ込んでくるような雰囲気に繋がっていく感じになりましたね。

-冒頭では"10まで拡げたものを今作では3くらいまで意図的に絞り込んだ"とのお話があったものの、それでも今作『Borderless』はnuriéというバンドの持つ多彩なポテンシャルを示す仕上がりとなったように思います。なおかつ、そんなアルバムの最後を締めくくるのがタイトル・チューン「Borderless」です。リード曲にこそなっていないとはいえ、この曲の持っている発信力も相当な強さとなっておりますね。

廣瀬:これは当初からアルバムの最後に入れる曲として想定しながら作ったものでしたし、スケール感のデカい曲になったと思います。

大角:歌詞はまず"Borderless"というタイトルとテーマがあって、そこから書いていきました。今までnuriéとして活動してきたなかで自然と生まれていた境界を融和したかった気持ちがあったというか......もっと広い視野で見たときにも、いろんな境界線を取り除けたらいいなという想いが自分の中にあったんです。

-コロナ禍の発生以降、国内のみならず世界的にも"様々な面で分断が起きている"というのはよく言わている話ではありますけれど、大角さんのおっしゃる境界線とはそうした分断とも関連していたりして?

大角:そこも意識してます。"いつの時代だって/肌や瞳の色が違うだけで/争って奪い合って"と歌ってるのはそういうことなんで。たぶん、人間が引いてしまっている区切りっていうのは、どんな世の中にも絶対に存在するものだと思うんですよね。そういうことも踏まえた上で"なんで人間はこんなにも分かり合えへんのやろう?"って疑問をここでは歌ってます。まぁ、バンドにしたって方向性の違いとかで活動が止まったりするようなことがあるじゃないですか。そういうのも、もっと話し合えてれば何か違った進み方もできたんじゃないかと思いますし、お互いの痛みに気付いたり、1歩ずつでもいいから歩み寄ったりする姿勢がみんなの中にあれば、少し世界は変わるんやろうなと考えています。

-「Borderless」は極めて普遍的な楽曲ですね。時代もジャンルも関係なく、まさにあらゆるボーダーを越えていく力を持った曲になっているのではないでしょうか。ドキュメント的な内容の「SUPER ROCK BAND」とともに、この曲もこれからのnuriéにとってさらに大切な曲になっていきそうな予感がします。

大角:この『Borderless』というアルバムが実質的に「SUPER ROCK BAND」で始まって、最後が「Borderless」で終わる形にできたのは、我ながらめちゃくちゃいいなと思ってますね。

-年明けからはワンマン・ツアー"nurié 2nd Full Album「Borderless」Release Tour 「Borderless」"も始まりますが、ここから様々な境界線を越えていこうとするnuriéにとって、最も大事になってくる志とはどのようなものだと皆さんはお考えです?

大角:ヴォーカリストとして言うのであれば、歌うときに目の前にいる人たちの心の扉を開いていってあげたいという思いはやっぱりありますね。特に初めてnuriéを観るお客さんや、対バンで観に来たお客さんたちに関しては、そもそも心を開いてくれていないこともあるので、それを開いてもらうにはこちらがどう向き合っていくかにかかっていますし、心を開いてもらえたらその次はしっかりそこに貫通させていくことも大事なので、できるだけ相手の気持ちを汲み取った歌や言葉をステージから投げていきたいと思ってます。

-なお、nurié程の幅広い表現方法を持つバンドだと、時には意地の悪い人から"これだけのことができるなら別にヴィジュアル系にこだわらなくてもいいんじゃないの"的な茶々を入れられる可能性もありそうです。その場合はどのように返されます?

大角:いや、そういう言葉に対しては正直なんも思わないですね。有象無象の意見としか感じないんで(笑)。せやからヴィジュアル系が成長しいひんねん、って思うくらいです。似たようなバンドがずっと回り回ってやってるヴィジュアル系シーンが嫌だからこそ僕はnuriéを始めたわけで、うちらがイレギュラーなことを起こしていかないと面白くならないだろうし、うちらは人と違うことをやりたいからnuriéとしてヴィジュアル系をやってるだけなんですよ。

染谷:場合によっては、そのうちヴィジュアル系の外側から"化粧落としたらええやん"みたいに言われることも出てくるんでしょうけど、僕等はヴィジュアル系を聴いて育ってるし、そのシーンが好きでここでバンドを始めたんで、音楽を表現するための手法としてメイクやったり衣装が必要で、その全てに意味がありますからね。もうそこは誰がなんと言おうと、自分等のやりたいことをやっていくのみです。例えば、先輩バンドでもフェスに出てたりする人たちもいたりしますけど、僕らもそっちで闘える力はあると思うんですね。そういうときも当然、ヴィジュアル系としてちゃんと勝負していきたいです。

廣瀬:いつどこでやろうとnuriéはnuriéでしょ、っていうことですよね。そこはあんまり深く考えてません。

-では最後に。2025年は早々からワンマン・ツアーもありますが、その他にも何か展望として描いていらっしゃることがあれば教えてください。

染谷:2025年のnuriéとして重きを置いているのは、6周年のタイミングでやる、7月27日のOSAKA MUSEでのライヴですね。今はそこのソールド・アウトを目指してます。4周年("nurié 4th ANNIVERSARY アンチヒーロー - 逸脱した正義か、果たして悪か -")のときには新宿BLAZEでやって、5周年("nurié 5th Anniversary ONEMAN 5 years, 5 colors")はVeats Shibuyaでやったんですけど、ちょっと背伸びしちゃったところがあったんですよ。それに、僕等は大阪のバンドですから。ここは大阪で地に足を着けてやっていこうということで、まだ埋められるかは分からないですけど、ここから堅実に1歩ずつ進めていこうという気持ちでいます。それもあって、年明けのツアーはちっちゃめの箱ばっかり選んでるんですよね。アルバムの新曲たちも5曲はまだライヴでやってないんで、それをやっていくことになるのも今から楽しみです。

廣瀬:自分たち自身でもまだ結構未知数なところがあるので、それが楽しみでもありドキドキもするところですね(笑)。