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INTERVIEW

BLIND CHANNEL

2022.12.16UPDATE

2022年12月号掲載

BLIND CHANNEL

Member:Joel Hokka(Vo)

Interviewer:菅谷 透 Translator:安江 幸子

BABYMETALみたいな素晴らしいバンドを生んだ国だし、日本でも俺たちの音楽を理解してもらいやすい気がする


-「Balboa」はアグレッシヴで、高速ラップとキャッチーなサビがクールな楽曲ですね。歌詞からは回復力や立ち直る力を感じたのですが。

そう、それだよ! アンダードッグ(負け犬、弱者)たちへのアンセムだね。あの映画("ロッキー")に出てくる"Balboa"(主人公のロッキー・バルボア)はアンダードッグを絵に描いたような人だし、名前を使ってみたかったんだ。タイトルとしても、ストーリーが伝わるいい選択だったと思う。俺にとってはアルバムの中でもベストな曲だね。ライヴでやるとファッキンなくらい楽しいんだ。曲が始まって俺が"I'mma keep coming back/Keep coming back(俺は何度でも蘇る)"と歌い出すと、一斉にモッシュ・ピットが始まってみんな飛び跳ねるんだ。サビでは大声で歌ってくれるしね。

-大盛り上がりの曲なんですね。

そうなんだよ! すごくヘヴィだしね。

-「National Heroes」から繋がる「We Are No Saints」は、急速な人気を得てアイドル視されてしまうようになったことへの反発のようにも感じられます。

そうだね、俺たちが俺たちじゃないものになることを期待する人が増えたというのはある。そういう人たちに対する手っ取り早い答えで、"俺たちは聖人なんかじゃない"と歌っているんだ。俺たちはみんながなってほしい人物像じゃないんだってね。これが俺たちなんだから、受け入れてくれるか去るかなんだ。そういうメッセージが隠れている。

-BLIND CHANNELは決して一夜で成功したわけではなく、10年分の努力がようやく花開こうとしていますよね。もしかしたら、そんなバンドのことを自分たちのロール・モデルとして見習いたいロック・キッズもいるのではないでしょうか。

うん、たしかにそれもあるとは思うね。でも俺たちはやっぱりロック・バンドだからバッドなこともするし(笑)、キッズの先生になるつもりは毛頭ないよ。子供たちが何をやっているかをちゃんと見届けるのは親の責任だしね。俺たちの責任ではないんだ。

-そうですね。

俺たちはただのバンドだから、書きたいことを曲にする。そういうことだよ。

-今の質問とも繋がりますが、「Thank You For The Pain」はメロディアスな楽曲の中に、成功の代償として得た痛みや、積み重ねてきたライヴへの揺るぎない自信など、様々な意志が詰め込まれているように感じました。

「Thank You For The Pain」はタイトルのまんまなんだ。俺たちはすべての苦しみと年月に感謝している。それがあってこそ、今の俺たちがあるわけだからね。あの苦しみと大変な時代がなければ、今俺たちはここにいない。いろんな解釈があるとは思うけど、アルバムの最後(※日本盤ボーナス・トラック除く)を飾る曲だし、超エモーショナルな曲であるべきだと思うんだ。

-なるほど。"Pain"というのはここまでの努力に伴うものでしょうか、有名になったことによるものなのでしょうか。それとも両方?

両方だと思うね。

-それでも自分らしさを保っていられるからこその"Thank You"なんですね。

そうだね。俺たちは変わったことがない。いつも自分たちらしくいたんだ。BLIND CHANNELはいつだってヴァイオレント・ポップをやってきた。それが今は少しビッグになっただけなんだ。

-ビッグになっても変わらずに、地に足をつけたままでいられるのは素晴らしいことですね。

そうだね。謙虚な気持ちは保っているよ。頂点に行きたかったらものすごく努力しないといけないからね。常に前を見て、今の状況にきちんと目を向ける。そこで慢心してしまうと誤った方向に行ってしまう。常に5年先、10年先を見て、そのころの自分はどうしているのかを考えないとね。そうすれば計画も立てられるし、それに相応しい選択をすることができるんだ。そして自分自身の状態もちゃんと整えないといけない。ドラッグやアルコールには手を出さずに健康な状態を保ってね。成功するまでの努力は大変だし、競争もとても激しい。たくさんのバンドが頂点を目指してしのぎを削っている。そんな中で生き残っているのは、ちゃんと計画を立てて、行動に移せるバンドだと思うんだ。

-日本もフィンランドもそうですが、英語圏でない国のバンドが世界的にブレイクするのは簡単なことではないですからね。

そうなんだよ。大変なことなんだ。ただラッキーなことにフィンランドはメタルの中心地みたいな感じだから、俺たちにとっては有利かもしれない。いい作品を作っていてどんなバンドかわかってもらえれば、比較的ブレイクしやすいからね。日本もそういう場所だと思うんだ。BABYMETALみたいな素晴らしいバンドを生んだ国だし、日本でも俺たちの音楽を理解してもらいやすい気がする。その機会を与えてもらえるのは素晴らしいことだと思っているよ。

-冒頭でも話が出たように、2023年にはUKでの"Download Festival"出演が決定しているなど、バンドの躍進は今後も続いていきますが、活動における目標などあれば教えていただけますか? 先ほどは日本でのライヴが次の目標のひとつだという話でしたが。

来年にはアメリカにまた行ってツアーがしたい。そのためのいい計画を今練っているところなんだ。ヨーロッパでももっとフェスに出たい。次のアルバムも作りたいからそのための時間も取りたいし、ビルボードのトップ10に入りたいし、世界中のビッグなフェスに全部出たい。俺たちの夢は典型的なロックンロール・ドリームだよ。だけど世界に届けたいメッセージも持っているし、みんながそれに耳を傾けて夢中になってくれることが大事なんだ。

-このアルバムは自伝的でありながら、バンドマンだけでなく自分のような非ミュージシャンにも共感できる内容でもありますよね。奮闘や成功だったり、それに伴う様々な感情だったり、誰でも経験する人生の1シーンのスナップショットになっている気がします。

本当にありがとう! そう言ってもらえるのはすごく大きな意味があるよ。曲の中に芯の強さを感じてもらえたりするのは身に余るほど嬉しいね。

-今後どこかの時点で日本に、というのはすでに話に上がっているのですか?

もちろん! アルバムが日本でどう受け入れられるか、まずは様子を見るよ。どんなオファーを貰えるかとかね。日本には素晴らしいフェスがいろいろあるみたいだし、対バンという手もあるかもしれないし、待ちきれないよ。正直言って本当に楽しみにしているんだ。アメリカにもヨーロッパにも行くことができたから、今度は他のところに行きたい。そういう意味でも次の目的地が日本なんだ。

-最後に、日本の読者に向けてメッセージをお願いいたします。

激ロックの読者のみんな、こんにちは! BLIND CHANNELのJoelだ。新作『Lifestyles Of The Sick & Dangerous』が日本で出るから楽しみなんだ。一刻も早くみんなと一緒に日本を体験したくて待ちきれないよ!