INTERVIEW
NEW YEARS DAY
2024.05.21UPDATE
2024年05月号掲載
Member:Ash Costello(Vo)
Interviewer:山本 真由 Translator:安江 幸子
-きっと耳も良くて、聴き上手でもあるんでしょうね。いいプロデューサーたちとのご縁もあったと言っていましたが、例えばお友達のLzzy Hale(HALESTORM/Vo/Gt)など、他の女性シンガーたちの歌から学んだりもしてきたのでしょうか。
もちろん! 彼女はたくさんのことを教えてくれたよ。一緒にツアーしたときは楽屋が隣だったことが多くてね。そういうときにウォーム・アップはどうしているのか聞いたら、私が知らなかったような声のケア方法をいろいろ教えてくれた。
-例えば水をよく飲むとか、メンテナンスにも気をつけているのでしょうか。
ええ。ツアーにはヴォーカル用のオイルやスプレー、錠剤、それからいろんな加湿器をたくさん持ち歩いているよ。ボトル式の加湿器があって、蒸気を気管まで運んでくれるの。あとは、ツアー中はあまりお酒を飲まないようにするとか、他のメンバーより早く寝るとかして、声を休めるようにしているよ。音楽が大音量でかかっているときはあまりしゃべらないようにするしね。つらいけどね。私だってみんなとつるみたいし。でも私の"楽器"は、他のメンバーとは違うやり方でメンテナンスしないといけないから。
-すみません、こうやってたくさん喋らせてしまって(笑)。
大丈夫! ライヴが今あるわけじゃないんだから(笑)!
-喋り声もいい感じです(笑)。
(笑)ありがとう!
-さっきプロデューサーの話が出ていましたが、今作は前作と同様、HALESTORMやSHINEDOWNとの仕事でも知られているScott Stevensと、Mitchell Marlowをプロデューサーとして迎えていますね。今回も一緒に組むことにした理由は?
前作で初めて彼らと一緒に仕事をしてすごく親しくなれたから、私のことをよくわかってくれている確信が持てたの。私の仕事の仕方や曲の書き方、歌詞の書き方、感情、ヴォーカル・パフォーマンスも熟知してくれているから、そんなにうまくいっているものを乱したくはなかった。ふたりプロデューサーがいるというのはあまり例がないの。たいていは自分のサウンドを作りたいから、役割をシェアしたがらない。でも私が両方と仕事をしたいと思ったのは、まずScott Stevensは素晴らしいプロデューサーで、いわゆるトップライン(最高級、最上位)の人だから。彼が作るメロディはすごくキャッチーでポップ。それからMitchell Marlowはヘヴィな音楽に秀でている。そのふたりを組み合わせたことによってマジックが生まれたんだと思ってるの。
-なるほど、これもまた二面性に繋がっているのですね。
いつもよ(笑)!
-彼らが今作に与えた影響は前回と違うものがありましたか?
今回の方が影響が大きかったのは、私が彼らを前より信頼しているからじゃないかな。彼らに理解してもらえていることを私も理解できていたしね。それもあって、私たち全員が前よりさらに自由になれたし、ずっと居心地良くやれた。彼らも私への理解を深めてくれていたから、何がうまくいって何がうまくいかないか、よくわかってくれていたしね。今回は全員のお互いに対する知識が高まっていたの。
-歌詞も、自分のことについてとてもオープンな印象がありました。パーソナルな感情を躊躇することなく出しています。もしかしたらそれは昔からやっていたのかもしれませんが、前回と同じプロデューサー陣で旧メンバーも復帰した今回は、いっそう楽に出せていたのではないでしょうか。
そうね。曲を書くというのは一夜にして得られるスキルじゃないし、一生かけて学ぶ人もいる。私に言わせれば、神から与えられるものだと思うの。もし与えられているのであれば、それを磨けばいい。与えられていなかったとしても、フェイクですることはできない。パーフェクトなものにするにはとても時間がかかる人もいる。私の場合はソングライターというよりソング・コンポーザーでリリシストで、曲の方向性のヴィジョンを持っているけど、自分の中にあるあらゆる思いから関連するものをピックアップする時間はかかるね。その方法を体得するのも時間がかかるものなの。今も学び続けている途中。
-常に自分を前へ前へとプッシュしているんですね。今回の顔ぶれでは心地よく仕事ができましたか?
もちろん! サポート体制がしっかりしているからすごくやりやすかった。特にヴォーカル的には、Jeremy ValentyneとBrandon Wolfeにすごくハードにプッシュされたの。私のためにそうしてくれて感謝してる。歌詞や曲を書くときもプッシュして、その場に安住しないように仕向けてくれた。私のことをよくわかっている人たちのサポート体制があったおかげで、それまでとは違う曲を生み出すことができたと思う。
-楽曲の制作プロセスについても教えてください。作曲はどのように行っているのでしょうか。中には合宿のような環境でレコーディングを行うバンドもいますが、メンバー同士の住んでいる地域が離れていると、オンラインでのやりとりがメインというバンドも多いですよね。NEW YEARS DAYはどちらのタイプですか?
私たちはなんでもあり。一緒に曲を書くために国内のあちこちに行ったこともあるし、別々に書いてから集まってまとめることもあるし、集まって一緒に書くこともあるし、このインタビューみたいにZoomでソングライティング・セッションをやることもある。どんな形であれ一緒に作ることが大事だからね。実はもう次のアルバムの曲を書き始めているの。
-なんと。
私たちにとっては自然なことなの。ソングライティングってワクワクするしね。何もないところから友達と"すごくクールじゃない! みんな聴いたらどう思うかな?"なんて言いながら興奮を作り上げていくのって、やめられない。
-物理的に一緒にいようといなかろうと、ケミストリーにフォーカスしているのですね。
どんな手段を取るかというよりどう作るかよね。
-ちなみに今はどうやって? ツアー前だとオンラインが多いんでしょうか。
今は極めてカジュアルな形ね。どういう方向性があり得るかとか、計画を立てているところ。本格的なソングライティングへのステップね。みんなが同じ認識で臨めるように。
-いつもこんなに早くスタートするのですか。アルバムを出したばかりですが。
ええ。というか、わざわざ"始める"ものではないような気がする。止まったことがないというか、コンスタントに創作しているだけでね。
-絶えず創作している流れの中で、アルバムができると出しているような感じでしょうか。
そうね。
-NEW YEARS DAYはデビュー当時からゴシックでダークなヴィジュアルを貫いていますが、今作のミュージック・ビデオもホラーやダーク・ファンタジー・テイストのクールな作品ですね。「Vampyre」はあなたが剣でヴァンパイアと闘うというストーリー性も感じられるエキサイティングな内容ですが、アルバムのコンセプトと共にメンバーが出したアイディアによるものなのでしょうか?
私たちのミュージック・ビデオはすべて私のアイディアから始まっているよ。あまり他の監督には声を掛けていなくて、だいたい同じ人を使っているの。これもソングライティングと同じで、信頼できる人、よくわかってくれる人と仕事をすることね。通常は私がコンセプトを考えついて、それを監督と密に詰めていくの。今回は初めて私が1歩下がって、監督にやりたいようにやってもらったんだよね。全部デジタルで作っていて......私にはまったくわからないから(笑)。一緒にできるところまでやって、それから1歩下がって、彼らのプロセスを信頼した。
-曲を書くときはいつも頭の中にヴィジュアルが思い浮かぶのでしょうか。
ええ。私のソングライティングはちょっと変わっていて、すごく視覚的なの。曲を書くときは頭の中にミュージック・ビデオが浮かばないと、完成させるに値しないか、書くのが難しいかという感じなんだよね。
-ヴィジュアルが曲と同時に浮かんでくる?
そうね。曲が書けた時点で、ミュージック・ビデオを実際に作れそうかどうかわかるの。
-その思い浮かんだ図を監督と共有するのですね。
ええ。たいていは喜んでくれる。創作の重荷がちょっとだけ楽になるし、アイディアを形にするのはすごく楽しいしね。