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INTERVIEW

黒曜日

2024.10.30UPDATE

2024年10月号掲載

黒曜日

Member:黒葉(Vo) CRAY(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

幻覚注意。狂気と正気はきっと紙一重で、時には現実から逃避した場所だけに漂う静けさや、尋常ではないくらいの激音の中から感じる痛みに救いを見いだすこともあるだろう。2022年に始動して、ここまでは映像制作を主体に活動を展開してきた黒曜日が、いよいよ満を持する形で12月6日に初ワンマン・ライヴ"黒曜日 ONEMAN『黒ノ乖離世界』"を渋谷Star loungeにて開催することになったのだという。なお、当日は会場にて2ndフル・アルバム『UGLY BORDER』の先行販売が決定している!

-黒曜日は12月6日に渋谷Star loungeにて初ワンマン・ライヴ"黒ノ乖離世界"を開催されることになっておりますが、このたびは激ロック初登場となりますので、まずは黒曜日の成り立ちについて伺わせてください。もともとは前身バンド VI-ヴァイ-で共に活動されていた黒葉さんとCRAYさんが、2022年に起ち上げたのが黒曜日となるそうですけれど、当初お2人が"新規のバンドとして動いていくならぜひやってみたい"と思い描かれていたのはどのようなことでしたか。

CRAY:黒曜日として最初にやりたいと思っていたのは、VI-ヴァイ-のときにはできなかったMVの制作でした。単に曲を作るという以上に、映像を通して黒葉さんの作る曲や歌詞の中にある深い世界観をより色濃く表現していきたかったんです。

-確かに、黒曜日はここまでYouTubeの公式チャンネルにてコンスタントにMVを発表されております。基本的には映像表現を主体にされてきたわけですね。

CRAY:特に動き出した当初は、完全にYouTubeでの活動がメインでした。あと、一時期はオリジナルのMVだけじゃなく、"歌ってみた"動画も結構上げていたんですよ。

-いわゆるボカロ曲の"歌ってみた"動画を上げられていたわけですね。また、同じ頃に作られていたのであろうオリジナル曲「月下一夜」(2023年11月リリースの5thシングル)や、「祇園ハイカラ」(2023年12月リリースの6thシングル)のMVからも、やはりボカロ文化の雰囲気が随所に感じられます。

CRAY:そこは時代の流れもありつつで、試行錯誤しながらも"そっち寄り"に挑戦していたところがあったんです。ただ、活動していくなかで本来的に黒曜日の持ち味というのは、やはりそことは違うものだなと感じるようになって動き方を変えていくことになりました。具体的には、今年2月からスタートしたMV 10本連続公開の企画から現在の方向性になってきたということですね。

-ヴォーカリストである黒葉さんとしては、黒曜日としてのここまでの流れや活動についてどのように捉えていらっしゃいますか?

黒葉:自分はVI-ヴァイ-の前にもヴィジュアル系バンドをやっていたことがあって、その後のVI-ヴァイ-に関しては方向性で言うとラウド系だったんですよ。でも途中から"このままでは本当に表現したいことが表現しきれない。やっぱりヴィジュアル系じゃなきゃできないことがあるな"と感じるようになっていき、改めて"もう一度ヴィジュアル系に戻ろう"と思って始めたのが黒曜日だったんです。CRAYも言っていたように、黒曜日では視覚的な面での表現を重視した活動ができていますし、自分は歌詞の面でもヴィジュアル系だからこそ表現できることを描けていると感じています。自分が歌いたいと思っているのは一般的な歌詞とはちょっと違っていて、それこそメジャーなフィールドでは扱えないような内容であることも多いんですが、ヴィジュアル系の世界だとそれをやりやすいところがあるんです。

-なお公式YouTubeチャンネルには"メンバーがこれまで培ってきたラウド、クラシック、ヴィジュアル、現代音楽、J-ROCK等─その全ての集大成として生まれ変わった【黒曜日】の独自の世界がここに完成。"との文言があります。ここで黒葉さん、CRAYさんの音楽的バックグラウンドについて教えていただくことはできますでしょうか。

CRAY:僕は最初、当時流行っていたロック・バンドを聴いてギターを始めることになったんですよ。でも、そこからさらにヘヴィで、V系のような過激な表現、楽曲、音を求めていくようになりました。自分で音楽をやっていけばいく程ヘヴィで激しいものが好きなんだな、っていうことを認識していくようになった感じですね。そのうち、派生して海外のメタルとかSLIPKNOTなんかもいろいろ好きになっていったんです。

-ギタリストとして好きだった方などはいらっしゃいます?

CRAY:Paul Gilbertさん、Steve Vaiさん、Joe Satrianiさんとかが好きです。日本人ではKelly SIMONZさんも好きですね。

-CRAYさんは基本的に技巧派ギタリストがお好きなのですね。では、黒葉さんの場合はどのような音楽的バックグラウンドをお持ちなのでしょう。

黒葉:影響を受けてきた音楽はたくさんあって、幼少期はクラシック音楽や映画音楽がとても好きで、自分で作曲をするようになってからは、ゲーム音楽からも多くのインスピレーションを受けるようになりました。バンドを始めるきっかけとしては、あるバンドとの出会いが非常に衝撃的で、大きな影響を受けたんですけど、その音楽をそのまま模倣しても意味がないし、自分が勝負できるとは思っていなくて。最終的に必要だったのは、これまで聴いてきた様々な音楽の要素を組み合わせて、自分独自のものとして発信することだったんです。その意識が黒曜日の音楽の根底にありますね。

-それから、公式プロフィールには"退廃美を礎とした独自の世界観"との文言も見受けられますが、黒曜日のバンド名はまさにそれを具現化したものだと言えそうです。よろしければ、この名を冠した経緯についてもぜひ教えてください。

黒葉:他にはない新たな造語をバンド名にしたい、というところがまずは起点になりました。ただ、意外とそこまで深い意味はないんです(笑)。とにかく覚えやすい名前にしたかったというのと、何かバンドとしての催しがあるときにリスナーさんたちの間で"今日は黒曜日だね"みたいに使ってもらえるとキャッチーでいいかなと思い、若干ノリで付けたところがありました。

-とはいえ、ダークな世界を描いているバンドに黒曜日というのはまたとない名称だと思われます。この名前でキラキラ系をやっているとは絶対に思いませんし(笑)。

黒葉:そうですね(笑)。そこはもしかしたら、無意識に黒曜日という言葉を選んでいたのかもしれません。

-そんな黒曜日では、黒葉さんもCRAYさんも曲を作られているそうですね。配分的にはどのくらいずつの割合で作曲されていることになりますか。

CRAY:1stフル・アルバム『ENDORPHIN』(2023年2月配信リリース)のときは、どちらかというと黒葉さんの曲のほうが多かったです。VI-ヴァイ-のときは僕の曲が多かったんですけど、今はほぼ半々くらいになってきたかな? っていう感じですね。

-そして、黒曜日はヴォーカリストとギタリストによるユニット形態となっておりますので、ここからは各パートの特徴やこだわりについても触れて参りましょう。黒葉さんが自覚されている、ヴォーカリストとしてのセールスポイントについて教えてください。

黒葉:これはよく動画に対するコメントでいただく言葉でもあるんですが、自分自身としても中性的な歌声については大きな特徴だと思っていますし、黒曜日の曲を活かしていく上でこの歌声はとても重要なものになってます。

-ちなみに、黒葉さんのXにおいて"声質を褒められるけどクレイくんの緻密な編集の力も大きいです。スパルタ式歌レコ"というポストをお見かけしました。スパルタ式とは、いったいどのくらいのスパルタ度合なのでしょうか??

黒葉:自分は感情や感覚で歌ってしまうことが多いんですが、それを音源にするとなるとクオリティの面で足りない部分が出てきたりもするんですよ。特に、CRAY君からはヴィブラートの回数とかミドル域の声の厚みについて指摘されることがあるので、レコーディングでは歌い直しが必然的に増えるんです。あとは、1回目と2回目のサビで歌詞は違うとしても"歌い方は揃えてほしい"と言われるようなこともあるので、歌い回しの面での歌い直しもよくあります。お互いに納得のいかない場所が出てきた場合、サビのワンフレーズだけで100テイク近く重ねたりすることもあるんです。