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INTERVIEW

Leopardeath

2019.07.09UPDATE

2019年07月号掲載

Leopardeath

Member:purple(Vo)

Interviewer:杉江 由紀

試される大地 北海道より、Leopardeathは世界をも目指しながらここからの活動をより本格化させていくことになるという。結成11年のキャリアを持ちながらも、紆余曲折を経てこのたび発表されることとなった1stフル・アルバム『雪月風花』は、まさに渾身の仕上がりになっていると言っていい。"正統派ヘヴィメタル、90年代イエテボリ系メロデス+デスラッシュを見事に具現したエクストリーム・サウンド"を標榜する一方、日本のバンドならではの情緒に訴え掛けるメロディ・センスと言語感覚を持つ点も大きな武器となっていくに違いない。ここでは紅一点ヴォーカリストであるpurpleから、今作についてとくと語ってもらおう。

-このたび、Leopardeathは1stフル・アルバム『雪月風花』を発表することになったそうですが、そもそも激ロックへの登場も初めてになるそうですので、まずはこのバンドの生い立ちと概要について教えてください。

結成自体は2008年なので、Leopardeathのキャリアとしては今年で11年になります。拠点は札幌で、今もいるオリジナル・メンバーはギターのMasahiroとギター&ヴォーカルのMasayoshiということになりますね。途中、メンバーの脱退があって3年くらい活動休止をしていた期間があったんですが、2015年に私が加入しました。私が入る以前は基本的に北海道内だけで活動をしていたんですが、ここ近年は北海道外にも目を向けた活動をするようになっています。今回、1stフル・アルバム『雪月風花』をリリースすることになったのも、ここから活動をより本格化させていくのにあたって、音源の面でちゃんとまとまったものを出しておこう、というところから制作が始まりました。

-少し話は遡りますが、purpleさんが2015年に加入された際にはどのような経緯があったのでしょうか。

実は私、Leopardeathのファンだったんですよ(笑)。当時、すでに自分もバンドをやり始めてはいたんですけど、知り合いに誘われて行ったライヴでLeopardeathを観てめっちゃ好きになってしまって。そこから毎回ライヴに行くようになり、そのうち活休になったときに"寂しいな"と思っていたんです。ところが、その後2014年に前のヴォーカルさんが脱退するとなった段階で、急遽"歌ってくれないか"という話が来まして。そのころ私は札幌ではなく東京に引っ越していたのですが、そのまま加入しました。

-ということは、現状purpleさんは遠距離バンド活動をされているのですね?

そうなんですよ(笑)。普段のリハは楽器隊と私で別々にやっていて、ライヴやレコーディングのときなんかに顔を合わせる感じになってます。新曲とかはライヴ当日に初めて合わせることもあるので、そのへんはちょっと大変ですね。

-かつてはLeopardeathのファンでいらした、ということを前提にさせていただきますと、purpleさんから見たLeopardeathの魅力やバンドとしての武器というのは、主にどのようなところにあるのでしょうか。

楽曲の良さですね。私はヴォーカリストなので、特に歌メロの部分を見てしまうことが多いんですけど、そこだけじゃなくてLeopardeathの場合はツイン・ギターのハモりも、本当に息がピッタリ合った状態でツイン・リードをやってくれるんですよ。そうやって曲全体がメロディックに聴こえるところは、このバンドの大きな強みだと思います。

-では、purpleさんご自身はこのバンドの中における役割についてどのようにお考えになっているのかも教えてください。

加入した当初は、"私でいいのか?"とかなり悩んだことがあったんですよ。というのも、前任のヴォーカルの方は男性ですごくカッコいい方だったんですね。私が入ってからはもともとあった曲たちのキーも変わりましたし、いろいろな面でプレッシャーを感じることがかなり多かったんです。ただ、そこから徐々にメンバーが私向けに作った曲を増やしてくれるようになって状況が変わっていくことになりましたね。メイン・コンポーザーでリーダーのMasahiro(Gt)から送られてくるデモ音源が、とにかく毎回どれもカッコ良くてテンションが上がってしまうんです(笑)。これだけ素晴らしい曲を作ってくれた以上は、それをさらに映えさせるような歌詞を書いて歌を歌いたい! という気持ちがどんどん強くなっていって、現在に至っていますね。

-なお、今回の1stフル・アルバム『雪月風花』には全11曲が収録されていることになりますが、やはりこれらはpurpleさんが加入されて以降に作られたものが多いのでしょうか。

基本、私が入ってからできた曲たちばかりです。一部、Leopardeathが活休していた間にMasahiroとMasayoshiと私が一緒にやっていた別バンドの曲が入ってますけどね。それは「Diva of moon」と「Darkness and Respond」の2曲となります。

-その2曲がいずれも全編英詞となっているのは、その影響ですか?

まぁ、そうですね。別バンドのほうでは日本語と五分五分くらいの割合で英詞曲も結構やってました。

-ちなみに、今作中では「Beacon of Counterattack」も英詞となっておりますが、それでいてアルバムのタイトルは"雪月風花"ですし、曲タイトルの面でも"舞風"をはじめとして"花嵐"、"憧憬転生"、"催涙雨"、"光芒の奏多"、"朧月"、"浅春の候"と、和のセンスを感じさせるものが多く並んでいる印象です。このようになった理由についてもぜひ知りたいです。

私が加入する以前から、Leopardeathは和テイストや仏教的なイメージを持った曲が多いバンドだったんですよ。そこは私も継承したいと思っていたので、主に日本語で歌詞を書くようにしていったんです。と同時に、今回のアルバム・タイトルを"雪月風花"と決めたのも私なんですが、これは1枚通して日本の四季を感じられるようなものにしていきたいなということを意識して付けました。

-歌詞の中でも随所に季語が取り入れられているのは、そのためだったのですね。そうした一方で、サウンドメイクの部分についてpurpleさんから各メンバーへ何かしらのオーダーを出すようなことはありましたか?

あんまりないんですけど、「Beacon of Counterattack」に関しては当初Masahiroがつけてくれたメロディと比べると完成形はガラっと変わりました。でも、そのくらいで他はアレンジも含めて音の面でこちらから要望を出すことはほとんどないです。

-今作の宣伝用資料には、"正統派ヘヴィメタル"ですとか"90年代イエテボリ系メロデス+デスラッシュ"といったキーワードたちも並んでおりますが、その「Beacon of Counterattack」については昨今のモダン・ヘヴィ系の音像と聖歌のようなコーラス・ワークが融合した仕上がりになっているようにも感じます。

ある意味、この曲だけちょっと毛色は違いますよね(笑)。個人的にシンフォニック・メタルが好きなのもあって、この曲にはそういった要素をたくさん盛り込みました。あのハモりは、Masahiroがレコーディングの現場で構成してくれました。

-それから、Leopardeathではpurpleさんがメイン・ヴォーカルをとられておりますが、Masayoshiさんとのツイン・ヴォーカルが展開されている曲も今作には多く収録されています。purpleさんがクリアで伸びやかな声を聴かせている反面、Masayoshiさんはデスボやグロウルを多用されていて、対比がうまく活かされているのもこのバンドの大きな特徴のひとつだと言えそうですね。ヴォーカリストおふたりの間では、うまく共存していくためのディスカッションなども時おりあるのでしょうか。

2015年に『Re:boot』というミニ・アルバムを出したときには、私自身、"正直ここは同時に歌わなくてもいいんじゃ......?"みたいに感じていた曲もあるんですけど、今作に関してはその共存が前よりもスムーズにいったのかなと思っています。と言っても、別にふたりでの話し合いとかはしてないんですよ。曲を作ってくるMasahiroと、"ここは私が歌うんだよね。そして、ここはMasayoshiだよね。あぁ、ここはふたりで被せるんだね"みたいな確認作業を一応するくらいです。私は普段、札幌ではなく彼らとは離れた東京にずっといるので、たぶんMasahiroとMasayoshiの間でもそういう意思確認はそれなりにしているんじゃないですかね。

-なるほど。第三者からみるとその構図は少し不思議にも思えますが(笑)。purpleさんとMasayoshiさんはそれぞれに異なる特性を持っていらっしゃるわけですし、そのくらいの距離感があったほうがむしろ自然なのかもしれません。

ふたりのヴォーカリストがクリーンとグロウルを織り交ぜながら一緒にやっていく、というのがこのバントにとっての大きな売りだということは当然お互いによくわかっているわけですしね。その部分は今回のアルバムでもしっかりと活かせたと思います。

-各メンバーの個性が存分に活かされているという面では、歌詞カードに各曲のギター・ソロをMasahiroさんが弾かれているのか、Masayoshiさんが弾かれているのか、それぞれ明記してあるのも聴き手にとっては親切なつくりであるなと感じます。

ウチはわりと歌モノのバンドとして捉えられることも多いんですけど、"Leopardeathはギターもすごいことをやってるんだぞ!"というところを、Masahiroとしては改めて推したかったみたいです。もちろん、私も推したいんですけどね(笑)。