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INTERVIEW

odd five

2021.12.09UPDATE

2021年12月号掲載

odd five

Member:中 拓史(Vo) 今来 淳平(Gt)

Interviewer:山本 真由

-今作の冒頭を飾る楽曲「郷風」は、関西テレビのバラエティ番組"ウラマヨ!"の12月度エンディング曲としてタイアップも決定し、より多くのリスナーの耳に届くことになりそうですが、周囲からの反響はいかがですか?

中:今までよりたくさんの人が動いてくださっていることや、様々な方面の方が反応してくれていることを日々実感しています。"久々に聴いたけどやっぱ格好ええな!"という声もあって、改めて届いたんだなと心の中でガッツポーズしたりしてます。その反響に甘えることなく、odd fiveの間口に立ってくれた方々をどっぷり楽しませるディープな部分を、これまで培ってきたライヴ力などで爆発させてカルチャーにしていこうと思います。

-アルバム・タイトルにも繋がる「Mutant talks」は、80年代の雰囲気や以前カバーしたゴダイゴのような雰囲気も感じさせる楽曲です。近年ではDua Lipaのヒット曲など世界で'80sディスコ回帰のようなムーヴメントもありますが、そういったどこかレトロな要素を入れようというのは意識としてあったのでしょうか?

今来:いわゆるシンセウェーヴってやつですよね。とても影響受けていると思います。意識したというよりは今の20代として普通にみんな耳にするし、僕ももちろんって感じです。ゴダイゴや昔の洋楽に関しては母の影響が大きいです。'80sポップはめっちゃ流行っているんですが、個人的には'80sハード・ロックこそが至高だと思っているので、LAメタル、グラム・ロックみたいな、次はそんな曲を出したら面白いかなーと考えてます。

-「Mutant talks」は、ミュージック・ビデオもすごく世界観が合っていて、面白い作品ですね。最後に出る"真実とは虚構に巻き上げられたひとつの次元にすぎない"というメッセージには、ハッとさせられました。こうしたMVのアイディアもメンバーで考えているのでしょうか?

今来:これはMVを撮り終わったあとに監督から、"歌詞の世界観をひと言で表す文章を入れたい"と言われ考えました。あれのおかげでとてもMVが締まって、"監督、さすがやな"と思いました。これもSF的な話になるんですが、余剰次元っていう物理学の考え方のオマージュだったりします。難しいので学問レベルではわかってないですが、そういうアイディアを知って自分なりに世界の在り方を考察するのが趣味です。

-続く「戯夢」は、ワールド・ミュージックとハードコアの入り混じった、まさにodd fiveといった雰囲気の楽曲ですが、コーラスで繰り返される"We'll all be free"というフレーズが気になりました。あえて"We are free"にしなかったのは、現状の世界に不自由さや"縛るもの"の存在があるから、ということでしょうか?

中:社会的地位や身分、自分が置かれている現状など人にはそれぞれの立場があって、いつの間にか"こうでなくちゃいけない"、"こうあるべきだ"なんて制限をかけてしまうんです。そんな"先入観"という存在に対して呪文のように"俺たちは自由だ!"と騙し騙し唱えてもイマイチピンと来ないというか、リアルじゃないなと思ったんですよね。先入観は完全悪ってわけでもないですし。それなら"俺たちなら先入観をぶち壊せる!"というニュアンスが入っているほうが気持ちも乗るし、歌い続ける意味にも繋がると思いこのフレーズに落ち着きました。

-また、「610452」は、中毒性のあるリフと、映画"タクシードライバー"にも通じるような狂気を感じさせる歌詞が印象的ですが、意味深な数字がタイトルになっていますね。このタイトルの意味は?

中:この曲は結末や展開こそ違うものの、まさに映画"タクシードライバー"をモチーフに作った楽曲で、あの頃のアメリカの華やかな中に潜む混沌とした空気感を、音にも歌詞にも上手く落とし込むことができたと思います。タイトルの"610452"もまさにその劇中に出てくる数字で、主人公 トラヴィスがデタラメな偽名と住所を言うのですが、その郵便番号が"610452"なんです。この数字が物語の根幹に大きく関わっているわけでもないのですが、そのシーンの無機質な感じが楽曲にもぴったりだろうと感じ拝借しました。映画視聴前と視聴後では入ってくる情景も変わってくると思うので、今一度映画も観てほしいですね。

-「VERMILLION」は、エキゾチックなメロディとロックなサウンドがマッチした、ライヴ映えしそうな楽曲ですね。呪文のように聴こえてなんとなくドラマ性のある歌詞のセンスもすごいなと思うのですが、こういった楽曲の世界観は、メンバー内ではどのように共有して組み立てているのでしょうか?

中:クレジットには"作詞:中 拓史"となっているのですが、実際は歌詞を作っていく段階でメンバーにどっちがいいかを聞いてみたり、別の言葉への言い換えを一緒に考えてもらったりしているので、そういった制作の時間が世界観の共有に繋がっているのだと思います。今来がテーマや仮タイトルを決めて作った楽曲にシナリオをつけていく作業は、埋もれた化石を発掘していくような、形が決まっているものを見つけ出していく感覚に近いですね。

-そして、「NAMELESS WARFARE」は、ピアノやギターのソロなど、各メンバーの見せ場があって、バンド・アンサンブルが楽しめる楽曲になっていますね。曲調も明るくて、まさにアルバムのラストを飾るに相応しい楽曲だなと感じました。楽曲の構成を考えるうえで、印象的なソロ・パートを作ることは、初めから決まっていたのでしょうか?

今来:はっきりとは決まっていなかったと思います。ただ僕の場合は頭の中でだいたいメロディだけでなく伴奏、アレンジまで明確に鳴るようになってから作業に移るので、その段階でこの曲はギター・ソロが絶対必要だな、とは感じていたと思います。とにかく楽器を持ったりパソコンの前に向かったりするよりも、そらで歌いながら作ったほうがいい曲が降ってくるタイプで、「NAMELESS WARFARE」のサビは小学生ぐらいに思いついたメロディでした。そういうメロディがまだたくさん僕の中に溜まっているので、またふとしたタイミングで使うんだろうなと思います。

-SNSで、今来さんがテルミンを演奏する様子がアップされていましたが、今後はodd fiveの楽曲の中でテルミンが活躍する、ということでしょうか? また、少し前にオタマトーンが海外でバズっていましたが、そういったトリッキーな楽器も試してみたいと思いますか?

今来:実はライヴでもう導入してます! 「Mutant talks」のソロ部分で鍵盤の寛樹(東浦寛樹)がテルミンを演奏してます。実はレコーディングの段階ではテルミンを持っていなくて、スマホでテルミンの音が鳴るアプリをわざわざダウンロードして、スピーカーにマイクを当てて録りました(笑)。使う楽器にこだわりはなくて、とにかくサイケデリックなソロを入れたい! というイメージが先にありましたね。そういう遊び心でこれからもいろんな楽器を使いたいと思ってます。

-やっと有観客でのリリース・ツアーが組めるようになって、来年が楽しみですね。リリース・ツアーはどんなライヴにしていきたいですか?

中:まだまだ元通りとは言えませんが、少しずつできることの幅が広がっているのは素直に嬉しいですね。今までの作品よりグルーヴ感を楽しめる楽曲が多いので、丁寧に、それでいて大胆な演奏を心掛けたいです。メンバー5人だけじゃなくodd fiveを気になってくれた方全員が"ライヴもヤバい!"と友達に自慢できるような日々を重ねたいですね。

-最後に、激ロック読者へメッセージをお願いします。

中:久々の激ロック掲載、最後まで読んでくれてありがとうございます! 改めて、正式に5人組となった我々をどうぞよろしくお願いします。コロナ禍を一日一日丁寧に過ごしたodd fiveは今間違いなく仕上がってますので、まずは今作のツアー、期待とチケットだけを持って遊びに来てください。ライヴハウスで気持ち良くなりましょう! 待ってます。