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INTERVIEW

BLVCKBERRY

2023.02.13UPDATE

2023年02月号掲載

BLVCKBERRY

シーンに突如として現れ、メンズ・アイドルのイメージを覆しながら圧倒的我流を貫く6人組ニュー・ミクスチャー・ボーイズ・グループ BLVCKBERRY。明希(シド)からの楽曲提供を受け、見事オリコンデイリー1位を獲得した前作『ジュブナイル / TOKYO DOPE』から半年、初のホール・ワンマンとなるLINE CUBE SHIBUYA公演"1st ONEMAN TOUR「NATURAL BORN ERRORS」GRAND FINAL at 渋谷公会堂"を控える彼らは2月14日に3rdシングル『NATURAL BORN ERRORS』をリリースする。このタイミングでなぜこの楽曲が生まれたのか、"生まれながらにガラクタだった僕ら。"に込められた意味を、今回もメンバー6人に加えプロデューサーである猟平(ex-CLØWD/SPVRK)にも同席してもらいとことん語ってもらった。

Members:庭瀬 風葵 篠崎 優瑠 新 凛乃佑 竜城 詩季 岸 巧人 椿 遥斗
Producer:猟平(ex-CLØWD/SPVRK)
Interviewer:オザキケイト

前回インタビュー(※2022年8月号掲載)したのは前作『ジュブナイル / TOKYO DOPE』(2022年の2ndシングル)のリリースとZepp DiverCity(TOKYO)ワンマン"BLVCKBERRY 1st ANNIVERSARY ONEMAN「極上東京」"を控えていたときでした。結果として2作連続となるオリコンデイリー1位の獲得、ワンマンも超満員で成功を収めましたが、その当時を振り返ってもらえますか?

優瑠:これまでのワンマン前は不安のほうが大きくて、ライヴが始まってフロアの景色を見て吹っ切れることが多かったんですけど、Zeppのときはやれることはやったし、最高のBLVCKBERRYを見せることができるんだと自信に満ち溢れていて、むしろ楽しみな感情のほうが強かったです。明希(シド/Ba)さんが与えてくれたものもたくさんあったし、僕たちにとってかけがえのない1日になりました。

詩季:「ジュブナイル」という楽曲のみならず、その後主催イベント("AKi LIVE 2022 「Craze Freaks」 #02")に呼んでもらって共演したり、個人的に連絡を貰ったりと、明希さんから与えてもらったものがたくさんあったなと思います。

凛乃佑:最近ZeppワンマンのBlu-ray(2023年1月会場限定先行リリースの『「極上東京」at Zepp DiverCity Blu-ray』)が出て、改めてあの日のライヴを見返してみたりもしたんですけど、またあのステージに立ちたいと思いました。

遥斗:これまでのワンマンもそうなんですけど、その中でもZeppワンマンは特に"Zeppのために"とやってきたので、今でも映像で見返すとあの日の気持ちが鮮明に蘇ってくるくらいいいライヴだったなと多います。とか言いながら僕の家にはBlu-rayを観る機械がないので、YouTubeで観るしかないんですけど......(笑)。

一同:(爆笑)

風葵:当日のMCでも話したんですけど、Spotify O-EASTワンマン("BLVCKBERRY 2nd ONEMAN LIVE「僕らの未来図」at Spotify O-EAST")までは自分たちのことに必死で遠くばかり見ていたんですね。でも、それじゃダメで。僕たちを一番近くで応援してくれている人たちを愛すという一番大切なことを見落としていたことに気づいたんです。身近な人を愛さなければ、身近な人から愛されない。当たり前なことですけど、活動していくうえで大事なことに気づかされた日でもありました。

-当日印象に残っていること、思い出などはありますか?

詩季:Zeppの楽屋の廊下に、これまで出演してきた錚々たるアーティストの方々の写真やサインが飾られていて、Zeppの歴史を感じると共に僕たちもここに名前が刻まれるのかという嬉しさがあったのは覚えています。それに、あの日撮った写真とサインが本当に飾られているのかを確かめに、もう一度あの場所でライヴをしたいという思いも芽生えました。

-プロデューサーの視点からはあの日はどのように映っていましたか?

猟平:あの日僕らは、限りなく不可能に近いことをやろうとしていました。というのも、バンドにしてもアイドルにしても結成1年という速度でのZeppワンマンは見たことがないし、それでも"ワールドカップ"で日本がスペインやドイツに大金星をあげたように、わずか数パーセントの糸口に全員で向かっていけたということが乗り越えられた要因かと思っています。

-その Zeppワンマンで発表されたのが"NATURAL BORN ERRORS"というタイトルですが、このタイトルはどのように生まれたのでしょう?

猟平:我々がZeppワンマンに向かうというタイミングで、自分たちがZeppのステージに相応しい人間になるために、すべてにおいて完璧でなければいけないというマインドに良くも悪くもなっていた時期があって。それ自体とてもいいことなんですけど、そこを意識しすぎるあまり雰囲気が悪くなってしまったんです。

-自分たちの首を絞めてしまっていたと。

猟平:そうなんです。でも、それがすべてでもなければ正義でもないことに気づいたときに、この世界にいる80億人、どこを探しても完璧な人間なんていないという真理に行き着いたんです。富豪であれ、天才学者であれ、どこかしら欠けているわけで、ましてや僕たちだって様々な欠点がある。それを身の周りで感じることで強く思ったこともあって、それらを肯定するための言葉として、逆説的に完璧な人間なんてどこにもいないんだよという意味を込めて"生まれながらにガラクタだった僕ら。"というテーマが生まれ、そして"NATURAL BORN ERRORS"というタイトルにした一番の理由ですね。

詩季:そういう意味ではこの"不完全で不揃いで生まれながらにガラクタの僕たち"というテーマを衣装に落とし込めればいいなと思って、アベンジャーズのように6人に6通りの個性があることで"不揃い"を表現して、さらにこの6人が集まることでBLVCKBERRYになるというコンセプトを提案させてもらいました。

-衣装までもテーマとリンクしているんですね。

詩季:はい。これまでは衣装さんがメンバーのイメージをラフ画に起こしてスタイリングしてもらっていたんですが、今回はZeppまでやりきったことで、メンバーそれぞれになりたい自分の理想みたいなものが生まれてきているという肌感もあったので、メンバーに"あなたはどう見られたいのか"というアンケートをとって、それを今回の衣装に反映させました。

-そういった一貫したテーマに沿って物事を進めていくというのもBLVCKBERRYのアイデンティティのひとつかもしれないですね。

詩季:そうですね。また、これもテーマと紐づくこととして、今回はダンスの振付を優瑠の師匠にお願いしていて、そこでも"不揃い"を表すためにあえて正面を向くのではなく、それぞれがバラバラの方向を見るようなフォーメーションを取り入れることで、メンバーひとりひとりにスポットが当たるようにしてもらったりもしました。なので、今回はひとつのテーマに対して、楽曲、MV、衣装、ダンスとすべてがカチッとハマった感覚はありますね。

-楽曲制作にあたり、LINE CUBE SHIBUYAという会場は意識したのでしょうか?

猟平:やはりLINE CUBE SHIBUYAという場所はZeppより敷居が高いと思うし、それを踏まえたうえで今のBLVCKBERRYでは音の鳴りや曲の持つ空気の再現度が足りない。なので、そこを補うためにも、端的な言葉で言うと壮大さやドラマチックさが楽曲に必要だなとは感じていました。

-なるほど。

猟平:でもスタジアム・ロックにはしたくなくて、あくまで今のBLVCKBERRYの延長線上にあって、なおかつ壮大さやドラマチックさを含んだものを作ろうとした結果、この楽曲であり今回の構成ができあがりました。

-メンバーには「NATURAL BORN ERRORS」という楽曲はどう見えていますか?

巧人:1回目に聴いたとき、まずその繊細さに気づくんですけど、そこから聴き重ねるごとに奥で鳴っている音や作り込まれた細かい部分に気づいて、よりぐっとくるものがありました。聴けば聴くほどいろいろな発見や気づきがあって、それによって感じ方が変わってくるのが猟平さんの楽曲だなという印象です。

遥斗:通して聴き終えたときに1本の映画を観たような感覚を覚えました。楽曲がひとつの物語になっているような構成で、最後はうるっとしてしまいました。

凛乃佑:BLVCKBERRYの歴史を走馬灯で観てるような気持ちになりました。それに、歌詞が外から見たBLVCKBERRYというよりは、内側のよりリアルな僕たちを描いているからこそ、メンバーや一番近くで見てくれているファンには刺さるんじゃないかと思います。

詩季:歌って、始まって3秒でその曲の続きを聴きたくなるかが決まると思っていて、僕自身も4分以上ある曲を最後まで聴くことって少ないんですけど、この曲は聴き進めていくとドラマがあって、いちリスナーとしてもこの曲は最後まで聴くと思うし、最後まで聴いて納得できる曲になってると思います。

-先ほどのお話を聞く限り、かなりの難産だったことが想像に難くないです。

猟平:すべての人に迷惑を掛けたほどの難産でした。というのも、リリースを重ねると必然的に楽曲のハードルが上がっているような感覚になってしまうというのがひとつと、さらに今回は「ジュブナイル」という明希さんからいただいた宝物の次に出す楽曲だからこそ、それをどのように超えていくかというところの戦いでもありました。

-人知れずプレッシャーと戦っていたのですね。

猟平:具体的な話をすると、当初は前半のハーフ・ビートのまま最後まで行くつもりだったんですけど、それだとバラードになるなと。だから途中から展開を変えて、ラスサビを含めると4段階の構成に変えたりだとか、BLVCKBERRYの楽曲はサビで転調する曲が多くて、それを今回使ってしまうとキャッチーになりすぎてメッセージを届けるための曲の世界への没入感がちょっと減るなとか。理論的なところとグループの見え方を共存させるところにすごく時間を費やしました。

-今"メッセージ"という言葉がありましたが、ソロで歌い繋いだ先のラスサビの歌詞がこの楽曲のすべてだと思いますし、そこで初めてユニゾンが登場することでそのメッセージの威力がさらに増すなと感じます。また、今回の歌詞には「2035」(2021年12月14日リリースの1stシングル表題曲)の歌詞が登場しますよね。

猟平:そうなんです。「2035」に"運命をちょっとつまんで"という歌詞があるんですけど、僕らがあのときにつまんだ運命の先にある未来が現在に繋がっているんだよという意味を込めて"僕らがつまんだ運命(ミライ)の先で"という歌詞を書きました。