MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Amiliyah

2021.05.18UPDATE

2021年05月号掲載

Amiliyah

Member:kimi(Vo) Wester(Ba) Eschika(Vn) Moel(Vn)

Interviewer:杉江 由紀

-その写真アルバムのたとえに倣いますと、人間界では学校を卒業すると記念アルバムを貰えるという制度があるのですけれど、その記念撮影の際に欠席した人は別枠で写真が載るという切ない事態が起こってしまうのですよ。しかしながら、今回のベストの場合は特別な方法で全体写真の中にいなかったはずのEschikaさんとMoelさんのお姿も違和感なく一緒に写っている、というような仕上がりになっている印象です。

Wester:卒業アルバムというものについてはよく知らんが、言いたいことはなんとなくわかるぞ。ちゃんとみんなと一緒に座って写ってる感じになっているわけだな。

Eschika:良かったわー。とってつけたみたいな感じになってたら困るからね(笑)。

-EschikaさんとMoelさんのアンサンブルについては、どのように振り分けをしていったのかも教えてください。

Eschika:まずはあらかたハモりの部分も含めてアウトラインをあたしが作って、それをMoelに投げて"どう思う?"って聞くようにしたね。ね?

Moel:うん、とっても仲良くやってるよー。

-ところで。EschikaさんとMoelさんの織りなす音には、いかにもヴァイオリン然としたクラシカルな要素も多々ある一方、曲によってはどこか民俗的な響きが含まれているものもありますよね。あのようなニュアンスは意図的に入れていらっしゃるのですか?

Eschika:おや、そこに気づいてくれたのかい。嬉しいね、ありがとう。

Wester:Eschikaは、人間界でいうフィドルだとかアイリッシュ系の音楽などにも造詣が深いのだ。

kimi:たまに効果音みたいな音を出したりするわよね? ヴァイオリンは、そんなふうにも使えるなんて面白いなーと思ったの。

Eschika:フレットがないぶん、ヴァイオリンは自由に音が作れるから、そこを生かすやり方もあるのよね。

-もっとも、ノンフレットとなるとEschikaさんとMoelさんが一緒に同じ音を出そうと思ってもそこには微妙な差異が生まれる可能性もあるわけですよね。その点については、どのように解釈されているのでしょう?

Eschika:そこはね、あたしがトップ・ノートを弾くとするとMoelのほうが寄り添ってくれている感じかな。

Moel:私もひとりで弾くときには、チューナーに対して正確に合わせるんですけど、姉さんと弾くときは姉さんの音に対して最も綺麗にハモる音で弾いているよ。それがとっても楽しいし心地いいんだよー。

Eschika:いつもあたしたちは息がぴったりなんだ(笑)。

Wester:とはいえ、ヴァイオリンのふたりは我々とのやりとりもあるよな。

Eschika:そうね。もちろん姫のメロディとの兼ね合いもあるし、全員と話し合ったり相談したりしながら音を作っているよ。

kimi:ほんとうに僅かな隙間や思わぬ場所にもヴァイオリン・ソロが入ったりしましたね。

Eschika:入れられるとこは全部入れてやった! はっはっは。

Wester:もともとは俺様がベース・ソロっぽい感じて弾いていたところに、ヴァイオリン・ソロで攻め込まれたこともあったぞ(苦笑)。だが、曲としては良くなったから善しとした。まぁ、俺様は器量のデカい悪魔だからな!

-いずれにしても、今作はとても聴き応えたっぷりな作品に仕上がりましたね。

Wester:今回はリレコーディングと銘打っているだけあって、このベストでは我々も録り直しているパートが多々あるんだ。長年ショーを通してアレンジが変わってきたところなどは、各パートとも今のショーで出している音に極力近づけたのだ。姫の歌うメロディ・ラインについても、オリジナルと比べて進化しているものがあるぞ。だからこそ、ヴァイオリンとも、より一体感が生まれたというのもあるのではないだろうか。

kimi:中には、ショーでのみ披露していたグロウルを入れた曲もあります。メロディとグロウルを交互に瞬時に切り替えるので、レコーディングの際に、自然にコンデンサー・マイクのままグロウルしたのですが、かなり声量がないとできない珍しいことらしくて非常に驚かれました(笑)。

Wester:人間界だとまずないらしいぞ。レコーディングのとき、人間のエンジニアが"マイク変えないんだ? この声スゲー!"と驚いてたからな(笑)。

-さて。ここで、『Amiliyah Best Your Selection adding violins』における個々の挙げるお気に入り曲を教えていただけますでしょうか。

kimi:私は「fall (adding violins)」です。先ほどお話したグロウルの入っているショー・バージョンなので、今までAmiliyahのショーにいらしたことがない方には意外な側面と驚かれるかもしれないですね。そして"ヴァイオリンは大人しい楽器"という一般的なイメージを覆す形となった現在のAmiliyahを聴いてみていただきたいです。あとはヴァイオリンとギターによるソロが聴きどころの「serpent (adding violins)」も好きですね。

Moel:この中だと、「DRESS (adding violins)」かな。Amiliyahの中でもこの曲はスラッシュ・メタルだとかメロスピとかのより激しい音楽に近いものだと思いますし、もともと私はそういう音が大好きなの。姉さんとの熱いヴァイオリン・ソロの掛け合いも入っているから、ショーではいつも民の方たちも私たちも必ずすごく盛り上がる曲なんだよ。最高にヴァイオリンがカッコイイので、みんな絶対聴いてね!

Eschika:悩むわ......。全部好きだし、全部に思い入れがあるので。でも、強いて言うなら「silence (adding violins)」。

Wester:あぁ、あのバンドインしたタイミングのヴァイオリン・ソロは泣けるな。

Eschika:なんでアンタがしゃべんのよ! ここはあたしのターンだよ(笑)!!

Wester:すまん、すまん(笑)。少し悪魔は黙ることにしよう。

Eschika:「silence (adding violins)」には、バンドインしたタイミングのヴァイオリン・ソロが入ってます。って、これはあたしが言おうと思ってたのに(笑)。この曲ではクラシカルなヴァイオリンと、北欧っぽい雰囲気を意識したフィドルも入れてあって、間奏ではそれこそ効果音もチョップスというテクニックを使ってヴァイオリンで出しているので、いろいろな要素をふんだんに盛り込んであるところがおすすめです。ヴァイオリンってこんなにたくさん表情を持っていて、こんなに多彩な表現ができる楽器なんだということを感じてもらえると思いますね。

-Wester様、どうぞ(笑)。

Wester:よし、やっと俺様の番だな(笑)。俺様は「air (adding violins)」と「strawberry (adding violins)」の2曲を選ぼう。まず、前者は今回のアルバムの中で最もラウドロックな曲になっているのだが、そこに"adding violins"してあるところが実に画期的だろう? 様式美系のメタルやバラードではヴァイオリンが使われることもよくあるが、これはAmiliyahだけの新しいサウンドだと言えるはずだ。そして、この曲には療養中のAmbiiが4thアルバム『Departure』のときに弾いたギター・ソロをそのまま入れておる。すなわち、この曲でのAmiliyahは8名編成になっているわけだな。

Eschika:さっき割り込まれたぶん、「air (adding violins)」についてあたしも少し話してもいいかい? そのAmbiiちゃんのギター・ソロの前に入っているヴァイオリン・ソロはあたしなのよ。これを弾いたときはいろんなことを考えちゃった。あたしはまだAmbiiちゃんに会ったことはないけれども、この曲の中には確かに居るんだなと感じたのでね。Ambiiちゃんのソロを"行け!!"って送り出すようなつもりで弾きました。

Wester:結局、それもこのベストだからこそできたことだろうな。ということで、また俺様の話を続けるぞ。もう1曲の「strawberry (adding violins)」についてはとにかく悪魔泣かせなんだ。歌詞の内容としては7弦ギターのトロール Gacciが主人公で、誤って友達を殺めてしまったという物語になっているんだが、そこのなんとも言えない機微とメロディの重なり方が聴いていると非常に悪魔泣かせでな。おまけに本当は7/8の変拍子なのにそうは聴こえないポップな感じになっているところも、またまた別の意味で悪魔泣かせに仕上がっているのだよ。

-とにもかくにも。姫の高貴な歌声に、モンスターたちの魔力、そこにエルフの妖力までが織り重なるようになったAmiliyahの音は、今回のベストでもいよいよ他の追随を許さぬものとなってきましたね。

Wester:聞くところによると、昨今の人間界はコロナとかいうのでいろいろと大変なんだろう? 実際、我々のショーも密がナントカでなかなか開催しにくかったりもするからな。だが、そのぶんこうしたベストで民たちには我々の音をじっくりと楽しんでもらいたいと思っている。また、これまで我々の旅に着いてきた民たちはもちろんだが、これから旅に参加したいと思う者にとってもこのベストは聴きやすいものになっているはずだ。

-と同時に、この『Amiliyah Best Your Selection adding violins』から始まっていくのであろうAmiliyahの新たな未来も楽しみです。

Wester:そうだな。今回のベストはAmiliyahの過去と今、そして未来を繋ぐ橋渡しのような作品になったと言えるだろう。6月19日にはレコ発のショーも予定しているし、それを皮切りに全国津々浦々行きたいと思ってもいて、最後にはまた東京にも戻ってきたいと思っているのだが、現状あのちっちゃいトゲトゲしたヤツのせいで人間界は騒がしいことになっているからな。これからのことは、決まり次第随時報告しよう。

kimi:すべては一歩一歩ですね。Ambiiのためにも私たちはAmiliyahをしっかりと守っていかなくてはならないし、今はみんなでできる最良のことを続けていきながら、これからも神様の"徴(しるし)"を探し続けていきます。