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INTERVIEW

QUEENS OF THE STONE AGE

2023.06.15UPDATE

2023年06月号掲載

QUEENS OF THE STONE AGE

Member:Josh Homme(Vo/Gt)

Interviewer:山﨑 智之 Translator:原口 美穂

-その表現のひとつが、アルバム収録曲「What The Peephole Say」の"I don't care what the peephole say"でした。あの曲は、10代の若者があなたを学校に連れていくという内容ですが、前回のアルバムでも、「The Way You Used To Do」で"When I first met her she was seventeen"という歌詞など、同じくティーンに関する表現がありました。そして、この曲はロックンロール・ノスタルジアだと説明していますね。ロックンロールがティーンエイジャーとキッズのためのもだと。「What The Peephole Say」も、それと同じコンセプトなのでしょうか?

この曲の内容のひとつは、自分の仲間や、近所の人たちが何をしているかが気になることがあるけれど、俺は、他の人がどう思っているかなんてことに気を取られたくないんだ。世論というのはとても残酷で愚かなものだと思う。だから、どうして彼らの言うことを聞きたいと思うのか? そしてそれ以上に、それにどうやって対処したらいいのか? ということだよ。どういうわけか、俺はこの曲を聴いて自分の若い頃を思い出した。そして、昔の映画がたくさん思い出されたんだ。マット・ディロンが出演している"レベルポイント"とかね。その映画では、ティーンエイジャーたちが高校を占拠して、パトカーを燃やすんだよ。彼らはアメリカの郊外にうんざりしていたんだ。俺は、この哲学を理解している。規則や学校、政府にうんざりしてクソ食らえと思うその哲学。この曲を聴いていると、なぜか、"狼と羊と羊飼い、君はどれになりたい?"と問われている気持ちになった。どれでいることが大事かと。そこで俺は、狼だと思った。狼になって外へ出たいと。これは、アメリカン・ドリーム対するアメリカの反乱なんだ。

-あなたはマット・ディロンやラルフ・マッチオ、"ランブルフィッシュ"なんかの世代なんですか?

そう。"ランブルフィッシュ"は俺のバイブル。"ランブルフィッシュ"以外のS・E・ヒントンの本も読んでいたし。

-「Sicily」という曲はどうして"Sicily"というタイトルなんですか? これはイタリアについての曲ではないですよね。

俺は理想をロマンチックに追い求めるために音楽を奏でる。公平、真実、正義、愛、そして復讐。これらをロマンチックに追い求めているんだ。そして、俺にとってシチリアは、失われた古代、征服された古代の舞台。俺にとって古代は現代よりももっと知的で、性的で、強引に感じられる。この曲から、俺はそれが感じられたんだ。まるで1,000年前のような音。そういうふうに伝わってくるのはすごく面白いと思う。

-QOTSA(QUEENS OF THE STONE AGE)のサイケデリア・ソングと言ったら一番近いですかね?

いいと思うよ。サイケデリアとは、通常の曲の構成をあえて無視して、ただぶらぶらと触覚を動かしているようなものだ。だからこの曲は、その性質上、すごくサイケデリックだと思う。

-「Negative Space」は、「Space Oddity」(David Bowie)みたいな感じですよね。"Ground Control to Major Josh"みたいな(笑)。この曲を作っているとき、David Bowieは意識しましたか?

実は、この曲の歌詞を書いているとき、俺はいい精神状態とは言えなかったんだ。そして俺は、宇宙飛行士のことを考え始めた。宇宙船から切り離された宇宙飛行士。宇宙では、自分の動きを止めるものが何もないだろ? 身体がランダムに動き続ける。地球を眺めながら、深い宇宙へと向かっていく。そして最終的に、"忘却"という言葉を思いついたんだ。諦めた瞬間に出てくる最初の呼吸。希望も考えもすべてどうでもよくなった状態。憂鬱だけど、これが現実なんだと受け入れる。この曲を書いているときに俺の頭の中にあったのはそれなんだ。俺は、ここ何年か、嫌でも何かが起きてしまうということを何度も体験している。自分がどんなに嫌でも、どんなに願ってもどんなにお金があっても、どんなに一生懸命約束をしても、それは起こるんだ。それはある意味、忘却の形でもある。そして、俺は他の誰もが気づいていたであろうシンプルなことにも気がついた。空間とは、ふたつのものの間に存在する無だということ。そしてその無が、宇宙の大部分を構成している。歌詞を書いているときに俺の頭にあったのは、その考えだったんだ。

-わかりました。さて、いつもあなたは多くのゲストを招いていますが、今回のアルバムではそこまで有名なゲストがいませんね。ARCTIC MONKEYSのMatt Helders(Dr)が、「Emotion Sickness」にバック・コーラスで参加していたりもしますが、今回はあまりアルバムにゲストを招かないようにしたのでしょうか? また、Billy Gibbons(ZZ TOP/Gt/Vo)はあるメディアであなたの新作にゲスト参加したと言っていましたが、彼は結局参加しなかったのでしょうか?

Billyは参加していない。彼は、ずっと前のDESERT SESSIONSのことを話していたんだと思うよ。その作品(2019年リリースのコンピレーション・アルバム『Vols. 11 & 12』)で、彼は驚異的な存在感を放っているから。俺は、すべての状況はそのときの状況に応じて変化するものだと思っている。今回のアルバムでのヴォーカルに関して、俺はすごく弱さを感じていたんだ。歌うことがすごく怖く思えた。自分が何を言おうとしているのかにも恐れを感じていたしね。それは、精神的にあまりいいところにいなかったから。だから、今回はほとんどの作業をひとりでやる必要があったんだ。弱音を吐くとき、必ずしもElton Johnに立ち会ってほしいとは思わないだろ(笑)?『...Like Clockwork』が完成したとき、俺たちはとても長い時間をかけてアルバムをレコーディングした。だからあのときは、スタジオにたくさんの友人たちが来て、マイクに向かってハローと言うと参加ゲストが増えていった。とても面白かったよ(笑)。でも今回は、つらいことや恐怖に関して歌っていた。そういうときは、暗いところで、ひとりで歌ったほうがいいこともある。

-なるほど。Mark Ronsonとの仕事はどうでしたか? また一緒にやりたいですか?

彼は本当に素晴らしい人で、素晴らしいプロデューサーだと思う。Markには8人の兄弟がいるから、それもあって最高のコミュニケーターなんだ。周りに存在するものすべてとコミュニケーションを取ることができる。プロデューサーの役割は、結局のところ優れたコミュニケーターであることだと思う。レコードを制作するのなら、誤解を避け、素晴らしいコミュニケーションを取り、触媒となる必要があるからね。Mark Ronsonは、それが完璧にできるんだ。

-QOTSAのレコードは、リフを繰り返し使うことによって催眠効果を引き起こしたりしますよね。そして以前、あなたは"ロボット・ロック"という言葉を使っていたりもしました。あれは、"ストーナー・ロック"というタグを避けたかったからですか(笑)?

その通り(笑)。当時は特に、俺は世界に加わるのではなく、世界を作り出したいと思っていた。で、もし誰かが"ストーナー・ロック"と言ったとしたら、他に彼らが使える名前を考えればいいんだと気づいたんだ。自分の好きな言葉を使ったほうが断然いいからね。だから、君が言ったことは100パーセント当たっている。

-今回のレコードはあなたのスタジオ、ピンク・ダック・スタジオで録音されたそうですね。でもクレジットには"RIP"と書かれています。あなたはあのホーム・スタジオを閉鎖したのですか?

そうなんだ。この4年間で、俺はたくさんの心痛を味わった。そのうちのひとつが、スタジオとの別れだったんだ。でも、さっき話したように、それはそれでいいんだと思う。俺は、こうあってほしいと願い続けるのではなく、ありのままを受け入れることが得意になりたい。だから、これを受け入れることが自分にとって大切なことだと信じている。あのスタジオは大好きだったけど、これはこれでいいんだ。

-ツアーをスタートさせたばかりなので、この質問をするのは馬鹿げているかもしれませんが、QOTSA以外の仕事、例えばDESERT SESSIONSやTHEM CROOKED VULTURES、EAGLES OF DEATH METALなどの活動は期待できるのでしょうか?

もちろん。6年休みを取ったから、これからたくさん音楽を作りたいと思っているんだ。それが何になるかはまだわからないけど。待たせはしないよ。

-前回は、2017年、2018年と2年連続で来日しています。だからそのあとまたすぐ来てくれると思っていたんですが、もう5年も経つんですね。そろそろ戻ってきてくれますか(笑)?

日本だけじゃなく、5年間どこにも行ってないんだ。実は、今息子が週4回日本語のレッスンを受けているんだ。息子は日本のすべてに夢中で、漫画も大好きで、"進撃の巨人"の大ファンだよ。まだ11歳なのにすごくおいしいラーメンも作るしね(笑)。

-あなたは漫画を読んだことはありますか?

あるよ。"進撃の巨人"は読んだ。あれはすごく魅力的だと思う。俺は、日本の文化に深い興味を持っている。文化の面で、俺たちはすごくまっすぐだから。俺の家族、特に息子は日本に魅了されているよ。だから、また日本に行くのが待ち切れない。もちろん息子も連れて行くよ。