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INTERVIEW

オトむしゃ

2022.11.19UPDATE

2022年12月号掲載

オトむしゃ

Member:Yu-ki(Vo) SEIYA(Gt) ITSUKI(Gt) SHINYA(Ba) K(Dr) ヘリオス たいき(DJ)

Interviewer:清家 咲乃

2018年7月に大阪で結成、翌年から数々のオーディションでチャンスを掴み、以来コロナ禍でも破竹の勢いでリーチを伸ばしてきたオトむしゃが、ヘヴィネスとポップネスを兼ね備えた新曲「悪魔のび太」をリリース。ひと目見るだけで気圧されてしまうほどインパクト絶大なヴィジュアルとキャラクターを持つ6人の、意外なほど親しみやすい素顔と驚くほどにストイックなバンドへの取り組み方、そして誰よりも近くで彼らを支えるチームの全貌までを明らかにしてもらった。

-最初に結成の経緯から聞いていきたいんですけども、みなさんの出会いというのは?

Yu-ki:出会いはバラバラなんですけど、バンドを始める前からの友達が多くて。僕が小学校3年生ぐらいのときにいつもと違う帰り道を歩いてたら、ドブ川のとこにヘリオスが座ってひとりで石投げてたんです。"何してんの"みたいな感じで声掛けたら"石投げてる"って。"学校行ってない"って言ってたんで、"そっちの学校が面白くないんやったらこっちの学校来たらいいやん"みたいな。そしたら本当に1ヶ月後とかにこっちの小学校に転校してきて。

ヘリオス:そっからもうずっと友人ですね。

Yu-ki:16歳ぐらいのときから料理人やってたんですけど、SEIYAはそんときからの友達ですし。人生を歩むごとに出会っていったメンバーというか。音楽で知り合った人間が半分ぐらいでって感じですね。

-音楽で知り合った方というと?

Yu-ki:ギターの専門学校に行ってたんですけど、そこでITSUKIに出会って。SHINYAは道頓堀でナンパしました。ヤバそうなやつがいたんで。

ヘリオス:そのときちょうどベース探してて。

Yu-ki:ベース背負ってたんで"バンドやってるからよかったら一緒にやろうよ"って声掛けて。

-びっくりされませんでした?

SHINYA:いや、いい感じでしたよ。フィーリングが合って、そこで結構話して。

-バンドを結成して、どういった流れで今の音楽性に?

Yu-ki:もともと僕の親戚が、パンク・ロックがすごく好きで、小学校のときからTHE CLASHさんとかSEX PISTOLSさんとかに影響を受けてて。その延長線上でPTP(Pay money To my Pain)さんとか、10代後半になるにつれていろんな音楽を聴くようになっていったんですけど、大きく変わったきっかけは"裏武者"って呼んでる3人のトラックメイカー・チームです。形態的には本当は9人でやってるんですよ。もともとは結構ゴリゴリのミクスチャーやったんですけど、TAMA君っていう裏武者のメンバーと出会ってから、エレクトロなサウンドがかなり入ってくるようになって、今のサウンドになった感じですね。

-「Kurau」(2020年リリースの配信コンピレーション・アルバム『2020 Japanese Rock Star Summer Compilation』収録曲)は結構ゴリゴリでしたよね。裏武者のみなさんとはどこで出会ったんですか?

Yu-ki:たまたまライヴハウスで。そっから意気投合して"一緒にやろうぜ"ってなって、1年間ぐらい楽曲のやりとりとかをしてました。裏武者の彼らは僕たちのできないようなことができて、彼らからしたら僕たちにも自分たちの持ってないものがあって、そこが合わさったっていう感じですね。

-みなさんが10代の頃に聴いていた音楽や、逆に最近くらった音楽があったらそれぞれ教えていただきたいです。

ITSUKI:最近でいうとTHE 1975さんとかBRING ME THE HORIZONさんとか、ああいうところを聴いたりはしますね。あっち(海外)で動いてる人たちがどうやって作ってるのかとかを一番気にして聴いてます。

K:昔、親がめっちゃ浜田省吾さんが好きで。だから昔のポップスとか、親の影響でそればっかり聴いて育ったんですけど、今はフェスに出てるようなバンド、Fear, and Loathing in Las Vegasさんとかいろんなバンドを聴くようになりました。

SEIYA:僕もパンク系ですね。SUM 41さん、GREEN DAYさんとかでギターの音を聴いてて、今はMrs. GREEN APPLEさんとかああいうちょっとポップな感じの楽曲にすごく惹かれます。

-たしかにギターの音がパンク系というか、Travis Barker(BLINK-182/Dr)さんとかがトラップ・メタルに入ってきたときの音に近いなと。

Yu-ki:それはすごく嬉しいです。少し前に流行ったバキバキのギターというよりは、ちょっとオールドな温かみのあるサウンドが好きで。ちょっと粗い感じというか。

-SHINYAさんはいかがですか。

SHINYA:PTPさんが一番好きなんですけど、LINKIN PARKさんとかKORNさんとかニュ-メタル系も好きで。あとパンクだったらTHE CLASHさんとSEX PISTOLSさんは好きで聴いてましたね。日本の方だとFear, and Loathing in Las Vegasさんもそうですし、マキシマム ザ ホルモンさんとかも最近はめっちゃ聴くんで、(特定の)この人っていうのはあんまりないです。聴きすぎてわからなくなって。

ヘリオス:僕は子供の頃はレゲトンとかレゲエとかそういうのをよく聴いていて。日本ですとYu-kiと出会ったぐらいからDragon Ashさんとかを。ヒップホップとかEDM系も好きですし、MARSHMELLOさんとか。

-じゃあDJというのは、その流れで以前からされてたんですか。

ヘリオス:DJはたまにクラブで触らせていただくことはあったんですけど、バンドを結成するにあたって本格的にするようにしました。

-去年は"COMING KOBE21"、今年は"イナズマロック フェス 2022"に出演されて、着実に大きなステージへ上がっていますよね。

Yu-ki:何よりも僕らは人に恵まれたというか。"COMING KOBE21"のときもROTTENGRAFFTYのNOBUYA(Vo)さんにすごくお世話になりましたし、関西で言ったらUZMKのJUU(Vo)さんとかたくさんの先輩に良くしてもらっています。

-それはライヴをしていくなかで声を掛けていただく形なんですか?

Yu-ki:基本的にはやっぱライヴハウスとか、音楽のシーンの中でみんな出会って、いろんなとこで僕たちの話をしてくれてたり、そういうきっかけで(ライヴの)話貰ったりとかもあったんで、関西の兄貴たちのフックアップがデカかったです。

-"COMING KOBE21"はライヴ・オーディションを経ての出演ですよね。

Yu-ki:信念的には、"0.1パーセントでもそこに可能性があるなら、もう人生かけようぜ"というのはあったんですけど、周りのお客さんが応援してくれたっていうのが力強かったです。無観客でも配信で観てくれてたんで、僕らも"負けてたまるか"みたいな気持ちもありましたし、自信になりました。

-ライヴで毎回衣装がちょっとずつ違っているとか、ミュージック・ビデオでも曲ごとにスタイリングが違うのがすごいなと思ったんですけど、ヴィジュアル・イメージはセルフ・プロデュースですか?

Yu-ki:それはすごく嬉しい質問なんですけど、僕らの中でも音楽とファッションっていうのは通ずる部分があるなと思ってて、こだわりたい部分であるというか。LALAっていう服をリメイクしたり作ったりする仕事をしてる僕らの友人が協力してくれてて、"こんな服装したいねんけど、こんなん作ってくれへん?"って相談してます。チームみたいな感じですね。大阪時代からずっと一緒で、こっちに出てくるときも一緒に来て。本当にありがたくて、いつも感謝しています。

-SNSも結構広く展開されてますよね。TikTokでは「zombie night2」(2022年6月リリースのEP『娯』収録曲)をゲームっぽい、チップ・チューンみたいな感じにアレンジされてて。

SEIYA:あぁ、そうですね。

Yu-ki:TikTokも僕らはめっちゃ好きで。すごく面白いじゃないすか、いきなり音楽流れ始めて。

ヘリオス:ダンスしてね(笑)。

Yu-ki:あんな音楽なSNSないじゃないですか。だから僕らもTikTok用に何かできたらいいなってJIN(事務所代表)さんに相談して、せっかく出すんやったら自分たちもダンスしてみようぜみたいな感じで始めたんですけど、もとの音源でダンスすればするほど、"ここにもうちょっとこういう音入ってたほうが良くね?"とか"ここはこんな感じのほうがいいっしょ"みたいな。発信する側じゃなくてTikTok(ユーザー)側でもう1回やり直した感じですね。今後もいろんなとこで自分たちの音楽で遊べたらいいなとは思ってます。

-新曲「悪魔のび太」のテーマはどんなものになっているんでしょうか?

Yu-ki:世の中にはやっぱりいろいろ悩んでる人がいると思うんですよ。例えば強い者が弱い者をいじめるとか。僕らも競争社会みたいなところにいたこともあったんで、現場を目の当たりにしたり、そういう立場だったときもあったりしますし。大胆ですがそんな気持ちで、"そういうやつらはぶっ飛ばしていこうぜ"って書きました。"今から変身だ、もうひとりの自分で頑張るぜ"みたいな。ちょっとでもそういう人の心の支えになればいいかなと。

-それこそサビの"時代を変えろ!『悪魔のび太!』"からすごく拓けていく感じの曲調になっていて爽快感がありますよね。ストーリーみたいなものを考えて歌詞と曲を作っていくんですか。

Yu-ki:曲のストーリーはもう、"東京喰種トーキョーグール"で言ったらいきなり(主人公が)白髪になってめっちゃ強くなるみたいな。"BLEACH"で言ったら一護(黒崎一護/主人公)が胸に穴空いたバージョンに変身するシーンとか、ああいうイメージをしました。

-そういうテーマは最初にみなさんで相談されるんですか?

K:いや、完全にYu-kiの世界観で。ちょっと考えが特殊なんすよ。僕らからしたら"「悪魔のび太」!? 何それ!?"みたいな感じじゃないすか(笑)。"えぇ~!"ってなって、そのまま聞いて"あぁなるほど"とそれに沿ってアレンジしたり、向き合ったりしていく感じで世界を作り上げていくのが主ですかね。

ITSUKI:全部そうです。

SEIYA:最近はうまく特殊な世界観にマッチしてきてるかなと思ってて。

Yu-ki:いや~僕は独特とはあんま思ってないですけど。でもよく考えるのは、なるべく伝わりやすいようにとか。人に向けて曲書くことが圧倒的に多いかもわからないですね。自分のためには書かないです。

-人に向けた結果、よくある感じじゃないものが出てくるという。

Yu-ki:"そういうことにしてあげたい"みたいな。例えば「zombie night2」で"街ウヨウヨゾンビ"って歌ってるんですけど、あれは渋谷の道玄坂を初めて見たら酔っ払いの人たちがいっぱいいて、"ゾンビの街みたいだな~"と。"酔っぱらいの街"だったらちょっと汚いじゃないですか。

-それだと夢がないですね。

Yu-ki:"街ウヨウヨゾンビ"ならなんかちょっといいじゃないですか。そういうことにしてあげたいみたいな気持ちはあります。だから「悪魔のび太」もそういうことにしておこう、みたいなフィルターを掛けるというか。僕自身が結構ポジティヴなんで。