INTERVIEW
KHRYST+
2019.05.16UPDATE
2019年05月号掲載
Member:BYO(Vo) QUINA(Gt) IЯU(Ba) JIN(Dr)
Interviewer:藤谷 千明
元SCREWのBYO、JIN、そして新鋭 QUINAとIЯUを迎えて、2018年秋に産声を上げたKHRYST+。始動以来、その動向に注目が集まっている彼らだが、本人たちはこの半年弱の活動について、厳しい言葉を口にしていた。その経験を踏まえてリリースされる、ダブルAサイド1st EP『贖罪』にも、"現状を打破したい"という熱い想いが込められている。廃人と化していたBYOがJINと共に再スタートを決意し、そこに志を同じくしたQUINAとIЯUが共鳴したという結成の経緯から、紆余曲折あった1st EPの制作、そしてバンドを取り巻く現状まで、"KHRYST+の現在"についてメンバー全員に話を訊いた。
-昨年の秋に活動を開始したKHRYST+ですが、まずは結成の経緯を聞かせてください。
BYO:前のバンド(SCREW)が解散して、すぐに音楽をやるという気分にはなれなくて。何ヶ月かは廃人と化していました。とはいえ、ラスト・ライヴのDVDの作業もあったりして、JINとは会いたくなくても、顔を合わせなきゃいけない状況でした(笑)。
JIN:会いたくなかったの?
BYO:それは冗談だけど(笑)。それで一緒に作業をしながら、近況を話したりしているうちに、心が動かされたというか、またバンドをやるならドラムはJINがいいなと。本人ははっきり口にはしてないけど、僕と音楽をやりたいという雰囲気だったので、暇つぶし程度に曲を作り始めました。それが思いの外、新鮮で面白かったんです。それがきっかけで、またバンドをやりたいと思えるようになりました。
JIN:SCREWが解散したあとも、水面下で作曲活動をしながら、表ではサポートやセッションをやりつつ、音楽への気持ちを繋いでいる状態でした。そんななか、BYOから"一緒にやろう"と誘われ、また気持ちに火がついたというか。
-そして、QUINAさんとIЯUさんは、かつてNihilizm(※2013年始動、2016年解散)というバンドを組んでいました。当時から、そのサウンドはSCREWと音楽性が近いというか、共通点が多いように感じていたので、おふたりがBYOさんとJINさんとバンドを結成すると聞いて、"なるほど!"と納得したんです。
QUINA:おっしゃるように、音楽性や音楽について目指している部分が似ていたんです。Nihilizmの頃から一緒にやっているIЯUとまた音楽がやりたくて、いろいろなセッションに参加していたんですが、その最中にBYOちゃんたちから声を掛けてもらって。やりたい音楽も一致していたし、パズルのピースのように、ヴォーカル、ドラム、ギター、ベースが揃っていたこともあって、運命を感じたんです。
IЯU:音楽性はもちろんですけど、音楽そのものに対しての志が高いというか、バンドをやっていくうえで、妥協のない人たちとやりたかったんです。BYOちゃんは、今まで自分の周りにいなかったタイプで。ヴォーカリストってバンドの顔だと思っているから、いい意味でワガママでいてほしいし、表現者でいてほしいんです。
BYO:僕はハチャメチャですよ!
IЯU:(笑)いろんな意味で、想像がつかないというか、予測できない人の方が一緒にいて面白いと思ったんですよ。
-フロントマンであるBYOさんが中心となって、バンドのコンセプトを考えているとうかがっています。"受難と復活"から来たバンド名も含めて宗教色の強いテーマになったのは?
BYO:"ちょっと強すぎるかな?"と、最近反省しています。
-もうですか。
BYO:コンセプトをしっかり立ててやることは、大変素晴らしいことだと思うんですよ。だけど、キッチリしすぎることで逆に入り口を狭めている気もして。もう少しバランスをとっていけたらいいのかな。
-それはこの半年弱、ライヴを重ねてきたことを踏まえての判断ですか。
BYO:このシーンに実際足を踏み入れて思ったことですね。宗教的というか、僕らの国を作りたいと思って、このバンドを始めたんです。でも、そこにこだわりすぎるのもどうなんだろうと。もう少し自由に今後いい方法を練っていけたらと思います。
-前作『BASALT』(2018年リリース)は、"0thミニ・アルバム"という触れ込みでしたが、『贖罪』は満を持して"1st EP"を掲げています。このタイトルは、どういう意味が込められているのでしょう。
BYO:これがね......わからないんですよ。なぜこのタイトルになったのか。この言葉を見つけたときに、惹かれるところがあって、気がついたら"贖罪"にしていた。むしろ、わからないからタイトルにしたというか。ただ、人間という生き物は原罪を背負って生きているのだと思っています。
-収録曲のクレジットは作詞がBYOさん、作曲はバンド名義となっています。原曲はどなたです?
BYO:「SACRED」、「LET'S SING ALONG」がJINで、「クラクラ」がQUINAです。
JIN:基本BYOの案に基づいて作っていて、BYOの注文があって、それをみんなで練っていった感じです。「クラクラ」は収録されることが決まっていたので、そことは差別化を図りたいこともあって、「SACRED」は宗教感もありますが"THEロック"なイメージですね。最初に持っていったものとテンポ感も全然違います。
BYO:練ってるうちに行き詰まってきたんですよね。そういうときは、だいたい僕がよくわからないことを言うんです(笑)。"イントロはこう、Aメロはこう、サビはこういきたい"とか言って、そこから音にしていくんですけど、上がってきたものを聴いて"いや、違うな~"の繰り返しで。イメージはあるけれど、実際にできる音とズレがあって"JINちゃんがんばってよ~"っていう(笑)。
JIN:まぁ、難しいですよね。音って人によって感じ方が違うので、言葉にできない部分もありますし。
QUINA:僕は今回ギター面のアレンジは、かなり気に入っています。デモを聴いたときにパッと閃いて、迷わず"こういう方向性だろうな"と、目指しているものが見えた感じがあって、すぐアレンジに入ることができました。
IЯU:今回の2曲のベースは苦労しましたね。ロックなサウンドですし、自分の色を出したいと考えたベースのフレーズが固まらなくて。『BASALT』を作ったときに、BYOちゃんのメロの乗せ方の癖とかもなんとなく掴めたので、そこから今回も"こういう感じで乗せてくるだろうな"と想像して作りました。紆余曲折を経たけど、最終的にきれいにハマって気持ちいいフレーズになった。満点です!
BYO:いや~、本当に完成に辿り着くまでが大変でした! 『BASALT』のときとは比べようがないくらい。『BASALT』は初ライヴの前から制作していたので、やりたいことをやって"これがすべて正解だ!"と自信に溢れてたんですけど、実際にこのバンドでこのシーンに触れたら、頭の中がごちゃごちゃになってしまって(笑)。
-正解が見えない状態で、手探りでやってきたと。
BYO:そうですね、「SACRED」の歌詞も贖罪を意識しているというよりは、現状を打破したいという想いを込めています。今は自分が思い描いていたヴィジョンに辿り着けていないので。
-それは数字的なものでしょうか。あるいは?
BYO:すべてですね。
-なるほど。例えば、SCREWやNihilizmが活動を終えた2016年から、現在まで約3年近いタイムラグがあります。シーンの温度感も結構変わっていると思いますが。
BYO:僕からするとまったく別物ですね。お客さんやライヴも変わったように思います。
QUINA:おっしゃるように、温度差みたいなものは感じます。そこに対して自分たちは、もっと伝えるにはどうすればいいのか、という模索はありますね。『BASALT』を出して、ライヴを重ねていって気づかされた部分、修正点というと語弊がありますけど、それが今回の『贖罪』の3曲には表れているとは思います。