INTERVIEW
MAD JAMIE
2023.08.17UPDATE
2023年08月号掲載
Member:感情線あくび
Interviewer:山口 哲生
-めちゃくちゃ難しい質問をしますけど、RADIOHEAD、THE SMASHING PUMPKINS、RAGE AGAINST THE MACHINEの3バンドで、それぞれ好きな楽曲や作品を挙げるとすると?
難しい(苦笑)。なんだろうな......その時々で変わるんですけど、スマパンは、ずっと好きなのは「Tonight, Tonight」ですね。きれいな中にも何か黒いものも見えるし、でもそれがすごく儚くなってきて......っていう、あの世界が大好き。RADIOHEADは、最初に聴いて好きになったのは『Kid A』で。なんだこれは!? と思って。音楽ってなんでもいいんだと思えたというか、すごく衝撃的でした。今は1周回って『The Bends』のストレートな感じがすごい好きなんですけど、『Kid A』はアルバムを通して、情緒が音になって聴けることにすごく感動したし、変ですけど、助けられた気持ちもある。
-憂鬱なときに聴いたりとか。
そうそう。高校のときに好きだったなっていう思い入れもプラスして、『Kid A』で。RAGE(AGAINST THE MACHINE)で一番好きなのは、カバーだっていうことはあとから知ったんですけど、「How I Could Just Kill A Man」です。かっこいいし、ノれるし、怒ってるし、殺すぞって言ってるんだよな、こんなに何回も......みたいな(笑)。この曲はライヴ前にいつも聴いてるんですよ。それで士気を高めて、心にZackを宿してステージに立つっていう(笑)。
-そうなんですね(笑)。あくびさんとしては、感情に激しく訴え掛ける音楽が好きなんでしょうね。
そうなのかも。やっぱり心が動くものとか、動いた瞬間がどんなエンタメでもすごい大好きで。それに感動したから、あくびも心を動かす側になりたいなって、いつも思ってます。
-昔は音楽をやりたいという自分の気持ちに蓋をしていたのもあって、楽器とかも特にやられてはこなかった感じでしょうか。
そうですね。アイドルを始めてからですけど、アコギがあったらどこでも歌えるんじゃないかと思って。あいみょんの「マリーゴールド」が流行ってたから練習してみたんですけど、Fにつまずき......。でも、なんとか音が鳴るようになってきたなと思ったときに、右手をどうやっているのかわからなくなって、押し入れにしまってますね(苦笑)。でも、機会があったらやってみたいことのひとつとしてずっとあります。
-ギターを弾いて、ご自身で曲を作ってみたいなとかも?
うん。この前、作詞は初めてやらせていただいたんですけど、作曲は未知というか。目に見えないものをどうやって生み出しているのかわからないんですけど、それで自分を表現できるのかなと思うと、機会があったら挑戦したいなって思ってます。
-お話に出ました作詞についてですが、再始動後に発表された「Over the moon」(2023年5月17日リリース)という楽曲で歌詞を書かれていて。先ほど"普段はひとりで家に閉じ籠っている"とおっしゃっていましたけど、そういう情景が浮かんできました。どんな歌詞を書こうと思っていましたか?
あくびはお月様が大好きで。小さい頃から憧れていて、誰にも言えないことを月に話し掛けていたし、今もしているんですけど、そういうことを曲にできたらいいなと思って、月を題材にして書きました。
-そういう意味では、この歌詞もノンフィクションだと。
うん。あくびの気持ちとか日常というか。今までもしてきたし、これからもするであろう、月に憧れを抱いているあくびのノンフィクションな部分です。
-実際に作業されるにあたって、筆は進みましたか?
題材とタイトルだけ先に相談して、それでいくことが決まってから、月に対してどう思っているのかなって改めて考えたり、また月と話してみたりして。書きたいことを書き溜めて、それをはめていった感じだったんですけど、わりと進んだほうなのかな。初めてなので基準がわからないんですけど。
-あ、たしかにそうですよね(苦笑)。失礼しました。
でも、すごく楽しいのと、これで大丈夫なのかなっていう気持ちと......(苦笑)。自分のメモとか、日記みたいなものが本当に歌になって、人に届くものなのかなって。でも、歌詞に合うようにメロディを変えてもらったりとか、あくびが歌いやすかったり、気持ちを込めやすいように作ってもらえて。だから、初めてということを楽しんで作詞できたんじゃないかなって思います。
-その曲をライヴで初めて歌ったときにどんな感覚になりました?
なんか......すごい! って(笑)。MVを先行公開したんですけど、そのときは自分が作詞した曲が届いている実感みたいなものがあまりなくて。だけどライヴでやったら、みんな示し合わせていたわけでもないのに、サビで手を(左右に)振る動きをしてくれたり、口を動かして一緒に歌ってくれていたりするのを見て、"えっ、聴いてるの!?"と思って。
-みなさん聴いてらっしゃると思いますよ(笑)。
はははは(笑)。いや、なんか少し恥ずかしい気持ちもありつつ、でもすごく嬉しくて。初めて味わう感覚でした。
-今後も作詞はしていきたいですか?
うん。作詞もそうだし、自分の中身を出せることってすごく嬉しいから、そういうことはこれからもやっていきたいです。
-「Over the moon」以外にも、LIQUIDROOMワンマン以降は「show more」(2023年5月22日リリース)、「NO TIME TO DIE」(2023年5月27日リリース)と立て続けに楽曲を発表されていて。「show more」は、先ほど"心にZackを宿している"というお話をされていましたが、なんていうか、この曲も中指を立てているんだけど、立て方が面白いなと思って。
立て方(笑)。たしかに、たしかに。
-"Show more ねぇ"を"しょうもねぇ"と歌っていたり、最後に叫んでいる"Shine!"もローマ字読みしたらそういうことですし。そういった中指の立て方がユニークで面白いなと思いました。
そういう怒り方みたいな表現は今までそんなにしたことがなかったし、日常でもそんなにないんですけど。でも"しょうもねぇ"ってすごいキャッチーだし(笑)、"しょうもねぇ"って言っておきながら、もっと見せて(=Show more)っていう。
-そうそう! そこのダブル・ミーニングも素敵ですよね。
この歌を通してじゃないとあまり出すことがない感情だから、そこが音楽の楽しさだなと思うし、そこでJamieと通じ合えるというか。この曲を聴いたときに、誰かを思い浮かべる人がいたり、それは何も人だけじゃなくて概念とか、いろいろあると思うんですけど、みんなの怒りが重なってこの曲ができあがると思うから、すごい楽しいなって思いながらライヴしてます。最後の"Shine!"も、ハイトーンで叫ぶのがすごく大好きなので、歌っていて楽しいです。
-「NO TIME TO DIE」も、ここからの決意表明を歌っていますね。
これまでMAD JAMIEで作ってきたものもすごく大事だし、かけがえのないものとしてあって。それを全部背負って、あくびがもっと大きく、もっと熱くして、これから突き進んでいく意志と覚悟をとにかく提示していこうと。Jamieには信じて良かったなと思ってもらいたいし、こちらからしたら、これからも信じて大丈夫だし、一緒に行こうっていう気持ちが一番大きく出てますね。
-そして、今後の予定も続々と決まってきています。11月からはツアーを予定されていて、12月にはアルバムを発表予定。12月27日には渋谷CLUB QUATTROでのワンマン・ライヴ"THIS is NONFICTION"を開催されます。QUATTROは前体制のときに立っているステージでもありますが、この会場を選んだ理由というと?
QUATTROは過去にも立たせてもらって、いろんな景色を見れたすごく思い出のある場所なんですけど、そのうえで、次の12月のQUATTROは、ひとりでやることを決めてから初めて決定したワンマンなんですよ。LIQUIDROOMは前体制のときに決まっていて、でもひとりでもやると決めたものだったので。だから、ツアー・ファイナルではあるんですけど、ここをスタートにして、びっくりするぐらいトントントンとみんなで駆け上がっていくぞ! っていう気持ちを込めて、この場所を選びました。
-ここから駆け上がっていくなかで、今後の目標や、ここからどんな活動をしていきたいと考えていますか?
これはずっと言っているんですけど、まず日本武道館に行くことしか見ていないというか。今はそこに行くために、それだけを見て、いろんなことをしていて。なので、まずは武道館です。そのうえで、日本で一番の"IDOL PUNK ROCK"というものを背負っていきたいです。それで日本一になって、それを踏まえて世界に届くような、世界中のみんなが"MAD JAMIE、最高!"、"Kawaii is Fxxk!"って言うぐらいになっていきたいです。
-あくびさん個人としてはいかがです? "こういう存在になりたい"みたいなものはありますか?
あくびは、とにかくスターになりたいです。スターって、応援している人が、その人を応援していることを誇りに思えるし、それがその人の中で大きなパワーにもなるし。それに、スターになったら永遠になれると思っていて。その人の中で、一瞬だけじゃなくて、ずっとずっと残り続ける存在になるなって思うから、あくびはスターになりたいです。
TOUR INFORMATION
"THIS is NONFICTION"
12月27日(水)渋谷CLUB QUATTRO ※ツアー・ファイナル
OPEN 18:00 / START 19:00
[チケット]
前売 ¥3,000 / 当日 ¥4,000(D代別)
1次先行チケット(Kawaii is Fxxk 靴下付き):~9月30日(土)23:59
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