INTERVIEW
秘密結社ニルヴァージュ∀
2020.08.11UPDATE
Member:アヤァ=オブ=ザワールド セイゴ=マーベラス=カネキ ハル=T=ブラゴ ミカヅキ=ツキノ 三代目暴走地獄龍轟 マーク=ノースヴィレッジ ルイ=マリア=ローゼス
Interviewer:山口 哲生
2019年の始動から、ハードなバンド・サウンドと、パワフルなパフォーマンスで注目と支持を集めてきている秘密結社ニルヴァージュ∀。7月20日に1stワンマン・ライヴ"月に吠える"を終えた彼らは、メンズ・アイドル・シーンで活動をしながらも、そのシーンを否定し、そこから"早く抜け出したい"と話す。そこには、彼らが目指している大いなる野望と、首謀者であるアヤァ=オブ=ザワールドの凄まじいまでの情念があった。激ロック初登場。メンバー全員インタビューで、異色な7人のこれまでと、グループの本質に迫る。
-秘密結社ニルヴァージュ∀はどういうきっかけで始まったグループなんですか?
アヤァ:僕が新世紀えぴっくすたぁネ申という違うグループもやっているんですけど、それとは別に自分が本当にやりたいグループを作ろうと思ったのがきっかけですね。僕はバンドが好きで、バンドがやりたかったし、というかやっているんですけど、楽曲はやっぱり大切にしていきたいと思っていて。僕、メンズ・アイドル界隈があんまり好きじゃないんですよ。
-その発言、大丈夫ですか......(苦笑)?
アヤァ:全然大丈夫です。なんか、ダサいじゃないですか。もちろんちゃんとやっているグループもいるけど、結局ライヴよりも特典会になっているところが、それってエンタメなの? って思うところがあって。接触して、顔がいい男たちと話したいだけであれば、ホストクラブに行けばいいじゃん。まぁ、そういうことを言うと、僕らも商売あがったりになってはしまうんですけど(笑)、正直そう思っていて。やっぱり、僕たちだからライヴに来てくれて、音楽も聴いてくれているっていう状況を作りたいなと思ってます。だから、賭けのグループではありますね。王道ではないし。
-メンズ・アイドル・シーンで活動してはいるけれども、その界隈での活動パターンに則るというよりは、自分たちの思うような活動をしていきたいと。
アヤァ:そうですね。一番やりたいのは......まぁ、言ったら今回激ロックさんにもアピールをしているわけですよ(笑)。
一同:(笑)。
アヤァ:そこもぶっちゃけちゃうと、バンド界隈でライヴがしたいんですよね。現状はその界隈で一緒にライヴをしてくれる人たちとなると、本当に限られてきてしまうし、例えば、僕たちをフェスとかに出すことによって、"嫌だ"と思う人たちもいるだろうし。そういうところをどうにか払拭していきたいと思っているところですね。だから、メンズ・アイドル・シーンにとどまろうと思っていないし、早く抜け出したいとずっと思ってます。
-でも、抜け出したいと思っているのに、なぜメンズ・アイドルとしてスタートしようと思ったんですか?
アヤァ:僕が音源でやろうと思っていたことが──これはメンズ・アイドルのいいところというか、アイドルのいいところだと思うんですけど──どんな音楽をやってもいいじゃないですか。バンドをやるとなると、だいたいどんなジャンルをやるか決めて始めることが多いけど、いろんな音楽ができるのはアイドルの一番いい部分だと考えていて。だから、僕が好きな音楽を、アイドルとしてアウトプットできたらいいなと。
-なるほど。
アヤァ:別に僕はアイドルが嫌いなわけではないんですよ。アイドルは好きだけど、今のメンズ・アイドル・シーンが嫌いなだけで。だから、ここを抜け出すというか、抜け出したあとに新しくシーンを作りたいんですよね。今のメンズ・アイドル・シーンはミスで構築されてしまっているというか(笑)、バグが多すぎるので。
-野望はかなり大きいですね。
アヤァ:デカいですね。
-そこから仲間を探していくにあたって、どういう人と一緒にやりたいと思っていました?
アヤァ:やっぱり音楽が好きな人を集めたいと思ってました。そういう話を周りにしていたときに紹介してもらったのがセイゴで。セイゴは歌い手としても活動していて、歌も上手かったから入ってもらいたいなと思ったんです。でも、かっこいいから入れようではなくて、同じ志を持ってくれる気持ち的な部分が大切だと思っていたので、人となりを大事にしてましたね。
-セイゴさんとしては一緒にやろうというお話が来たときにどう思いました?
セイゴ:僕は中3から21歳ぐらいまで、バンドでヴォーカルをやっていたんですけど、いろいろあってやめてから歌い手を始めたんですよ。それで歌い手の知り合いからアヤァさんを紹介してもらったんですけど、当時はメンズ・アイドルっていう界隈のことをまったく知らなくて。でも、この界隈もダメなところがいっぱいあるって言うのもアレですけど(笑)、歌い手のほうにもダメなところがいっぱいあるんですよね。全員が個人でやっていたので、グダグダな人はほんまにグダグダやったから、そういうところに嫌気がさして。そういうときにアヤァさんと会って話したら、音楽が好きでちゃんとやりたいとか、思っていることが同じやったんで、一緒にやってみたいなと思いました。
-ちなみに、メンバーのみなさんが加入された順というと?
セイゴ:初期メンバーが5人いたんですけど、いろいろあって、今は僕とアヤァさんしか残っていなくて。そのあとに改名したタイミングで入ったのが轟と、ハルと、ツッキー(ツキノ)で、他にもメンバーがいたんですけど、いなくなり(笑)。で、去年の12月にまぁくん!(マーク)とルイさんが入って、今の形になりました。
-ハルさんはどういう流れで加入されたんですか?
ハル:僕は新世紀えぴっくすたぁネ申のリーダー、HIЯOさんのもとでスタッフをやってたんですよ。もともとこういう活動がしたいと思っていたので、1年半ぐらいずっとバイトみたいな感じでやらせてもらっていたんです。で、アヤァさんや、轟君とたまたまご飯に行く機会があって。そのときに、これから先どうしていくんやっていう話になったんですけど、そのときにアヤァさんから"今メンバー集めてるけど、お前どうする?"っていうことになったんです。一緒に仕事していたから、まったく知らない人ではなかったし、音楽が好きなのも知っていたし、ついていっても大丈夫だなと思えたので、"よろしくお願いします!"って。
轟:僕ももともとスタッフだったんですよ。秘密結社ニルヴァージュ∀になる前の、S.S.NiRVERGEの頃にスタッフをしていて。
セイゴ:僕らがライヴやるときの物販の受付とか、荷物を運ぶとかしてて。
轟:そういうなかでライヴを観ていて、かっこいいな、自分もやりたいなと思ったんです。それでアヤァさんにそのことを話したら、入ることになりました。
アヤァ:(轟は)もともと運転手も兼ねてやるはずだったんですよ。だから、車も買ってあげたんですけど、もう本当にお金の無駄になってます。こいつは僕のマジの弟なんで、家族だからなあなあでいけるだろうと思ってるんだと思うんですけど。
轟:いや、思ってない(笑)。
アヤァ:僕的には臓器を売ってもらおうと思ってます。早くお金返してもらいたいんで。
セイゴ:例えばの話ね(笑)?
アヤァ:この前、ネットで値段とか調べたんで。
-怖い(笑)。ツキノさんはどういうきっかけで加入を?
ツキノ:僕は違うところでメンズ・アイドルをやってたんですよ。そこのグループは、さっき話にも出てたんですけど、接触が結構近いしやる気もあんまりないし、向上心もなくて。でも、僕は上を目指したいから意見が対立しちゃって、そこを離れることになったんです。だけど、次のことを何も考えてなかったんですよ。そういうときにアヤァさんから誘ってもらえて。僕もアヤァさんのことはよく観ていて、ロックな人間だなと思っていたし、話を聞いたら近い感じがしたので、ぜひやらせてくださいという感じで入りました。
アヤァ:前にやっていたグループのライヴを観たときに、(ツキノが)すごくダルそうにライヴしてたんですよ。
-(苦笑)
アヤァ:いや、マジであのライヴ観たほうがいいですよ?
-そんなにヤバかったんですか?
ツキ:いや、自分としてはちゃんとやってましたよ(笑)? 人前に立つときはちゃんとやろうと思ってたんで。
アヤァ:もちろんちゃんとやってるときもあったけど、やっぱ人って出ちゃうんですよね、表情に(笑)。めちゃくちゃけだるそうにライヴしてたから、最初に観たときは、なんでこいつステージに立ってるんだろうと思って。でも、何回も観ていると、内に秘めている熱い部分とか、ロックな部分がチラチラ見えるときがあって、もしかしたらこのグループをやりたくないんじゃないのかなと感じたんですよね。これは方向性を変えたらすごくよくなるんじゃないかなって。
-なるほど。
アヤァ:で、つきじろう(ツキノ)がもともといたグループの会社の忘年会があって。僕、最初そこの会社でメンズ・アイドルをやってたんですよ。でも、速攻やめて。だけど、忘年会に呼ばれて、なぜかMCをやっていたときに、つきじろうが卒業するのが決まっているっていう話が出たんですよ。だから、そこの会社の人に"僕につきじろうをくださいよ"って言ったら、"ダメだよ"と言われて。でも、結局仲間になったっていう。だから、やっぱり言霊ってあるんですよね。自分がこうしたい、こうなりたいと思ったことはちゃんと言わなきゃ実らないなって。
-そのあとに加入されたのが、マークさんとルイさん。
マーク:僕は今もアヤァと同じグループ(新世紀えぴっくすたぁネ申)をやっているんですけど、ニルヴァージュ(秘密結社ニルヴァージュ∀)のメンバーとご飯に行ったときに、急に言われたんですよ。それまではそういうことを意識したことなかったし、自分がニルヴァージュの色に合うかどうかなんて考えたこともなくて。最初は合わないんじゃないかなと思ったけど、意識し始めたら、逆に新しい自分を見つけられるかもしれないと感じたんですよね。曲がいいことはわかっているし、話していたら、みんなが考えていることも少しずつわかってくるようになって、本当にいいグループなんやなと思って、入ることを決意しました。
アヤァ:まぁくん!は、えぴっくすたぁ(新世紀えぴっくすたぁネ申)のほうでは、今じゃ一番仲がいいから、まぁくん!が良ければこっちに来ないかなと思って。僕は結構イロモノを集めているので、正統派な顔がひとりぐらいいたほうがいいし(笑)。気持ちの面としては、まぁくん!は、もともと本当にTHEメンズ・アイドルみたいな感じだったけど、それが一緒にいて変わってきたんですよ。僕は変われる人間ってやっぱりすごい強いなと思うんで、そこもありましたね。
-ルイさんはどういうふうに加入を?
ルイ:僕はえぴっくすたぁをちょっと手伝ってたんですよ。音源の管理とかをやっていたんです。
-それはミックスとか、マスタリングとか?
ルイ:それもやってましたし、普通に物販の受付とかもやってました(笑)。だから、関係性が近かったのもあって、ニルヴァージュを観る機会も頻繁にあって。まぁ、めちゃくちゃ言い方は悪いですけど、この業界に対してはあまり興味がなかったんですよ。彼(アヤァ)の作るものがかっこいいなと思っていたので、えぴっくすたぁの音源も耳に入ってきていたし、ニルヴァージュも気になっていて。で、ライヴを観たときに"めちゃめちゃこの人たちかっこいいじゃん"って思ったことがあったんです。主催のときだったかな。
セイゴ:僕、覚えてますよ。中野S.U.B TOKYO。初主催のとき。
ルイ:その日のライヴがすごかったんですよ。僕はずっとバンドをやっていたんですけど、最後のほうは音楽サラリーマンになってしまっていたというか。スムーズに進んではいくんだけど、自分が何をしたいのかよくわからなくなっていたし、バンドが終わったあとはいろんな気持ちが消えてしまって、熱くなれるものがないままずっと過ごしていたんですよ。でも、そのライヴを観たときに自分の中でめちゃめちゃテンションが上がって、"俺この人たちと音楽をしてみたい"と思えて。また自分の中で頑張ろうと思えたり、熱くなれたりするんじゃないかなっていうのをすごく感じたので、話をしてみたんです。
アヤァ:ルイさんとはいつもはグループLINEで会話してたんですけど、急に個人LINEで"ちょっと話がしたいんですけど"ってきて。深刻な感じだったから、えぴっくすたぁのスタッフ辞めたいのかなと思ったんですけど、飲みに行ったら"ニルヴァージュに入りたいんですけど"って言われたんです。正直ちょっと悩んだんですよ。バンドはやっていたにせよ、ダンスとなるとまた勝手が違うだろうし、"じゃあ一緒にやりましょう!"っていう年齢でも正直ないじゃないですか。僕とルイさんはそこまで変わらないけど、それまでやっていたか、やっていなかったかの差って結構大きいし。でも、ルイさんの熱量がすごかったんです。だから、僕の希望も込めたというか。
-希望?
アヤァ:そのときに、これでルイさんを入れてうまく進んでいったら、すごくいいなって思っちゃったんですよね。だから、本人がいる前で言うのもアレですけど、ぜひ入ってくださいというよりは、僕の希望も一緒に乗せて、それが実っていったらいいなと。でも、そのときにルイさんにも話したけど、僕がもし違うと思ったら、またスタッフに戻しますっていうことは話していて。
-メンバーのみなさんは、比較的近い場所にいた人たちが集まったところはあるけど、なあなあにはしたくないっていうところがあるんですね。
アヤァ:そうですね。やっぱりなあなあでやっていても、いいことって世の中そんなにないですからね(笑)。そこははっきり伝えたほうがいいと思っているんで。若かったらいいんですけど、僕もルイさんも時間はないからね。
ルイ:若いときって、はっきり言ってくれる人のありがたさってあんまりわからないじゃないですか。僕がそういうタイプだったんですけど(笑)。だから、そういう人が身近にいるのってありがたいなって思えるようになったのはここ数年ですよね。