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INTERVIEW

ゼリ→

2019.12.17UPDATE

2019年12月号掲載

ゼリ→

メンバー:YAFUMI(Vo)

インタビュアー:杉江 由紀

-パンクと言えば代表格はSEX PISTOLSになるかと思いますが、YAFUMIさんにとっても彼らの存在はある種の神なのでしょうか。

1970年代にNYで生まれて、その後はイギリスのロンドンに派生したりしながら当時の渾沌とした社会状況も反映していたのがパンク・ロックで、ゼリ→はそういうものに影響を受けながら90年代の終わりにデビューしたんですけど。アティテュードだの、服装だのコピーだけでは終われないというところは当然あるんですよ。本質的な意味でのパンク・ロックをやろうとしたらね。

-逆に、服装やスタイルのコピーをしながらこぞって出てきたバンドたちに対しては、ある一時期ファッション・パンクという蔑称が付けられた時代もありましたっけ。

そうね、型にハマるって楽だから(笑)。そうじゃなく、今の自分はパンク・ロックというものをどう捉えていくか? というのが、今回のミニ・アルバムを作っていくうえでの大きなテーマでした。写真とかライヴで鋲ジャンを着てるのは、アイキャッチとしてあえてそれを使っているっていう意味もありますけど。

-精神性の面での尖り方という点では、先ほども少し触れさせていただいた「STAY DREAM」の持つ強いインパクトに圧倒されました。ここまで事実を克明に表現してみせるYAFUMIさんの気概は、まさにパンキッシュでしかありませんよ。

狙ったわけじゃないからかな。時系列で言えば、今回は音源に先駆けてこの曲のMVを先にYouTubeで公開することにはなったけど、"この曲でまずは活動を始めることになった説明をしよう"とかは思ってなかったし、だからこそこういうかたちになったんじゃないかなという気もするし。ただね、歌う人間として、歌詞を書く人間として、自分にしか表せないものを表したいっていう欲求は確実にあって。自分がここまでやってきたのがどういうことだったのか、というのを初めて音楽としてかたちにした曲であるのも間違いないですね。最初はあくまでも自分としてはアルバムの中の1曲として作ったものだったけど、面白いもので事務所のスタッフとか周りの人間に聴かせたら"活動を始めるにあたっては、まずこれを届けるのがいいんじゃないか"という話になって、それで急遽MVを作ることになったんですよ。

-結果、そのMVに対しては大きな反響があったそうですね。

音楽ってすごいなって改めて思いましたよ。俺はBLITZでのライヴに至るまで言葉でここまでの経緯について語ることは一切しなかったけど、この曲を発表することで場が整ったというのかな。ゼリ→を復活させるための空気が生まれた気がして、それを感じられたうえであのBLITZのステージに臨めたっていうのは、自分にとっても重要なことだったんですよね。「STAY DREAM」が自分の人生をすべて描いたものかといったら、決してそうではない。でも、それ以上の気持ちもそこに乗っかっていて、予想していた以上のところまで自分を連れ出してくれた曲でもあるっていうのは事実です。ほんと、音楽ってすごいものだなぁ! って再確認しました。

-その境地に至れただけでも、"単独反抗"の意義はありそうです。

これはあんまり他で話したことがないんだけど。俺、村上春樹さんが好きで。あれは5年くらい前だったかなぁ。LAID BACK OCEANがデビューするとかいう話が一瞬あって、結局それはなくなっちゃったんだけど、そのタイミングでちょうど村上さんが公式サイトで読者からの質問を受け付けるっていう企画をやっていたことがあったんですよ。それで、そのときに"自分は30代後半なんですが、今度ひょんなことからデビューすることになりそうです。とはいっても、さらさら春樹さんの言葉に従ったりする気はないんですが、春樹さんだったら俺に何を歌ってほしいですか?"っていうメッセージを送ったんですね。そうしたら、ちゃんとご本人から返ってきたんですよ。

-それは貴重ですね! そこにはなんと?

"おめでとうございます。すごいですね。僕はあなたに歌ってほしいことはありません。僕もそうなんですが、表現というのはあなたがそれをかたちにすることで何を掘り起こしていくのか、ということだけなのではないかと思います。だから、あなたが行動することによって何が掘り起こされていくことになるのか、それが楽しみです。僕はそれに期待しています"って書いてありました。まぁ、だから俺にとって音楽をやっていくっていうのは、結局そういう感じのことなんだろうなと思いますね。ゼリ→を復活させてからは、よりそこが強くなってきたかもしれない。昔はほら、最初のほうで言ったみたいに自分の歌詞とかに対して"共感できる"とか"信じられる"みたいなことを言われるとちょっと重荷というか、盲信の度合いがハンパねーなって思ってたけど(苦笑)。さすがに20年もやってるとロック・バンドのヴォーカルの役割っていうものが必然的にわかってくる。

-今回のミニ・アルバムを作っていく際にも、そこは生きたと。

うん。圧倒的な視点と、他の人は立てない立ち位置から発する高い熱量。そこを貫いていくことに意味があるよね。ロック・バンドのアルバムを聴いたり、ライヴを観たりしたあとに、ちょっと強くなれたような気分になる現象ってあるでしょ? あれを受け手に感じてもらうこともすごい大事なことなんですよ。『+×』に関しても、この本当はなかったはずの時間がプラスされたということでね。だとしたら、君はこれに対して何を感じてくれるの? っていう意味でこのタイトルを付けました。

-ところで、今作のレコーディングにはKuboty(ex-TOTALFAT)さん、勝田欣也(STANCE PUNKS)さん、Sxun(ex-Fear, and Loathing in Las Vegas)さん、Hisayo(tokyo pinsalocks/GHEEE/a flood of circle)さん、真太郎(UVERworld)さん、YU-KI(dustbox)さん、ISHIMARU(ex-SNAIL RAMP)さん、SEIJI(LAID BACK OCEAN)さん、SOHEIさんという面々が参加されているそうですね。このメンツは、YAFUMIさんの人脈を反映させたものということになりますか。

ひとりでやるっていうことは、自由がきくっていうことですからね。もちろんそのぶん大変なこともあれこれ出てはくるんだけど、今回は俺のほうからみんなに声を掛けていきました。自分の中では一応ふたつの条件があって、ひとつは過去に対バンしたことがあるとか、昔から好きで聴いてくれていたとか、うちのライヴに来たことがあるとか、"何かしらゼリ→の歴史に関わりがある人"っていうこと。もうひとつは、"何かを失ったことがある人"っていうことでね。そこを基準にして、彼らと一緒にやっていくことにしました。

-言い方を代えれば、YAFUMIさんと親交の深いすねに傷を持つ身の方々が招集されたとも言えそうですが......(苦笑)。

うん、その表現でも合ってると思う(笑)。ISHIMARU君なんかは、俺のやってたレーベルからCD出したこともある人だし。欣也君はゼリ→と一緒にツアー回ってくれてたからよく知ってる。Kubotyも前々から知ったし、彼は聴いててくれた人でもあるんですよ。Hisayoさんはtokyo pinsalocksで、よくゼリ→とやってました。Sxun君は昔から遊び仲間で、ちょうど彼がラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)を抜けてから話す機会があって意気投合したし、あのBLITZでのライヴがバンド脱退後初のステージだったっていうね。なんか感慨深いじゃないですか。そうそう、YU-KI君は初めて自分の意志で観に行ったライヴがゼリ→だったらしいです(笑)。

-そして、SEIJIさんに関してはLAID BACK OCEANで今でもご一緒ですし、真太郎さんについても双方のファンの間で仲がいいことは周知の事実でしょう。なんなら、先日のマイナビBLITZ赤坂公演にはTAKUYA∞(UVERworld)さんもお越しでしたね。

真太郎はね、時期的に言うとTAKUYA∞より先にゼリ→のライヴに来てたんですよ。なんだかんだで、もう彼らとも15年くらい前からの付き合いなんだよねぇ。ちなみに、SOHEIっていうヤツだけ今回のクレジットに肩書きとかが書いてないでしょ? 俺、そこもめちゃくちゃ気に入ってるんですよ。お前誰だよ! って(笑)。

-SOHEIさんは、勝田欣也さん、Sxunさん、ISHIMARUさんと共に来年1月17日から2月9日の新宿BLAZE公演まで続く[ゼリ→ 20th Anniversary Tour "+×" (plus times)]にも参加されることとなっているベーシストですよね。

SOHEIは、昔よく対バンしてたパンク・バンドのベーシストだったんですよ。好きなプレイヤーだったから久しぶりに声を掛けたんだけど、"今は音楽やっていないんですよ"って言ってて。だけど、誘ったら"それはぜひやらせてください!!"ってなって。才能あるヤツがまた関わってくれるのって、なんか嬉しいじゃないですか。今回のメンバーは、そうやってそれぞれの背景とか思いがあってここに参加してくれているんですよ。

-それぞれの背景と思いがあるという面では、"ROCKERS"と呼ばれていたゼリ→のファンの方々の今もきっと同じでしょうね。

だと思うよ。あれから20年経って、ロック・バンドをやり続けてきた、闘い続けてきた俺の人生がどうなっているのか。その姿を見てどう感じるのか。あの頃お前らがあんなにも妄信的に信じていたものは果たして幻想だったのか、それとも今でも信じられるものなのか。俺としては、そこをぜひ検証してほしいよね。つまり、ゼリ→という存在をひとつの軸にして今は大きな群像劇が進行していってる感じなんじゃないのかな。そこがまた、俺としてはグッときちゃうんだよね(笑)。