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INTERVIEW

DIZZY MIZZ LIZZY

2020.03.12UPDATE

2020年03月号掲載

DIZZY MIZZ LIZZY

メンバー:Tim Christensen(Vo/Gt)

インタビュアー:菅谷 透

-"album-ish"というのは、2020年の現在かなりユニークなスタンスだと思います。というのも、現在はリスナーの動向として、楽曲を1曲単位で再生するというのが主流になりつつありますよね。こうした中で、アルバム全体を最初から最後まで聴くことを前提として、且つ"ループ"できる作品を作り上げたのはなぜでしょうか?

完全に意図的なものだったね。今のカルチャーへの反動としてやったものだったんだ。みんな曲をシングル単位で求めていて、しかも短ければ短いほどいいみたいな感じになっているけど(笑)。その場しのぎ的な感じでさ。俺はもうちょっとディープに掘り下げる方が好きなんだ。もうちょっと時間をかけて集中できるものに惹かれる。特定の心理状況にもう少し時間をかけて付き合う方が、2分半聴いてはい次、というより得るものもずっと大きいしね。もし俺たちがポップ・アクトで20歳だったら、短い曲の方が合っているかもしれないけど(笑)。

-先ほどのサッカーのお話だと、ツアーの間にお互い影響し合ったものが本作に反映されているのだとおっしゃってましたね。サウンド面では、前作でも過去の作品よりメタル的なヘヴィネスが強調されているのを感じましたが、今回はさらに強烈な音に仕上がっています。目指したサウンドはどのようなものでしょうか? プロセス自体は自然な流れに任せる部分が大きかったとのことでしたが。

ここ数年間俺が聴いてきてインスパイアされたバンドがいっぱいあるんだ。ストリーミングのおかげでいろんな音楽にアクセスできるようになって、新しい発見がたくさんあった。俺はアナログ盤コレクターだけど、ストリーミング・サービスを利用していろんな音楽を聴くようにしているんだ。それで気に入ったものがあったらアナログ盤で買う。――ともあれ、他の人がどんなことをしているかというのにとにかく興味があるんだよね。新しい音楽を聴いていると気分が高ぶるんだ。ジャンルはほとんどメタル。2020年の今、ギター主導の音楽を聴こうと思ったら、ロックはちょっと違うんだよね。クラシック・ロックはちょっと時代遅れになっている感があるし、オルタナティヴも......。メタルの場合はそれらと比べて、自分が共感できるものが多いんだ。それから俺が最近聴いているものは、なぜかインストゥルメンタル・メタルが多いんだ。ヴォーカルがあると、その声が曲のキャラクターを決めてしまうところがあるけど、インストゥルメンタルだとそのへんがもっとオープンになって、聴き手が自分で決められるような気がするんだよね。うまく説明できているかどうかわからないけど(笑)。ジャンルとしてはストーナー・メタル、スラッジ・メタル、ドゥーム・メタルをよく聴いているね。その手のバンドの多くは曲がものすごく長いんだ。中でもBELL WITCHというバンドが好きでね。彼らの最新のアルバム(2017年リリースの『Mirror Reaper』)は約83分もあるんだ。しかも1曲でだよ。

-1曲でですか! すごいですね。

そう。素晴らしいと思ったよ。そういう曲を聴いていると、音楽に身を委ねざるを得なくなるんだ。83分間集中力を維持しないといけないからね(笑)。5分聴いて集中力を失ってしまうと、曲のポイントがわからなくなってしまうし、そこから何も得られなくなってしまう。それからポスト・ロックというジャンルがあって、最近すごく気に入っているんだ。シューゲイザーと呼ぶ人もいるけどね。そう言えば俺が最近ものすごく聴いているバンドのひとつは日本のバンドなんだよ。MONOって言うんだけど、知ってる?

-ええ。

俺の聞いた話だと、日本より海外でビッグらしいんだよね。20年くらいやっていて、このジャンルでは大物なんだ。彼らも俺にとっては大きなインスピレーションだったよ。

-そうなんですね! ポスト・ロック/メタルのバンドで言うと、PELICANはいかがでしょう?「California Rain」のミュージック・ビデオでPELICANのTシャツを着ていますよね(笑)。

(笑)そうそう、お気に入りのひとつだよ。

-やはりそうだったんですね(笑)。ここからは楽曲についてうかがいます。A面はヘヴィな楽曲が並ぶ前半部分から、幽玄なバラードのTrack.4へと至る流れが美しいですね。そのあとの「California Rain」は、先ほどの話に当てはめればハーフタイム・ショーみたいな感じになるでしょうか。どのような意図を持って制作しましたか?

俺にとっては全体の曲順がかなり重要だったね。この曲のあとはどれを置けば良く聴こえるかなどにこだわったんだ。そうやって音楽を聴かない人も多いって知っているから、ちょっと皮肉っぽいけどね。最初から最後まで通しでアルバムを聴くより、サクランボ狩りみたいに"じゃあこれを聴くか"なんてピックアップして聴いてる人が多いからね。俺たちの意図としては、全体を聴いてもらえるように工夫したんだ。サクランボ狩りされるよりね。まぁ、結局はサクランボ狩りされたところであまり気にならないんだけど、そう工夫してみることが俺には大事なことだったんだ。

-そうすることによって"ループ"されるようになりますもんね。

そうそう。

-今作のハイライトは、Track.6~10を占める、23分にも及ぶ組曲「Amelia」になるかと思います。楽曲全体にテーマは設けられているのでしょうか?

あれは全体をひとつの曲として書いたんだ。4、5曲をまとめたように聞こえるかもしれないけど違うよ。テーマっぽいものはあるね。最終的にはリスナーそれぞれの解釈に委ねるけど(笑)、俺にとっては"Amelia"という女の子のことを歌った曲なんだ。俺が長年の間に知り合った女性たちがベースになっている。この子はいつもちょっと自分を見失ったような感じで生きていて、何とか道を見いだそうとしている。周りの人たちにはその道が見えていて、なんとか助けてあげたいと思っているんだけどできない。その子自身にその道が見えていないからね。そういう感じのアイディアなんだ。でも、他にもいろんな意味があり得ると思うよ。歌詞も好きなように解釈してもらって構わない。例えばエンジニアを担当した人は、今の世界の状態を表していると思ったらしいよ。今の世界で起こっているいろんな問題について歌っていて、それを擬人化したのが"Amelia"だと思ったらしい。なかなか壮大な解釈だったけど、それは彼の解釈だからね。

-組曲の中で静と動、緊張から開放へと移り変わる流れが素晴らしいと思いました。作曲で意識したことはなんでしょうか? 何かしらのストーリーラインを表そうとしたのでしょうか。

ある意味そうだね。と言っても、自然にああなった部分もあるけど。ヴァイブに任せてその曲の行きたいところに行かせてみたらああなったというか、自分でもわからないような方向に行った気もする(笑)。時々、その曲がどこから来たのか説明できないことがあるよ。"どうやって思い浮かんだんだろう?"なんて思ったりする。説明できるときも、できないときもあるんだ。うまく言えないけど。ともあれ、あれはおおむね1曲として書いたものなんだ。

-その組曲をライヴで全部やったらどうなるか興味深いですね。

ちょうど今メンバーで話し合っているところだよ。このアルバムの曲をやるときにサポート・ミュージシャンを入れた方がいいのかどうかとか。ストリングスもよく使っているし、俺自身がプレイできそうにない箇所がちょこちょこあるからね(笑)。ギターを弾きながら歌うのは至難の業だから。ツアーはデンマークから始まって、国内で6、7回ショーがあるんだけど、そこではたぶん4人目を入れて手伝ってもらうことになると思う。「Amelia」は1曲としてやって、昔の曲もいくつか入れるつもりだよ。ただ、日本でどうやるかはまだ決めていないんだ。サプライズになるね(笑)。

-楽しみにしています(笑)。Timさん自身は去年ソロで来日していますが、4月23日にはバンドとして久しぶりの来日公演(渋谷TSUTAYA O-EASTで開催する[DIZZY MIZZ LIZZY SPECIAL LIVE IN TOKYO"ALTER ECHO NIGHT"])も決定していますね。ライヴへの意気込みを教えていただけますか?

3人とも、日本に行くときはいつも超楽しみなんだ。俺以外のメンバーにとっては久しぶりだし、いつも"いつになったら俺たちは日本に行けるんだ?"ばかり言っていたよ(笑)。ようやくマネージャーに"日本でのギグが決定したよ"と言われて、みんな"YEAH!!!"という感じだった(笑)。3人とも本当に楽しみにしているよ。

-アルバム発売の直後に来日が決まっているというのも、日本側も楽しみにしていることの表れかもしれませんね。

そうなんだよ! 日本のソニーにはBIG THANK YOUを送りたいね。このタイミングで日本に行くというのは彼らのアイディアだったから。

-では最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

もちろん! このアルバムには本当に力を注いだし時間もかけた。早く日本のファンに曲を聴いてもらいたくて待ちきれないんだ。俺たちにとって大きな意味を持つこのアルバムを、みんなが気に入ってくれることを願っているし、ファンにとっても大きな意味を持つものになるといいなと思っているよ。やっと日本に行けることになって、すべてが報われる気がしているんだ。みんなに会えるのを楽しみにしているよ!