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INTERVIEW

FAKE ISLAND

2020.03.03UPDATE

2020年03月号掲載

FAKE ISLAND

Member:YuuriBjoux(Vo) Erica(Growl) Matsumoto(Gt) Igarashi(Ba)

Interviewer:荒金 良介

-そして、ヨーロッパ・ツアーを実際にやってみた感触はいかがでした?

Erica:仲良かったベーシストに向こうのプロモーターを紹介してもらい、予想以上に早めに決まっちゃったんですよ。泊まるところもプロモーターの自宅で"好きに使っていいよ"という感じで。ライヴハウスやロック・バーみたいな場所で9公演やりました。

-実際に何ヶ国回ったんですか?

YuuriBjoux:フランス、ドイツ、ベルギー、オランダですね。

Matsumoto:基本的に反応はどこも良かったですね。

Erica:ほぼみんな初見だったと思うけど、拳を上げて盛り上がってくれましたから、我々もテンションが上がりました。純粋に音楽を楽しんでいる人たちが多かったですね。

YuuriBjoux:楽しかったら周り関係なく、ワーッ! と騒ぎますからね。

Matsumoto:バーみたいなところにステージが用意されて、音響や照明さんもいないんですよ。日本でライヴをやるときのスタッフがいて、いろんな人がいる協力体制の中でやるライヴとはまったく違いましたから、心は鍛えられた。

YuuriBjoux:ツアー初日から電圧の関係でミキサーが"ボンッ!"となりました(笑)。

Matsumoto:そのライヴハウスはライヴ・バーとゲームセンターが一緒になってて、それも面白かったですね。

Erica:ケータリングも必ず用意されていたので、めちゃくちゃ食べました。"今日はなんだろうな?"ってそれも楽しみでしたね(笑)。

YuuriBjoux:海外ツアーを通して変な力が抜けた気がしますね。日本のライヴではああしなきゃ、こうしなきゃと考えていたから......それがお客さんにも伝わっていたのかなって。そんなに気張らずに、ありのままを出したほうが伝わるのかなと。

-なるほど。そして、バンドとしては昨年末にドラマー、Reijiさんの脱退もありましたよね。

Igarashi:今でもご飯を食べに行くので、険悪な感じではなかったんですけどね。

Matsumoto:単純にそのあとのライヴは厳しかったですね。

Erica:出演依頼があっても、"ドラマーがいないので、待ってもらっていいですか?"と言わなきゃいけないので、それがつらかったですね。

Matsumoto:ただ、周りの人が助けてくれたので、仲間は増えました。

Igarashi:いろんなドラマーの人と合わせるのも楽しいですからね。

-バンド的には歩みを止めたくなかったと?

Matsumoto:やめるとなったときにみんなでミーティングして、やろうと決めましたからね。去年はヨーロッパ・ツアーも日本のライヴもあったし、今作のリリースの準備もしてたんです。みんな自分の生活もあるし、いろんなことが同時進行しているなかだったので、大変だったけど、これを乗り越えたなと。

Igarashi:今はリリースできて良かったです(笑)。

Matsumoto:それもあってメンバーの結束力は高まったと思います。同じ視点で責任感を持って一緒にやろうというメンバーばかりですからね。今は一番いい状態だと思います。

-今作はサウンド・プロデューサーに田浦 楽さんを迎えてますよね?

Matsumoto:もともと1stミニ・アルバムの中の2曲をプロデュースしてくれたこともあり、次作もお願いしようという話はしてたんですよ。僕らのレコーディング・スタイルは他のバンドと違い、長い期間をかけてやるんです。楽さんは(他のバンドの)ツアーで日本にいないことも多いですからね。

-今作は野獣感もアップしているし、表現力や楽曲のバリエーションも広がっていることもあり、FAKE ISLANDの持ち味がさらに発揮された1枚になりましたね。制作面でこれまでと変えたところはあるんですか?

Matsumoto:1stミニ・アルバムや配信シングルはわりと僕が主動で作っていたんですよ。でも、今作からオケだけをふたり(YuuriBjoux、Erica)に投げて作詞をしてもらったり、Igarashiにベースを弾いてもらったりしたので、メンバーみんなで作り上げた作品なんです。アルバム名の"Cell Division(=細胞分裂)"というのは、いろんな要素が詰まった作品という意味を込めて付けました。曲作りは昔のこういうノリが楽しかったよねとか、サウンド面ではもう少しヘヴィにしてみようとか言いながらしました。他にシンセでメロディを入れるとかもして。いろんな表情をメタルコアの中で見せられたらいいなと。

-今作の中ですでにライヴで披露している曲は?

Matsumoto:「All At Once」だけですね。

YuuriBjoux:この曲でシャウトする案を楽さんから貰ったんですけど......まだ全然掴めてないんですよね。ライヴでやるうちに何かが変わりそうな気がします。

-「Fortune」も新しいアプローチですよね。中盤にいきなりダンサブルなパートが挿入されてて、この展開にはちょっと驚きました。

Erica:ディスコみたいな(笑)。この曲はリード・トラックでMVになる予定なんです(※取材は2月上旬)。

Matsumoto:この曲は聴いていた音楽の影響がそのまま出てるんですよ。ENTER SHIKARI、ESKIMO CALLBOYを聴いてましたから、ヘヴィな要素もあるけど、シンセヤベぇなと思って、ポップで楽しめる要素も入れようと。「0→1(Zero to One)」(『FAKE ISLAND』収録曲)の延長みたいなイメージもありつつ作った曲ですね。

YuuriBjoux:歌詞の面で言うと、皮肉って、知らないというのは幸せなことだよねって意味を込めてます。それを作品全体に散りばめている感じですね。

-「Who The Hell Made This?」はツイン・ヴォーカルが濃密に絡み合った曲調で、BUTCHER BABIES的なテイストを感じます。

Erica:私はメロを作ったことがなかったので、そこは彼女に助けてもらいつつ、私はヘヴィな感じを出したかったから、それをうまく融合させることができたなと思います。

YuuriBjoux:掛け合いはこうしよう、ああしようって一番話し合った曲ですね。

-「Just Wanna Live」はイーヴィルなリフもあり、攻撃性のあるサウンドですね。

Igarashi:この曲は評判がいいんですよね。

Matsumoto:それはSLIPKNOTをイメージして作りました。もともとギターで弾いていたところをシンセに変えたんですよ。サビに広がりが増したと思います。

-あと「Hang Onto My Dream」は、スクリームとクリーンのヴォーカルをはっきりと使い分けることで、キャッチーさがアップした仕上がりです。

Matsumoto:1stミニ・アルバムが出る前に作ったもので、結構昔からある曲なんですよ。ヘヴィさもありつつ、クリーンなサビがあり、シンセも入れてますね。

YuuriBjoux:"これだ!"と思った歌い方がボツになったときは大変でしたけど、自分にとっては勉強になりましたね。

Erica:シャウトに癖があるので、まっちゃんが求めているハードコア寄りの声ができなくて苦戦しました。そのおかげで自分の声のバリエーションは広がったと思います。

Matsumoto:本当に今作は期間があったからこそ、一曲一曲の個性がより出せたと思います。その時々で考えたアレンジをうまく落とし込むことができましたからね。3月28日にレコ発ワンマン・ライヴもあるので、楽しみにしてもらえたらなと。