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INTERVIEW

DEMONS & WIZARDS

2020.02.25UPDATE

2020年03月号掲載

DEMONS & WIZARDS

メンバー:Hansi Kürsch(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

BLIND GUARDIANのヴォーカリスト Hansi Kürschと、ICED EARTHのギタリスト Jon Schafferという、パワー・メタルを代表する2バンドの中心人物がタッグを組んだプロジェクト、DEMONS & WIZARDS。2000年に1stアルバム『Demons & Wizards』でデビューし、それぞれの個性を融合させたサウンドが高い評価を得ていたが、2005年の2ndアルバム『Touched By The Crimson King』発売以降は目立った動きを見せていなかった。そんな彼らが、このたび長い沈黙を破りついに復活。実に15年ぶり(!)となるニュー・アルバム『III』をリリースする。今回はHansiに、メタル史に残るコラボの経緯から待望の新作についてまで、たっぷりと語ってもらった。


3rdアルバムは間違いなく今までリリースした中でも最強だよ


-あなたとJonは30年来の友人だとうかがっていますが、まずおふたりが知り合ったきっかけから教えていただけますか?

そう、もうすぐ30年になるね。初めて会ったのは2000年......いや、違った。1990年の暮れだったかな、BLIND GUARDIANとICED EARTHが、一緒にヨーロッパの国々をツアーしたことがあったんだ。初めからメンバー全員意気投合したよ。興味があるものも共通していたし、お互いの音楽も好きだったしね。特にJonとは毎晩ツアー・バスの後部座席でビールをあおりながら(笑)、いろんなことを語り合ったよ。世の中のあらゆることをね! それ以来の仲なんだ。ツアーも何度か一緒に行ったし、フェスでも一緒になったり、お互いの家を訪ね合ったりもしてきた。そんな感じで7年が過ぎて......1997年にJonが俺の家に遊びに来てくれたことがあったんだ。彼がギターを弾き出して、そのメロディが良かったから、思わずハミングし始めてしまった。そのとき、ふたりとも"一緒に曲を書くことになる"と確信したんだ。その日の内にBLIND GUARDIANのスタジオに行って曲を作ったよ。それが1stアルバム(『Demons & Wizards』)の終盤に入っている「My Last Sunrise」なんだ。一緒にできそうなことがいっぱいあるし、ふたりの間の音楽的ケミストリーも強かったから曲がこんなに早くできたんだ――じゃあアルバムを作ろうか、という話になって、実際にアルバムの制作に入ったのは1年後だったかな。そうして1stアルバムができて、2000年にリリースされたんだ。そんな感じでDEMONS & WIZARDSは始まった。それ以来俺たちの友情はどんどん固いものになっていって、2ndアルバム『Touched By The Crimson King』がリリースされたのが2005年。それからあまり経たないうちに3rdアルバムを作るつもりではいたんだよね。5年ごとに出すのがいいんじゃないかって考えていたんだ。だけど、そのころから音楽業界は大きく変わって、ツアーがより重要なものになったから、以前よりもツアーをするようになり、それ以外のときはお互いメインのバンドのアルバムに取り組んでいた。だから、一緒に組むチャンスがなかったんだよ。2018年になってようやく"よし、アルバムを作らないと"という状況になったんだ。

-初めから音楽的にも人間的にも意気投合していたとのことですが、DEMONS & WIZARDSはもともと長期的なプロジェクトとして結成されたのでしょうか?

"2番目のベイビー"みたいな感覚だったんだ(笑)。時間的には制約があるだろうということは初めからわかっていたけど、アルバム1、2枚で終わらせるものじゃないって考えはお互いあったし、ちゃんとバンドとして確立させたいという気持ちがあった。だから、2005年から何も起こらなかったというのは事故みたいなものだったんだよね。でも、今にしてみれば、今回のアルバムへの期待感を高めることができたから良かったと思うよ。むしろそれが恩恵になっているかもしれない。みんなもう諦めかけていたところに、これだけ強力なアルバムを出すことができたからね。

-長年待っていた人もきっと多いと思います。このアルバムを通じてDEMONS & WIZARDSを初めて知る若いファンもいるでしょうし、それぞれにとっていいことなのでは。

そうだね。BLIND GUARDIANとICED EARTHがあったおかげで、DEMONS & WIZARDSも忘れ去られないで済んでいると思う。それぞれのバンドではずっと出ずっぱりだからね。BLIND GUARDIANとICED EARTHのことはずっと話題に上っていたし、インタビューを受けるときも、たいてい最後の質問は"DEMONS & WIZARDSはどうなるのですか? 3枚目は出ますか?"だったからね。"出るけど、いつかはわからない"と答えていたよ。お約束みたいにね(笑)。だから、ファンは俺たちのことをもちろん知っていたし、多くの地域では1stと2ndが今も高い評価を受けているんだ。忘れ去られてはいなかったし、"この時代のメタルの名盤"みたいなものに数えられてもいるから、そういう意味では助かっている。けど、こういうプロジェクトのときは、新しい人たちにもアピールするものにしたいと思っていたんだ。1stが出たときにはまだ生まれていなかった人たちもいるからね(笑)。そういう人たちも感激してくれるアルバムになったと思うよ。

-ということは、2ndと3rdアルバムの間が15年も空いてしまったのは、単にそれぞれのバンドの活動があったからなんですね。たしかにBLIND GUARDIANもICED EARTHもアルバムを数枚リリースしていますし、それに伴うツアーも行っています。

まぁ、唯一の理由と言ってもいいかもしれないね。その間何度も合ってアルバムの話はしていたし。でも、一緒にいられる時間が1時間とか1日とかしかなかったから、曲を書き始める時間にすら満たなかったんだ。

-昨年2019年には、DEMONS & WIZARDSにとって実に19年ぶりとなるライヴが"Wacken Open Air"、"Hellfest"といった大型フェスなどで行われました。映像を拝見しましたが、豪華なステージ・セットやパイロを巧みに用いた、荘厳なパフォーマンスが印象的でした。ライヴの手応えやオーディエンスの反応はどうでしたか?

みんなが20年くらい待っていてくれたのが強く感じられたよ。それに1列目にコアなファンだけじゃなくて、"こんなことが起こるなんて信じられない!"というファンもいたのが良かったね。みんなベイビーみたいに泣いていたよ(笑)。するとビッグなフェスだっていうのに、こっちまで感情が昂ってきて......髭面の男がみんなの前で泣いていたんだ。もう海みたいに泣いたよ(笑)。ライヴには準備万端で臨んだんだ。アルバムのときと同様あまり時間は取れなかったけどね。中には俺たちのツアーに毎日ついてきてくれた人たちもいて、連日シンガロングしてくれた。毎晩素晴らしい経験ができたよ。言うまでもなく"Wacken(Open Air)"はフェス・シーズンのピークで、こういうプロダクションで7万人もの前でプレイする機会を与えてもらえたのは特別なことだった。かなりのインパクトがあったと思うよ。"Wacken"に大きな足跡を残すことができたし、その後の展開への期待を高めてくれたんだ。

-その時点でファンは『III』が出ることを知っていたのでしょうか? 制作はしていたのですよね。

そうだね。あの時点でインストゥルメンタルは大半が仕上がっていたし、ヴォーカルも多くが完成していたな。ヨーロッパでのフェスの合間にヴォーカルを録ったんだ。その後俺がフロリダのタンパに飛んで残りの部分を完成させて、ミキシングもそこでやった。それが去年の9~10月。出ることを知っていた人は多かったね。インタビューでも訊かれていたし、SNSでも発信していたし。だから、フェスに出ることがその伏線だろうと考えていた人は多かったけど、実際いつアルバムが出るかは知られていなかったんだ。フェス中に新曲を1、2曲やるんじゃないかって噂まであったけど、新曲をやるのにフェスはあまりいいシチュエーションじゃないんだ。いち早く祝いたいって人もいるだろうけど、俺たちを知らない人にとってはウザいだけだからね。やってみようか検討はしたけど。

-ということは、新曲は演奏しなかったんですね。

やらなかったね。『Demons & Wizards』と『Touched By The Crimson King』の曲、それからBLIND GUARDIANや ICED EARTHの定番曲もやったよ。

-3つのバンドのいいとこどりだったんですね。それは盛り上がりそうです。

盛り上がったね。みんながそらで覚えている曲をやれるというのは、特権でもあったよ。みんなシンガロングしてくれたし、そうしてくれるとこっちもすごく楽なんだ。BLIND GUARDIANの曲でも、俺が何もしなくてもみんな歌ってくれるし(笑)。

-また、昨年は過去2作のアルバムのリマスター・バージョンも発売されましたね。

そう、2019年の初めに出したんだ。前に所属していたレコード会社との契約が切れたときに自分たちが権利を取った。3作目を出すつもりだという情報を出したら、いろんなレコード会社が先の2作にも興味を持ってくれた。今のニーズに合わせて音を調整する機会も貰えたんだ。

-リマスター、ライヴと、今回のアルバムへ勢いづいていた感じですね。今振り返ってみて、両作品はあなたにとってどんな作品でしょうか?

君の言うとおりで、勢いづいていたと思うし、それが今回の3作目に役立っていると思うよ。前の2作はご存じのとおりとても評判が良かったんだ。1stアルバムを出したときのセンセーションはかなりのものだった。どんなものが出てくるのかみんなまったく想像がつかなくて、まるで白紙だったんだよね。BLIND GUARDIANの方向性で来るのか、それともICED EARTHの方向性なのか......そんな噂がされているうちにアルバムが出て、もちろんみんなの期待どおりの部分も多かったけど、クリエイティヴィティとケミストリーの結果、何かしら新しいものも生まれた。それはBLIND GUARDIANともICED EARTHとも似ても似つかないものだったんだ。例えば、「Fiddler On The Green」(『Demons & Wizards』収録曲)のような曲が俺たちから出てくるとは誰も予測していなかった。1stアルバムのキー・ポイントは、DEMONS & WIZARDSが独立したバンドだという認識を初めて得た作品だったってことだね。それぞれのバンドとは違う方向性を示して、Jonと俺の違う一面を見せたものなんだ。大成功だったよ。2作目も大成功だったけど、2作目ならではの苦しさもあった。どんなものが出るか今度は予想がつくからね。でも、みんな受け入れてくれたんだ。ただ、1stほどのインパクトはなかった。とはいえ――もしかしたらそれ以来俺たちが15年間何も出さないから、みんなもその状況に付き合うようになったのかもしれないけど(笑)――長年の間に親しまれる作品になってくれたんだ。今では1stと同じようにいい評価を得ているよ。ちなみに、この2作からの曲をライヴでやるのはどっちも楽しいけど、正直言って2ndからの曲をやるほうが俺的には好きだね。

-1stで生まれたケミストリーが2ndで発展したからではないでしょうか。今回の曲たちはもっと歌いやすいかもしれませんね。

3rdアルバムは間違いなく今までリリースした中でも最強だよ。前の2作のクオリティが融合されていて、BLIND GUARDIANとICED EARTHの要素もあって――まぁそれは否定できないよね、俺たちの本能に備わっているものだから――でも、大半はDEMONS & WIZARDSらしさが強くはっきり出ていると思う。いろんなタイプの曲があるし、エモーションもバラエティ豊かなんだ。その特徴は1回聴いただけでわかってもらえると思う。聴いてもらった瞬間から大いに成長できるポテンシャルがあるアルバムだよ。

-3rdアルバムをリリースするというのは以前から考えていたとのことでしたが、構想自体はいつごろからあったのでしょうか?

出すという話をインタビューでしたのは、たぶん2009年~2010年あたりが最初だったんじゃないかな。ただ、曲作りの大半は2018年の終わりごろに書いたんだ。2016~17年の間にもアイディアを交換し合ってはいたけどね。