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INTERVIEW

DEMONS & WIZARDS

2020.02.25UPDATE

2020年03月号掲載

DEMONS & WIZARDS

メンバー:Hansi Kürsch(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

-あなたは、BLIND GUARDIANではファンタジー作品をモチーフにした歌詞を作ることでも知られていますが、DEMONS & WIZARDSの場合はインスピレーションの源が違うのでしょうか。

うーん......そうでもないな。音楽に語らせてそれに委ねているよ。例えば、BLIND GUARDIANの2作前、『At The Edge Of Time』(2010年リリースの9thアルバム)に「Control The Divine」という曲があるけど、あれも似たような題材なんだよね。あれはジョン・ミルトンの"失楽園(原題:Paradise Lost)"にヒントを得たところが大きいけど。「Heaven Denies」と「Diabolic」はフリースタイルで、ストーリーの同じような様相を見ているけど、違う結論になるんだ。ああいう曲は必ずしもDEMONS & WIZARDSに書くものじゃないけど、トピックによってはこっちのバンドのほうが合うことがある。音楽に語らせているからね。そのメロディやアレンジが特定の方向に導いてくれるものであれば、その方向に沿っていく。俺がその曲について考えているアイディアを反映したストーリーを思いつくまでね。――忘れないうちに「Children Of Cain」の話をすると、「Children Of Cain」は俺のお気に入りなんだ。"Children Of Cain"という名前のディストピア社会のことを歌った歌でもある。その社会はカイン(※旧約聖書に登場する人物。アダムとイヴの息子で、弟のアベルを殺害する)のルールのもとに成り立っている。兄弟を殺すというのは、大人になって社会の一員として受け入れられるために通る道として確立されているんだ(笑)。ある程度の歳になるとカインの洞穴に行って、そこで兄弟を殺すという犠牲を払う。だけど、ストーリーの中では何かがうまくいかなくて、ひとりが完全に狂ってしまう。というか、間違えて上の世代の人を殺してしまうんだ。それは受け入れられていることじゃなかったから、そいつは追放されてしまう。

-あの曲はとてもドラマチックですよね。10分以上ありますし、アコースティックから始まってハード・ロックのコーラスへと発展して、最後はまたアコースティックになります。

そうだね。さっき触れた70sのロックみたいなヴァイブがあると思う。アルバムを象徴する曲ではあるね。同時に、Jonがソングライティングに入る前に出かけた旅からもヒントを得ているんだ。2018年の夏にICED EARTHのアルバム『Incorruptible』(2017年リリースの12thアルバム)のツアーを終えた彼は、アリゾナの砂漠にハイキングの旅に出た。たしか4週間くらいだったかな。彼は静かな砂漠をリカバリの場所にしたんだ。言うまでもなく、ツアーというのは彼にとって要求の高いものだからね。静かな砂漠でハイキングしたことによって、Jonはまた充電することができたんだ。おかげでメロディアスな要素を思いつくことができて、俺に送ってくれた。それに俺がヴォーカルをつけたんだ。

-彼は砂漠へリラックスしに行ったけど、またクリエイティヴになって帰ってきたんですね。

そうだね。Jonには必要な休みだった。4週間っていうのはリカバーするのにはなかなかいい期間だからね。もちろん、そうして当然だったと思うし。その後Jonは完全にDEMONS & WIZARDSのために時間を使えるようになったんだ。爆発するようにアイディアが湧き出ていたよ。3、4週間で今回のアルバムの基本的なアレンジをほぼ書き上げていたね。そこから俺がクリスマス越しで自分のヴォーカルをやって、2019年の初めには基本的なアイディアがすべて出揃っていたんだ。

-おふたりは休みのときも、ただ休むというよりはまたクリエイティヴになるための時間という感じなんですね。つまり休みのときも働いているといいますか。

(笑)まぁ、自分の身体の皮みたいなもんだよ。切っても切り離せないんだ(笑)。リラックスしたシチュエーションに自分を置くと、楽器を手にしていなくてもアイディアが自然に生まれてくるんだよね。ものによっては心にしまっておいて、仕事に復帰したらそこから組み立てていけばいい。

-それがあったからこそ、「Universal Truth」みたいな曲ができたのかもしれませんね。オルタナやプログレッシヴ・ロックの雰囲気を持った、バンドにとっては新機軸と言えるような楽曲だと感じました。この曲について、詳しく教えていただけますか?

......完全に同意するよ(笑)。ただ、「Universal Truth」、「New Dawn」、「Invincible」の3曲だけが、ソングライティングの期間より前に書かれたものなんだ。

-そうなんですか。

あぁ。基本的なアレンジはJonが『Incorruptible』と作っているときに書いたんだ。それを2016年だったか2017年だったか、俺がBLIND GUARDIANでツアーしているときに送ってくれた。"こういうのができたんだけど、ヴォーカルをどうしたらいいかわからない"ってね。俺が聴いてみて何か浮かんだら教えてくれと。それでBLIND GUARDIANのツアーが終わってから聴いてみたら、今君が言ったのとまさに同じ印象を持ったんだ。「Universal Truth」はもちろん、他の2曲もJonから来るとは思いもよらなかった方向性を持っていた(笑)。特にICED EARTHの曲としてはまったく想像がつかなかったね。まぁ、ずっと温めていてどこかで形にしようとしていたアイディアだったんだろうけど。最初はICED EARTHの曲にしようと思っていたけど、ヴォーカルが浮かばなかったこともあってどうにもしっくりこなくて諦めたらしい。聴いてみたら、"こういう曲はDEMONS & WIZARDSにはなかったな"と思ったんだ。特に「Universal Truth」みたいなのはBLIND GUARDIANでもやったことがなかった。間違いなく新しい方向性だったよ。この3曲にはオルタナティヴやギター・ピッキングの要素があるからね。

-多様性と言えば、このアルバムはヴォーカルも多彩ですね。パワフルな歌唱が光る「Midas Disease」や、「Timeless Spirit」でのハイトーン・コーラス、展開によって自在に表情を変えていく「Children Of Cain」など、今作では様々なスタイルの歌唱を披露していますね。ヴォーカリストとして意識したことはありますか?

また「Children Of Cain」に戻るよ。それが一番説明しやすいからね。あの曲がインストゥルメンタルのアレンジをした状態で俺のところに来たとき、すぐたくさんのアイディアが浮かんできたんだ。少なくとも3、4曲分は出てきたよ(笑)。もしかしたら、そのころ『Legacy Of The Dark Lands』("BLIND GUARDIAN TWILIGHT ORCHESTRA"名義で2019年にリリースしたアルバム)に取り組んでいたからかもしれないけど、いろんなキャラクターでいろんなアプローチをすることができたんだ。「Children Of Cain」は様々なメロディ・ラインを考えたよ。今回聴けるようなものにするまでにはすごく時間がかかったけどね。レコーディングのときも、ものすごくこだわって作ったんだ。曲のエモーションがいろいろあったおかげで俺としてはとても楽だったよ。音楽的には盛りだくさんの曲だけど、ヴォーカリストには"スペース"をたくさん要求してくる曲で、それにも助けられたね。自分でも楽しんで作れたし、それがアルバムの中でも反映されていると思う。「Midas Disease」は最後に作った曲のひとつだったんだ。俺がJonのところにプリプロダクションの仕上げに行くちょっと前に送られてきた。AC/DC的なアティテュードがあるのにすぐ気づいたよ(笑)。AC/DCの曲みたいな雰囲気を取り入れるにはどうしようと考えて、Brian Johnson(Vo)とBon Scott(前ヴォーカリスト)へのトリビュートにすることにした。みんな、なんて言うだろうね。"勇気あるな"なんて思うかな(笑)。

-BrianもBonも誇りに思ってくれるはずです。

(笑)素晴らしい経験だったよ。でも、JonとJim Morrisには"これは最後に歌うよ。でないと声帯への乱暴になるから"って言ったんだ(笑)。俺はBLIND GUARDIANではときどき自分の声にスクラッチをかけるんだよね。DEMONS & WIZARDSの初期の作品でもやったことがある。些細なレベルだけどね。今回は他のプリプロダクションが全部終わってからスタジオに入って、できるだけ早く歌い終えたよ。でも、プリプロダクションの段階でキャラクターにも凝ったんだ。そういうのが音符より大切になってくることもあるからね。楽しんでもらうためには、特定のテクスチャが必要なことがあるんだ。「Midas Disease」はそんな感じだね。「Timeless Spirit」は、「Children Of Cain」とちょっと違ったんだ。あの曲も壮大で長いけど、音楽的にも歌詞的にも、もっとスピリチュアル度が高い。反復しているものを積み上げていく感じかな。同じ感じでヴォーカルも組み立てていったんだ。Jonは最後のほうにコーラスが叫ぶことをリクエストしてきた。俺はそこに(Ronnie James)Dio時代のBLACK SABBATHみたいな、優美なヴォーカル・ラインの要素を取り入れてみたんだ。ドイツで、ヴォーカルのエンジニアをやってくれているTommy Geigerと一緒に録った。長い時間をかけたよ。彼には"技術的な直しは入れなくていいから、今一番正統派な方法で仕上げてくれ"と頼んだんだ。つまり、俺が納得するまで何度もテイクを録るとか、そういうことなんだけどさ。オートチューンやメロダインで加工するのはやめてくれってね。ありのままの状態で聴けるものを目指したんだ。

-いろいろ実験的なことをしつつもクラシック・ロックのようなフィーリングがあって、このアルバム自体が名盤になるような気がします。リリース後、DEMONS & WIZARDSとしての活動予定はあるのでしょうか? 個人的にはぜひ日本へライヴに来ていただきたいですが......。

(苦笑)残念ながらノーなんだ。BLIND GUARDIANとICED EARTHに戻らないといけないからね。実は俺のほうはもうプリプロダクションが始まっていて、このインタビューが終わったらここから別の部屋に行って続きをやるんだ。......と、1年半前から決まっていたからね。それが終わったら急いで家に帰って、妻と一緒に赤ワインでも飲むんだ(笑)。こういうインタビューやBLIND GUARDIANのプリプロダクションに集中できるから、悪い話じゃないよ。それが終わったら本当のプロダクションに入って、BLIND GUARDIANのアルバムが出たらツアーに出る。2021年の初めか、中ごろまでにはそういう状態にしたいね。DEMONS & WIZARDSがいつまたツアーに出るかについては、俺の魔法の水晶玉の中で影が薄いんだ。いつかは出たいけど、向こう1年半はないと言えるね。もし日本からオファーがあったら、俺もJonも間違いなく選択肢には入れると思うよ。BLIND GUARDIANとICED EARTHから離れてすることとして素晴らしい選択肢だからね。でも、現時点では身動きが取れないんだ。

-では続報が来るまで、このアルバムを楽しみたいと思います。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

とても楽しいインタビューだったよ! 激ロックのインタビューは俺たちにとって、DEMONS & WIZARDSが15年ぶりに復活したことを知らせる素晴らしい機会になった。ぜひ楽しんでほしいし、一秒一秒心から楽しんでもらえる内容になっていると思う。俺にとってこのアルバムを作るのはとても楽しい経験だった。名盤になるという自信も持っているから、たくさんの人に楽しんでもらいたいと思っているよ。