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INTERVIEW

SHOW-YA

2021.09.01UPDATE

2021年09月号掲載

SHOW-YA

メンバー:寺田 恵子(Vo)

インタビュアー:杉江 由紀

日出ずる国のガールズ・メタル・シーンの頂にはSHOW-YAあり。日本の世の中はとかく女性の若さばかりを重視しがちなところがあるようにも思うが、始動から35年を経た熟女バンド、SHOW-YAの圧倒的な存在感に触れれば、女には若さがマストだというような薄っぺらい価値観は、きっと脆く消え去ることであろう。しかも、今回の最新アルバム『SHOWDOWN』では初の挑戦として、海外マーケットを視野に入れながら全編を英詞にて制作していったというではないか。輝かしいキャリアに寄り掛かることなく、果敢に新たな未来を切り拓こうとするその姿勢はとにかく強く美しい。先駆者であり続けようとする彼女たちは偉大だ。


キャリアに甘んじていたら何も進化していかない


-SHOW-YAの35周年の節目にアルバム『SHOWDOWN』が完成したわけですが、今作の制作に向けて寺田さんをはじめとしたメンバーのみなさんは、そもそもどのようなヴィジョンをお持ちでいらしたのでしょうか。

今回の場合、まず話として出たのは"世界に向けてリリースしよう"ということだったんですよ。最初はレコード会社からの提案として出た案ではあったんですが、実は私が27歳の頃にもSHOW-YAとして世界を目指そうとしたことがあって、もともとそういう夢は持っていたんですね。ただ、そのときには私がバンドをいったんやめてしまいまして。

-あれは1991年2月のことでしたっけ。その後、SHOW-YAは2005年にオリジナル・メンバーでの復活を果たし現在に至っておりますので、そういう意味では今ここでかつて抱いた夢に向かって再び走り出すことを決意された、というわけなのですね。

そうなんです。だから、改めて今回"世界を目指そう"となったときには自分の中で覚悟が必要でした。もちろん、メンバー間でもそのことは再認識しましたし、私もみんなもすごく強い気持ちと覚悟を持ってアルバムの制作に入ったことになります。

-海外マーケットを射程圏内に入れていくなかで、音楽制作についての姿勢やアプローチを意図的に変えたところも出てきたことになりますか?

音に関しては、今回は特にヨーロッパのほうを意識していこうということになったので、これまでよりもキーボードの音をメインに考えていったところがありました。あとは、メロディ・ラインに関しても海外のリスナーに向けて作ったところもあります。そして、歌についても周囲からは、"日本語でやってもいいんじゃないか"っていうふうに言われていたんですが、私的には海外を目指すなら、やっぱりまずは"同じ土俵に立ってみる"ことが重要だと思ったんですね。それで、今回は全曲を英語で歌うことにしました。

-英語詞で歌っていくとなると、発音のみならず、発声方法も日本語で歌うときとは変えていく必要があったのではありませんか。

もう全っ然違いました、ほんとに(笑)。だから、その違うところをどうやって今までの自分の歌とすり合わせていくか? という点では、今回は非常に苦労しましたね。

-長年のキャリアをお持ちであるとはいえ、新しいことに挑戦されていくうえでは、新機軸的なアプローチを導入する必要があったわけですね。

たしかに、キャリアという意味ではまさに35年やっているので、自分の歌のスタイルはすでに確立していると思いますし、バンドのサウンドとしてもSHOW-YAの音というのはしっかりと確立されているんですが、今回のようにヨーロッパに向けての作品を仕上げていこうとなると、今までのやり方とまったく同じにやっていては、通用しないんじゃないかというところもあったので、そこはそれぞれのメンバーがとても努力をしたんだと思うんですよ。私的にも、ただ気持ち良く歌う! っていうだけじゃなくて、発音の仕方や言葉の意味なんかについても、考えながらレコーディングしていく必要がありました。そこをちょっとでも忘れて、単に気持ち良く歌っているだけの状態になってしまうと、今回は英語の面でローラ先生という方にずっと立ち合っていただいてたんですけど、レコーディングの途中で止められて"恵子さん、そこは発音が違いますよ!"って注意されてしまうんですよ。"えっ。噓っ! 今、最高に気持ち良く歌ってたのにぃー!"となってしまったことが何回かありました(苦笑)。

-それはなかなかシビアですねぇ。

まぁ、大変だったのは間違いないんですよ。でも、結局はキャリアに甘んじていたら何も進化していかないですからね。自分たちにとっては苦しい難局を超えていくことになったとはいえ、バンドとしてそこにみんなで立ち向かってチャレンジしていけることも、またSHOW-YAの良さなんじゃないかな、と今回は再確認することができましたね。

-さすがです。"キャリアに甘んじていたら何も進化していかない"とは素晴らしい金言ですね。実際に、この35周年を記念するアルバム『SHOWDOWN』の内容そのものにも、今回は大変驚かされました。SHOW-YAらしい烈しさと華やかさは一貫しつつも、より骨太でワイルドな質感が生きた音世界になっておりますね。

ありがとうございます! 今回のアルバム制作は若井(若井 望/DESTINIA/SHORTINO)君というプロデューサーを迎えて行ったんですが、サウンド的には彼の持つハード・ロックとかヘヴィ・メタルに対する思いと、私たちがリアルに80年代からシーンの中でずっと生きてきて感じてきた感覚、その両方を上手く融合させることができたんだと思います。今までのSHOW-YAの良さを崩さずに、若井君の新しいセンスを取り込むことでこの音ができていったんですよ。ちなみに、このアルバムにはメンバーの作った多くの候補曲の中から選んだ、このアルバムに相応しい曲たちが半分と、もう半分は若井君の作った曲が収録されてます。

-なお、若井さんとこのたび一緒にお仕事をされることになったきっかけというのは?

レコード会社側からの紹介だったんですけど、若井君のほうは以前SHOW-YAのライヴを観てくれたことがあったらしくて、初めて顔合わせをしたときには"今、海外では女性バンドがすごく支持を集めているんですよ。僕は、その中にSHOW-YAがいないのはおかしいと思ってます"と言ってくれて。その言葉が嬉しかったので、一緒にやることにしたんです。私としても、ほんとにうちのバンドは、どこに出てもおかしくないようなメンバーが揃っているなと思っていますしね。もっと広く評価されてもいいのかな、とは前から思っていたんですよ。

-それに、先ほどは"キャリアに甘んじていたら何も進化していかない"とのお言葉があった反面で、世界的に見て、これほどキャリアの長く続いてる女性バンドが他にはそういないのも事実ですよね。

オリジナル・メンバーで続いている女性バンド、というのは世界的に見てもあまり見当たらない気がします。そこは自分たちとしても誇りとプライドを持っているところですし、そこは今回のアルバム『SHOWDOWN』で、世界の人たちがアラ還バンドであるSHOW-YAに対して、どんなことを感じるんだろうな? という興味もありますね(笑)。

-これはやや余談になるのですが、GoogleでSHOW-YAと検索すると"現在"、"寺田恵子"というキーワードに続き、"かっこいい"という言葉がサジェスト表示されるのですけれど、きっと世界の方々も、SHOW-YAに対して同じような印象を持ってくださるのではないかと思います。今作『SHOWDOWN』はまさしくかっこいいです。

そう言ってもらえると嬉しいですねぇ。熟女ですが頑張ってます(笑)!

-これは率直な質問にもなるのですが、世のヴォーカリストの中には加齢とともに声量が落ちたり、音程をキープしにくくなってしまったりする方々がいらっしゃるのも事実です。しかしながら、寺田さんはこの『SHOWDOWN』でも、圧倒的なヴォーカリゼイションを披露していらっしゃいます。声帯の持つポテンシャルを引き出すために、何か気をつけていらっしゃることがあるのでしたらぜひ教えてください。

わたし、耳鼻咽喉科の先生に"首の内側の筋肉が異様に発達してる"って言われたことがあるんですよ。どうやら、ライヴで首を激しく振っているせいで内側の筋肉が鍛えられるのか(笑)、その影響が声帯にも及んでいるのかもしれないっていうことみたいです。

-ヘドバンが声帯強化に繋がっていたのですか! それは初めて聞くお話です。

たぶん、私の声帯が強いか弱いかで言ったらむしろ弱いほうなんですよ。実際はポリープができたり、傷ついたりもしているので、きっと普通の人だったら声が出なくなっている可能性もあるんでしょう。私の場合は、喉を使うことで受けているダメージを筋肉でカバーしているので、そこは定期的に診てもらいながらケアしている感じなんです。喉だけじゃなく、体力面でのトレーニングなんかも以前はジムに通ってましたし、コロナ禍になって以降はなるべく自宅でやるようにしてますね。

-表現者としてのベストを尽くすべく、フィジカルな面でもストイックなスタンスをとられているのですね。

うちのバンドは基本的に体育会系なんですよ。それに、例えば体力的な限界とかで言えば、そこを超えたところに本当に欲しいものがあることは多いですからね。今回のレコーディングでも"もうこれ以上できません"っていうところまで行ったとき、そこで感じる痛みとかつらさに対して不思議な快感を覚えるみたいなことがありましたし、そういうことはメンバーたちもよくあるみたいなんで、うちはみんなちょっと変なのかも(笑)。

-いわゆる、アスリートでいうところの"ゾーン"に入ったときに発揮される力はありそうですね。

歌に関しては、ほんとそのゾーンに行かないとダメだ! っていうことは今回のレコーディングでもそうだったし、常に感じてますね。