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INTERVIEW

TOUCHÉ AMORÉ

2020.10.15UPDATE

TOUCHÉ AMORÉ

メンバー:Jeremy Bolm(Vo)

インタビュアー:山本 真由

LA発激情/ポスト・ハードコアでシーンに圧倒的存在感を示す5人組、TOUCHÉ AMORÉ。近年の"Epitaph Records"所属バンドの中でも特に激しく、また哀愁のあるメロディで、ここ日本でも一定の支持層を得ているバンドだ。その音楽性からもわかる通り、日本のenvyからも影響を受けている彼らだが、今作『Lament』は、SLIPKNOTやKORNらの名盤を手掛けたことで知られる、Ross Robinsonをプロデューサーに迎え、自身の求める音楽と深く向き合いポジティヴに消化した作品となっている。ステイホームで、作品を揉む時間的余裕ができたこともあり、満足のいく成果を出せたというフロントマンのJeremy Bolmに、今作の背景や作品について詳しく語ってもらった。

-TOUCHÉ AMORÉは、激情ハードコアとも言われるような激しい感情を露わにした音楽スタイルですが、メンバーの音楽的ルーツや影響を受けたバンドについて教えてください。

山ほどあるけど、一番影響を受けたバンドのひとつが日本のenvyなんだ。メンバーみんな大ファンだよ。2010年には一緒にアメリカをツアーすることができて、数年前にはこっちが日本に行って一緒にツアーすることができた。このバンドを始めたころ、彼らのアルバム『a dead sinking story』や、『Insomniac doze』みたいな感じのスタイルを目指していたんだ。ただ、自分たちに関してはあまり複雑な説明をするよりも、"俺たちはパンク・バンドだ"とシンプルに言いたいね。そのほうが楽だし(笑)。パンク・バンドはみんな好きだよ。

-4thアルバム『Stage Four』(2016年リリース)は、癌でお母様を亡くしたあなたの心情が影響した作品でしたが、バンドにとっても重要な転機を迎えた作品だと思います。新作ができた今振り返って、この作品はどんな作品ですか?

新作ができてハッピーだよ。というのも、あまりパーソナルじゃない曲をライヴでやれる機会ができるからね。もちろん今回のアルバムもパーソナルではあるけど、そんなに悲劇的ではないから。感情的な意味で自由を新たに手にすることができるのはいいね。ものすごく悲劇的な曲ばかり歌わなくて済むということだから。前作(『Stage Four』)の曲をもうやらないって意味じゃないよ。あのアルバムは俺のヒーリングのために必要だった。母親の死から立ち直るためにもね。でも、今回のアルバムはもっと気楽で、母親が死んでから、そして前作を出してから俺が学んだことについて歌っているんだ。

-前作を一連の感情の集大成にして、そこを乗り越えてここにきたという感じでしょうか。

そうだね。

-よかったです。また、『Stage Four』は別の意味でも過渡期のアルバムでしたね。所属レーベルがCONVERGEのJacob Bannon(Vo)が主宰する"Deathwish Inc."から、BAD RELIGIONのBrett Gurewitz(Gt)が主宰する"Epitaph Records"に変わりました。どういった経緯で移籍されたのでしょうか?

すごく自然な流れだったんだ。俺たちは"Epitaph(Epitaph Records)"の本拠地であるロサンゼルスに住んでいて、オフィスも俺たちの住んでいるところのすぐ近くなんだ。だから、"Epitaph"に長く勤めている人の多くは俺たちのプレイを観る機会が結構あった。7~8年とか観ている人もいるんだ。そんなわけで、いい関係を築けているスタッフが多かった。今はラッキーなことに彼らがチームの一部になってくれている。自分たちのために働いてくれる人がファンでもあるっていうのは本当に嬉しいことだよ。友達でもあるしね。スタッフとすでに築いていた関係と、俺たちが彼らにおいていた信頼が......そうそう、Jacob Bannonのバンド、CONVERGEも"Epitaph"なんだよ。

-あっ。たしかに。

Jacobは"Deathwish(Deathwish Inc.)"を主宰しているけど、彼のバンドは"Epitaph"所属なんだ。1周回ったような感じだよね。だから、"Epitaph"に入ったところで、水が合わない魚みたいになることはないだろうって信頼もしていたんだ。安心して移籍することができたよ。と言っても、"Deathwish"をリスペクトしていないからなんてことじゃなくて、"羽を広げるときが来た。何か新しいことを試してみよう"と思ったんだ。それにオフィスが目と鼻の先というのはやっぱりいいよ。

-何かあったらお互いにすぐ相談に行けますもんね。

そうなんだよ。Deathwishはボストンだから国を横断しないといけないしね。時差もあるし......今はパッと行ってドアをノックすればすぐ会えるから。

-"羽を広げて"ということですが、どちらかと言えば、"Epitaph"は"Deathwish"よりも幅広いアーティストを受け入れています。移籍により音楽への向き合い方や考え方に変化はありましたか?

うーん......そうは思わないなぁ。移籍しなかったとしても、『Stage Four』はああいう形で出しただろうし、違う音になったとも思わないね。Epitaphにいることの大きなメリットのひとつは、アーティスティックな自由を与えてくれるということなんだ。口出しはしてこないね。前回はスタッフがスタジオに1回顔を出してくれたけど、今回は来なかったような気がするし。俺たちのやることを信頼してくれているから、ラッキーだと思う。やりたいようにやらせてくれるからね。それに、このレーベルには友人のバンドもたくさんいるし。CONVERGEからALKALINE TRIO、THE LAWRENCE ARMSまで憧れのバンドもたくさんいるから嬉しいね。"ANTI- Records(Epitaph Recordsの姉妹レーベル)"のアーティストも、Neko Caseとか、Tom Waitsとかがいるし。そういう世界の一部になれるのはクールなことだよ。

-昨年は、1stアルバム(2009年リリースの『...To The Beat Of A Dead Horse』)の再録盤『Dead Horse X』を発表しました。デビュー10周年の節目ということもありますが、他にこの作品にもう一度焦点を当てようと思った理由はありますか?

いや、基本的には単に10周年を祝おうと思ってやったことなんだ。俺たちのアルバムはみんな豪華なブック付きのバージョンを出していて今回も出したんだけど、1stでは出していなかった。というのも、あれをレコーディングしたときに、仲間内以外で聴いてもらえることになるなんて思ってもみなかったんだよね(笑)。それで10周年を記念してブックを作ったんだ。ノスタルジアに溢れている内容のものをね。ただ、アルバムのリミックスや、リマスタリングは不可能だった。何年も前に内輪で作ったものだったから、ファイルをみんな失くしてしまったんだ。それで、"じゃあいっそのこと録音し直そう"ということになった。でも、ベースのTyler(Tyler Kirby)とドラマーのElliot(Elliot Babin)は当時まだ加入していなかったから、今のメンバーでレコーディングできたのはクールだったね。それに音も良く......なったと思うし、今の自分たちのフィーリングが反映できたんじゃないかな。機材もエネルギーも前より良くなったしね。『Dead Horse X』のレコーディング中には、『Lament』のデモ作りも同時進行でやっていたんだ。

-いろんなことが同時進行で起こって、結果アップデートもアップグレードもできたんですね。

まさにそういうことだね。

-新作『Lament』のリリースに先駆け、「Reminders」のミュージック・ビデオが公開されましたが、TOUCHÉ AMORÉのメンバーだけでなくSKRILLEX、Frank Iero(MY CHEMICAL ROMANCE/Gt)、Jim Adkins(JIMMY EAT WORLD/Vo/Gt)、Jay Weinberg(SLIPKNOT/Dr)、Jacob Bannon(CONVERGE)など、多くのミュージシャンが出演し、話題となりました。ステイホームの期間をペットや家族と過ごすハッピーな映像が集まっていますが、このビデオを作った経緯について教えてください。

いくつかの要因があってね。ひとつは......正直に言うと、「Limelight」のビデオに予算がかかってしまって、今作っている別の曲のビデオはもっとかかったから、3本目のビデオを作るのにこれが一番簡単で金がかからない方法だったんだ。エディターひとり雇うだけで良かったからね。マネージメントのスタッフからは、"ファンを募集して一緒に何かやってもらう"ってアイディアも出て、そっちにいきかけたけど、ファンにビデオを送ってほしいなんて言ったら、選ばれなかった人の気持ちを傷つけてしまうかもしれないし......と悩んだんだ。それで、"じゃあ、この数年の間に友達になることができたクールな人たちに声を掛けて、彼らに、ペットと一緒にいるキュートなビデオを送ってもらうのはどうだろう"という話になった。頼みごととしても一番気楽だしね。俺だってもし"犬と一緒に映っている30秒のビデオを送ってくれ"と言われたら、"もちろんさ。30秒だね。すぐ送るよ"って言うし、一番手軽な頼みごとだと思う。iPhoneはみんな持っているしね。友達に対しても大きな要求にはならない気がした。嬉しかったよ。自分の大好きな人たちが大好きなペットとくつろぐ、キュートなビデオが次から次へと送られてくるんだから、俺にとっては喜びだったね。しかも安上がりだったし(笑)。

-そこ、大事ですね(笑)。

本当に大事なことだよ(笑)!

-また、この映像の冒頭に"人生の中で、愛を思い出させてくれるものは何か? 友人たちにこの質問をしてみたところ、圧倒的に同じ答えが返ってきた"とありましたが、その答えとは?

それは......みんなロックダウンでステイホームしていて、一緒にいるのは同居人だけ。あるいは独り暮らしかもしれない。そんなときにペットがいたら......ペットは決めつけてなんかこない。ペットは深い愛情以外に何も知らない。落ち込んでいても、悲しくても、ハッピーでも、どんな感情のときも、ペットの顔を見たら、そいつはひたすら愛をくれるんだ。そういう一貫性が人生の中にあると、それに頼ることができる。どんなことがあっても、ペットは愛してくれるし、いつも忠実でいてくれる。そういうことを反映しているビデオなんだ。

-ということは、答えは"ペット"だったんでしょうか。

......そう。

-(笑)ありがとうございます。まったくその通りですよね。バンド名の"TOUCHÉ AMORÉ(Touch Love)"にも繋がりそうなテーマですが、このバンド名を採用した理由や由来について教えてください。

俺が大昔に思いついた名前でね。辻褄が合わない名前だってことも重々承知している。2言語だからね。フランス語とイタリア語なんだ。

-あっ、そうなんですね。言われてみれば"touché"はフランス語ですね。ということは"amoré"がイタリア語?

そう(※本来amoreのeの上にアクセント記号は不要)。俺たち、ロサンゼルスのバカなアメリカ人バンドだからさ。この名前でバレバレだよね(笑)。でも、バンド名を考えついた当時はヨーロッパに行くことになるなんて思ってもいなかったんだ。初めてヨーロッパに行ったときはイタリアや、フランスに行くのが本当に怖かったよ。何かこっぴどくやられるような気がしてさ(笑)。今でもときどき"君たちのバンド名辻褄が合わないんだけど"なんて言われるよ。

-(笑)

でも、俺は気に入ったんだよね。"Touch Love"という意味にも取れるし、愛に対して皮肉なジャブをかますような意味にも取れるし......俺にとって名前というのは具体的な意味を持たなくていいものなんだ。ちょっと韻を踏んでいるところも好きだし、今は名前がその言葉の意味から生まれる可能性を超えた存在になったと思う。このバンドの今の形を表していると考えているんだ。

-ポジティヴなバンド名ですから、反感を持つ人もいないですしね。興味を惹かれる名前だと思いますよ。

そうだね。"どんなバンドなんだろう?"と思ってもらえる名前ならどんなものでもいいと思う。