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INTERVIEW

DEMONS & WIZARDS

2020.02.25UPDATE

2020年03月号掲載

DEMONS & WIZARDS

メンバー:Hansi Kürsch(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

-あなたはドイツ、Jonはアメリカを拠点に活動していると思いますが、制作におけるやりとりはスムーズにいきましたか? フェスなどで顔を合わせたりはしたと思いますが、プロダクションはそう簡単ではなかったのでは。

いや、結構スムーズだったよ。BLIND GUARDIANだって、メンバーとは1、2ヶ月に1回くらいしか会わないからね。曲の準備をしたりアレンジを話し合ったりというのは電話やSkypeでやればいいし。曲を書き始めたときは、俺はドイツ、Jonはアメリカでそれぞれ書いていたんだ。アイディアを交換するのに、今のテクノロジーでなんの問題もなかった。プロセスが本格化すると、メールやストリーミングで常にアイディアを交換し合っていたよ。実際に顔を合わせたのはプリプロダクションのときに少し。それが2019年2月の終わりで、Jonと(共同作業者の)Jim(Morris)はすでにアメリカでプリプロダクションに着手していたんだ。着手したときは、俺は関わっていなかった。俺はこっち(ドイツ)のTwilight Hall Studios(※BLIND GUARDIAN所有のスタジオ)でヴォーカルを録るべきだって話になっていたからね。というのも、ツアーのスケジュールがバッティングしていたから、アルバムの準備をしながらショーの準備もしないといけなかったんだ。

-勤勉ですね。

ああ、幸い思った以上にすべてうまくいってくれたよ(笑)。俺も心配したけどね(笑)。

-もともと勤勉ですから、本能で時間のやりくりができているんでしょうね。

ストレスは良くないって学んだよ(笑)。長年の間に体得したんだよ。自分の気分を落ち着かせて、できるところまでタスクのシェアを決めるんだ。幸い俺の家族はとてもよくサポートしてくれるけど、そういうところは家族が犠牲になってしまっているね。家族も俺との時間を我慢してくれているし、俺も家族との時間を我慢している。でも、それ以外に方法がないんだ。仕事の一部だしね。そういうなかで物事を達成するスキルは身に着いたと思う。失敗はオプションとしてありえないけど、どう転ぶかはわからないからね......。病気になったりもするし。特にこんなスケジュールだと、ツアーの間に病気になるのはごめんだね。バンドのヴォーカリストが病気になると大変だよ。俺の場合は特に快復まで時間がかかるタイプだから、普段からきちんとした生活をするように心掛けているんだ。

-大事なことですね。アルバムについてさらにお聞きしますが、今作はダークさをこれまでよりも深めつつ、ハード・ロックのヴァイブを持った「Midas Disease」など、楽曲を構成する要素もさらに増えた、多様な作品だと感じました。どのようなサウンドを目指しましたか?

今君が使った"多様な"という言葉、俺もこのアルバムを説明するのによく使っているんだ。曲の内容や生まれ方にもマッチしていると思う。目指したサウンドのキーワードは"70年代のロック"だった。俺たちはふたりとも70年代のロック・バンドが大好きだからね。KANSAS、LED ZEPPELIN......そういうバンドのテクスチャを曲に取り込みたいと考えた。そういうものは自分たちの中に流れているから、わざわざ"作る"ものではなくて、"生まれてくる"ものだけどね。自分の中の知らないところが源になっていて、外に出さずにはいられないんだ。俺やJonの中から自然に生まれてこなかったり、しっくりこないものがあったりしたら、それは何かが間違っているということ。これはアリなのかどうなのかとか、あまり考えすぎて曲を作ってしまうと複雑になりすぎてしまう。その時その時で感じているものを形にしたほうがいいんだ。そんなわけで、70sのロック的なものを目指したいと考えた。前の2作を振り返ってみると、空気感のあるところに俺たちの強みがある気がしたんだ。例えば、「Diabolic」のエンディングみたいな感じの、ああいう雰囲気は前の2作にもあった。もちろん違う形だったけど、今回のアルバムにも入れたいクオリティだったんだ。話し合ったのはそのくらいかな。それからそれぞれ曲を書き始めて、あとは流れに任せたんだ。音楽に語らせるのが一番いい方法かもしれないと思ってね。Jonが書いたものには俺が聴いてもすぐに訴えかけてくるものがあったし、そこから俺の望む方向に持っていくことができた。もちろん反復的なパターンもあって――これは俺がBLIND GUARDIANを通じて学んできたことなんだけど、全体の構造を多様にすることによって、そういうパターンも全部違って聞こえるんだ。

-なるほど。アルバムや楽曲には、どのようなテーマが設けられているのでしょうか?

特にテーマがあるわけではないんだ。曲も歌詞もそれぞれが独特で多様になっている。文学にインスピレーションを得たものはあるけどね。例えば、「Final Warning」はブランドン・サンダースンの書いた"嵐光録(原題:The Stormlight Archive)"というファンタジー小説のシリーズからヒントを得ているんだ。「Universal Truth」、「New Dawn」、「Invincible」は3部作になっていて、フィリップ・プルマンの"ライラの冒険(原題:His Dark Materials)"がインスピレーションなんだよ。他の曲はそれぞれ個別にJonか俺の作ったストーリーが基になっている。例えば、「Midas Disease」は人を騙しながらなんとか切り抜けているテレビ宣教師の話なんだ。人を操っているような感じだね。それから「Wolves In Winter」は人間の本能についてで、いい面も悪い面もあるということ。あの曲のメッセージは、少なくとも俺に言わせれば"ベストでパーフェクトな自分になるためには、自分の悪い面も受け入れないといけない"ということなんだ。

-例えば、「Diabolic」や「Children Of Cain」などはどうでしょう? 創世記がモチーフになっているのではないかという気がしましたが。

いや(笑)。

-"カインの子供たち"という題名ですし......。

あぁ、なるほど。創世記に言及しているように見られる箇所は確かにあるかもしれないな。でも、聖書の他の箇所かもしれない。「Diabolic」は1stアルバムにも言及しているんだ。あのアルバムには「Heaven Denies」という曲があってね。

-そうですね。今回は歌詞にも登場します。

あれはルシファーが堕天使になって、天国を永遠に追放されたあとのことを歌っているフィクションなんだけど、「Diabolic」ではその続きを歌っている。ルシファーはサタンの仲間になって、天国に戦いを挑むんだ。これもまた、本当にいいものはなんなのか、悪いものはなんなのかという話なんだけどね。そのフィクションの中で残酷なディストピアを訪れるんだ。

-「Diabolic」はMVも公開されていますが、ショッキングな内容ですよね。天使の格好をしたおふたりが天界を追放され磔にされるシーンもあります。

(笑)あれもヒントは1stアルバムに遡るね。1stアルバムにも3部作があって、全能に近い感じの超自然的な生物が出てきて宇宙を滅ぼそうとするんだ。そいつはその途中に出会った神々に幻滅して、間違いだと思っていたものが嘘だと気づく。ゴルゴタの丘で見かけた十字架にはキリストが磔にされていなかったんだ。それでキリストの存在は嘘だと考える。『Demons & Wizards』のリマスター盤を見てもらえれば、ジャケットの見開きのところにそのストーリーが書かれているよ。十字架が逆さになって、ふたりの大天使が間にスペースを置いて磔にされるというアイディアは、そのあたりからインスピレーションを得ている。まぁフィクションなんだけどね。人生のいろんな側面を描いてはいるけど、決して宗教的なものではないんだ。