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INTERVIEW

Clarity

2021.05.05UPDATE

Clarity

Member:ANDY(Vo) RIKI(Gt) KAI(Gt) MAKI(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

2015年に結成し、メンバー・チェンジを経て2018年に本格始動した4ピース、Clarity。リズムや、リフが生むポリリズムに印象的なフレーズが絡み、Djent的で構築性の高いサウンドを生み出すバンドであり、EDMの要素も感じられれば、キャッチーなポップ・センスがある。一方で有機的なグルーヴと歌心でエモーショナルに聴かせる側面もありと、彼らの音楽をひと言で表現することはとても難しく、且つもったいない。言えるのは、彼ら自身が制作上で感じるワクワクする感覚が、音としてリアルに形になっているということだ。昨年リリースした初のEP『In the Light of Lies, Pt. 1』に続く第2弾、『In the Light of Lies, Pt. 2』ではその4人の掛け算がより大きくなり、爆発力がある曲が生まれた。このClarityサウンドを生み出すもとは何か、メンバー4人にインタビューした。

-Clarityは、4人それぞれ好きな音楽が違うメンバーが集まっているようですね。

ANDY:そうですね、みんな違うものが好きなんだよね。

KAI:わりと好きな方向性は同じなんですけど、それぞれ特化している部分が違うみたいな感じですね。

ANDY:みんなポスト・ハードコアという音楽が好きだけど、それ以外の好みが違うんだよね。私はポップとEDMが好きなので、Clarityの曲は時々そういう影響が感じられるかなと思って。

-ANDYさんは初期からこのバンドにいて。何度かメンバー交代があったようですが、もともとはどんなバンドにしたいと思っていたのでしょう?

ANDY:実は昔アイルランドで、ポップ・バンドをやっていたんです。全然ロックじゃなかったんですよね。そのバンドが解散して日本に来たんですけど、当時はあまり音楽をやる気はなくて(笑)。"OURSOUNDS"というメンバー募集のWEBサイトで、"一緒にバンドをやりませんか"っていうメッセージが来たんです。そのデモを聴いてみたら、私が17歳の頃に好きだったポスト・ハードコアやパンクで、10代の頃の感覚が戻ってきたというか。やっぱり、これ好きだなっていう。そこから入ってしまったので、どんなバンドになってほしいかというのは、あまり想像してなかったんです。もともとはこのClarityは、当時前のドラマーでリーダーだった人のヴィジョンだったんですよね。

-では、今のメンバーになってよりいろんな音楽性が混じり合って、今のClarityになっているんですね。

ANDY:そうですね。この4人でもClarityってどんなバンドだろうなっていうのはよく考えているんですけど(笑)。最近、ちょっとわかってきたかな。

KAI:最終的に完成したその1曲で、"これClarityじゃん"ってなるんですよね。作っている途中は、どうなるのかが想像できないまま作っていて、最終的にめっちゃかっこいい曲、"Clarityっぽい曲"になるんですけど。その"Clarityっぽい"というのが、抽象的でなんて説明していいかわからないんです。

ANDY:前にMAKIが、Clarityは"自由"って言ってた。以前だったら、例えば私が上げてきたデモについて誰かが"これはポップすぎるからやめよう"とか、KAIが作ってきたデモに、"これはDjentすぎるから、やめよう"とかもあったんですけど。今はそういうことじゃなくて。このデモのポップな感じはいいよね、このポップな部分は絶対使おう。このDjentなところもいいよね、絶対使おうとか、そういうのを全部混ぜたらどうなるんだろうなって、ワクワクしちゃっている感じがあって。それがClarityだよね。

-捨てるところがないと。

RIKI:いいとこどりのハードコアみたいな。

ANDY:みんなの好きなところを使わないともったいない。例えば、KAIは Djent、RIKIやMAKIはファンクが好きで私はポップ、EDMが好きだから、それを全部混ぜたら面白くない? っていう。

− RIKIさんなどはファンクからハードコアへという、それまでと違う音楽に飛び込んだ感じですかね。

RIKI:僕はもともと'80sや、ソウルが好きだったので、ギターの演奏自体が前に出るような音楽はやっていなかったですね。ANDYはもともと知り合いで、1回ちょっとしたバンドをやっていたんですけど、それが自然消滅して。そのあと僕はもう音楽はいいかなって感じでのらりくらりとやっていたら、Clarityの前のギターが抜けて、ANDYが誘ってくれたので、じゃあもう1回やってみるかっていう。で、Clarityはどんな音楽をやってるんだろうって音源を聴いたら、全然自分が聴いてきたものや、やってきたものと違うもので。ただそこから、視野が広がりましたね。それまではDTMもやっていなかったし、音作りも直アンプが一番いいでしょみたいなタイプだったので(笑)。いろいろ学ぶことも大きかったんですよね。こういう音楽も、Clarityきっかけで好きになったので。結果として良かったですね。

-今は自分のエッセンスも注入できるようになっているんですね。

RIKI:ジャンルということもそうだし、作曲するときも今はギターがふたりいるので、曲によってリードとバッキングをスイッチするんです。どちらがどっちと決めていないんですけど。この曲は僕のバッキングのほうが良さそうだねって感じになったら、ここでKAI君はこんなフレーズを入れてくるだろうなというのも想像つくようになってきたんです。Djent系が強すぎるとか、ポップ系が強すぎるのをうまい具合にならすというか。そういうのができるようになったのが最近ですね。

-MAKIさんはもともとどんな音楽が好きなんですか?

MAKI:音楽を始めたきっかけはロックだったんですけど、そのあとに東京の専門学校に入ってからは、ファンクや、ジャズをやる機会が増えて。ベースで面白い楽曲となるとやっぱり、ファンクとかそっちのほうだったんです。だから、ずっとそういう音楽をやっていたんですけど。でも、ロックが好きというのはずっと根本にあったので。Clarityの楽曲を聴いたときは、単純にかっこいいなという感じでしたね。

-ベーシストしてはこのClarityのサウンドもかなり、やりがいや、面白みがありそうですね。

MAKI:でも、難しかったんですよね。それまでは、休符を使うとか、ファンクのタイミングが染みついていたので。Clarityの縦ノリの感じというのは逆に難しくて、移行していくのに時間はかかりましたけど。よくよく聴いたら、縦の中にも休符が細かく入っているフレーズをメンバーは出してくれていたので。そういうところに着目すると楽しいなって感じられて、やりがいはそこで生まれた感じですね。

-前作『In the Light of Lies, Pt. 1』でのイメージから、今回先行配信となった「True Believer」を聴いたときは、今までの感じとは違うポップさがあって、突き抜けた曲になったなという印象がありました。曲ができたときの感触も違ったのではという曲ですね。

MAKI:うん、まさにそうですね。

ANDY:前のEPとは、プロデューサーが変わったんですよね。

RIKI:ミックス・エンジニアとかが変わったので、音作りとかは今までの楽曲と変わっていますね。曲の構成とかについては──結果的にめっちゃ明るい曲に仕上がったんですけど。最初にANDYがデモを作ったときは、暗めで。

ANDY:今とは逆だった。

KAI:コード進行も、今聴くと暗いほうにいこうと思えばいけるようなコード進行の曲なんですけど。最初にアレンジしているときには、僕は、暗い感じにしようとしてるのか明るい感じにしようとしてるのかが読み取れなくて。きっとこっちの方面にいったほうがかっこいいんじゃないかって思って進めていったら、明るくなって、結果的にめっちゃClarityっぽい曲だなみたいな。

ANDY:そこから今の感じが生まれたんだよね。私の「True Believer」の最初のデモはすごく暗くて、CrossfaithみたいなEDMの感じがあって。そういう曲を作りたいなと思っていたんです。デモを作ってみんなに出して、3人がアレンジをしてくれたんですけど。その3人のアレンジが上がってきたとき、"これ私の曲じゃないじゃん、めっちゃ明るくなったじゃん"っていう(笑)。

KAI:そうそう(笑)。アレンジのとき、僕が明るめのギターを乗せて、RIKIとMAKIさんに僕の家に来てもらって、"僕はこっち系だと思うんだけど。ANDYはこの曲、暗い感じで考えてるかな、ふたりはどう思う?"って聞いて。ふたりも"僕もこっち(明るい系)で考えてた"って感じで3人が曲の方向性が一致したんです。で、そのあとANDYが"シンセ部分を作ったから、送るわ"って音源を送ってきたんですけど、それがめっちゃ暗くて(笑)。

ANDY:(笑)

KAI:僕らが作ったアレンジの感じとは全然違うシンセが来たんですよね。

RIKI:3人で、"これ、誰が言う?"って(笑)。

ANDY:でも、最初に聴いたときは"なんだろうな"っていうのはあったけど、何回か聴いていくうちに、Clarityはこれだなって気づいた。私のエゴというよりも、みんなが好きなものを作るのが大事で。この曲はこの感じだなって。

KAI:Clarityの曲作りでは、そのパターンが結構ありますね。例えば、僕はDjent系やプログレ・メタルが好きなので、デモ段階でリズムやリフが複雑な曲を作りがちなんです。これはやりすぎたかなって思いながら恐る恐る、"これどうかな"って送ったら、みんな意外とめっちゃいいじゃんってなることも多くて。自分では"これはClarityじゃないかな"って思って出した曲も、最終的にはみんなでブラッシュアップしていって、Clarityの曲になるという。作っていくなかで曲が変わっていく感じがありますね。

ANDY:曲を作って、これはClarityに合うかな、どうかな? って思うけど。でもClarityは私たちで、この4人なんだからって。4人がしたいことは、Clarityなんだよっていう考え方です。

KAI:だから、Clarityっぽくないかなって思って作ったデモでも、みんなで触っていくうちにClarityになるという感じですね。だから、最初から「True Believer」みたいな曲を作ろうと思って作ってはいなかったんです。

-ちょっとした解釈のズレみたいなものが面白いものを生むんですね。

KAI:そうですね。

ANDY:これ私の考え方なんですけど、曲は生き物みたいなもので。最初から、こういうような曲がいいよね、こういう曲が作りたいなって思っても、厳しくコントロールしたくないんです。私の最初のイメージから変わったとしても、それはその曲が自然に行きたい道で、邪魔したくないんですよね。