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INTERVIEW

BLIND CHANNEL

2022.12.16UPDATE

2022年12月号掲載

BLIND CHANNEL

Member:Joel Hokka(Vo)

Interviewer:菅谷 透 Translator:安江 幸子

-そんな勢いに乗るなかで、ついに最新アルバム『Lifestyles Of The Sick & Dangerous』で日本デビューが決定しました。アルバムが日本で出ると知ってどう思われましたか?

ものすごく、ものすごくワクワクしたよ! 俺たちは昔から日本のコミックとかのファンだったしね。Niko(Moilanen/Vo)もアニメの大ファンでいろんな作品をよく知っているんだ。俺はそこまでアニメ・ファンじゃないけど、日本のアニメがどんなスタイルかくらいはわかっているから、もしかしたら来年あたりに日本に行けるかもしれないと考えるともうワクワクするよ。もしかしたらショーもできるかもしれないしね。今はそれがメインのゴールなんだ。俺たちのヴィジョンとしては、アメリカや日本でビッグになりたいというのがある。だから日本のマーケットが俺たちに扉を開いてくれるなんて本当に嬉しいことだよ。一刻も早く行きたいね!

-日本に行ったことのあるメンバーはいますか? また、アニメ以外で日本について知っていることはありますか?

誰も行ったことがないんだ。俺が知っているのは東京が巨大都市だってこと。友だちが何人か行ったことがあって、別次元だって言っていたね。自分でも早く体験してみたくて待ちきれないよ! 日本は自然もとても美しいところらしいね。俺はヨーロッパとアメリカ、いわゆる"西洋"にしか行ったことがないけど、日本は全然違うところなんだろうな。素晴らしい経験ができるような気がする。

-日本デビュー・アルバム『Lifestyles Of The Sick & Dangerous』は海外ではすでにリリース済みですが、ファンや周囲からはどのような反応がありましたか?

俺たち史上最大のビッグ・ヒット・ソング(「Dark Side」)が入っていることもあって、いろんなところで注目されているよ。"Kerrang!"や"Rock Sound"、"Metal Hammer"みたいなビッグなメタルのメディアも、アルバムやシングルを大々的にフィーチャーしてくれている。最高だよね! 今一番ホットなバンドのひとつとして注目してくれているんだ。アルバムがドイツでチャート・インしたのが今のところのピークかな。ドイツはデカい国だし、メイン・チャートであんなに高いところ(15位)につけるとは思ってもみなかったよ。これからもっとそういう状態になりたいね。今はもう新曲を書き始めているし、(次作の)5thアルバムではさらにビッグになって、アメリカや日本でもチャート・インしたい。もっと高い位置でね。ともあれ、幸先いいよ。俺たちにとって4作目のアルバムではあるけど、大舞台では1stアルバムみたいな感じだからね。このアルバムのために頑張ってくれている人たちが本当にたくさんいることがすごく嬉しいんだ。

-"Lifestyles Of The Sick & Dangerous"というアルバム・タイトルの由来を教えていただけますか?

GOOD CHARLOTTEの「Lifestyles Of The Rich And Famous」という曲から来ているんだ。「Dark Side」の歌詞が1行埋まらなくてさ。他の歌詞も曲も全部できているのにそこだけ思いつかなくて。そうしたらNikoが"俺たちは金持ちで有名(rich and famous)じゃないけど、病んでて危険(sick and dangerous)だよな"なんて冗談を言い出したんだ(笑)。それで"Lifestyles of the sick and dangerous"というフレーズが生まれた。みんなで大笑いだったよ。テレビの巨大なコンテストでそんなフレーズを歌うんだぜ(※「Dark Side」は"ユーロヴィジョン"で演奏された)? "ヤバい、最高じゃねーか"と思ったね。それでアルバムのタイトルにも使うことにしたんだ。功を奏していると思うよ。

-そのアルバムですが、作り始めたのは"ユーロヴィジョン"あたりでしょうか。それとも終わってから?

(「Dark Side」以外の)曲を書き始めたのは、たしか終わってからじゃないかな。作るのには4~5ヶ月かかったよ。スタジオにこもりっきりで、みんなで一緒に曲を書いていたんだ。どの曲もバンド内で書いたもので、外部のライターはいないんだ。プロデュースも自分たちでやったよ。

-アルバムの制作において掲げたテーマやヴィジョンがあれば教えていただけますか?

「Dark Side」が大ヒットしたときの状況を捉えておきたかったんだ。有名になって、ヨーロッパやアメリカに行くことができた。今何が起こっているか、その全体像をキャプチャーしたいと思ってね。ストーリー性ができて、なかなかうまくいったと思うよ。フィンランド北部に住んでいる無名のバンドが、何も持っていなかった状態から急にナンバー・ワンになって、ヨーロッパのたくさんの国でショーがソールド・アウトになったり、ヘッドライナーを務めたり、アメリカをツアーしたり......そんな感じさ。ワイルドな道のりをカバーしていると思う。

-アルバムのオープナーである「Opinions」はソフトなエレクトロ・サウンドとハードなバンド・サウンドが融合した楽曲で、バンドの2面性を紹介するような曲ですね。

ああしろこうしろと俺たちに指図してくるやつらに対する、挑戦的な答えの曲だね。"君たち超有名になったんだから、こういうことをするべきだ"、"こういうルールに従うべきだ"みたいなさ。でも俺たちにとって、そんなのはどうでもいいことだ。もう10年このスタンスでやってきたんだし、今みたいになれたのも俺たちが俺たちらしさを貫いたからだと思うんだ。デカいレーベルの人に言われたからって自分たちを変えるつもりはない。メディアにもいろいろ言われるし、インフルエンサーまで寄ってたかって"俺たちをフィーチャーしてくれ"とか言ってくるけどさ。自分たちの意見(opinions)を押しつけてくるやつらに対して中指を立てている曲なんだ(笑)。

-(笑)続くバンドの代表曲「Dark Side」は、トラップ・ビートやスクラッチも取り入れたヘヴィな楽曲ですよね。歌詞にも"27クラブ"(27歳で他界したアーティストたちをまとめたグループ)が登場するなど示唆的ですが、この曲についてもうかがえますか?

あの曲にはダーク・ユーモアが詰まっているんだ。"自殺の曲なのか?"なんて聞かれることもあるけど、フィンランド北部特有のユーモアって感じかな(笑)。俺たちの心の中に棲んでいる反逆児たちの歌だよ。コロナ禍でファッキンなくらい苛立っていたからね。状況に対してどうにもしようがないから、世の中に向かって中指を立てている。中指を立てたやつらが束になって"軍団"を作っているような感じ(笑)。その"軍団"を俺たちはどうやら見つけたような気がするよ(※微笑む)。集団的なフラストレーションのアンセムといったところかな。

-なるほど。ということはこの曲をライヴでやると、オーディエンスが大好きなバンドに向かって中指を立てるという現象が起こるわけですね?

そうなんだよ(笑)! ワイルドなことになっているよ! 最高なんだ。

-「Don't Fix Me」は疾走感があって、ライヴでもキラーチューンとなりそうな楽曲ですね。

そう、ライヴと相性が良くて、みんな飛び跳ねているよ。この曲はfucked up(酷い状態になること)していてもオッケーということを歌っているんだ。パーフェクトじゃなくたって自分らしくいればいい。自分の心にヒビが入っていて壊れそうな状態でもいいんだ。というか壊れてしまっていても構わない。そういう曲だね。

-傷ついた人や、自分の中に不完全なものを抱えていても大丈夫、という感じですかね。ファンからそういったメッセージを貰うことはありますか?

すごくたくさん貰うよ。読み切れないくらいさ。9月にヨーロッパをツアーしたときも、1,000通以上手紙を貰ったんだ。本物の"手紙"だよ? 毎晩一通一通、封を切って読んでいたよ。あんなにたくさんのファンがわざわざ"手紙"を書いてくれて、ダークな時期を乗り越えるときに俺たちの曲が力になったって言ってくれるなんて、すごく心が温かくなった。そういう経験ができて超クールなことだと思っているよ。人の助けになれたというのはね。「Don't Fix Me」は俺たちの曲の中でまだあまり知られていない部類に入るけど、それでもいい曲なんだ。個人的にも気分がアガるし、気に入っているよ。

-「Bad Idea」はメロディックな楽曲で、花がたくさん出てくる美しい映像に仕上がったMVも印象的です。

この曲は、俺と付き合うのは悪いアイディアだから手を出すのはやめておけ、言っただろ? 警告しただろ? みたいな感じ(笑)。それをロマンチックに表現しているんだ。でも別れの曲ではないし、失恋した人のための曲でもない。逆の立場からの曲かな。自分は相手の心を壊してしまう、でもそうしたくはない。だけど自分らしさを貫くためにはそうせざるを得ない、みたいなね。そんな感じの曲を作った。アルバムの中では一番ソフトな感じの曲じゃないかな。なかなかうまくできたと思う。