INTERVIEW
アイスクリームネバーグラウンド
2019.03.07UPDATE
Member:らんご(Vo) じろ~(Vo) みき(Gt/Vo) えいむ(Gt) ぼぶ(Ba) じゃふ(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
走り、跳び、さらには転がす。先だって新体制になったばかりのアイスクリームネバーグラウンド(通称:ING)が、このたび発表した3rd EP『ランナーズハイ』は、そのタイトルにも表れているとおりスポーツをモチーフとして全編が制作されたという。かねてよりライヴのことを"運動会"、参加するファンのことを"ライブアスリート"と呼称してきたバンドだけあって、ここに来てさらなる強化がなされた今作は、音の面でも歌詞の面でも極めてハイパーな1枚に仕上がっていることは間違いない。リアルに激しい運動量が要求されるというライヴ活動を続けながら、鍛練に鍛練を重ねてきたINGの本気が大炸裂するこのEPで、彼らは加速度を増していくことだろう。
-新生アイスクリームネバーグラウンドとしての初音源であると同時に、3rd EPでもある『ランナーズハイ』がこのたび発表となります。今作はそのタイトルどおり、全編にわたってスポーツをモチーフとした楽曲たちが勢揃いしておりますが、そもそもING(アイスクリームネバーグラウンド)ではライヴのことを運動会、参加するファンのことを"ライブアスリート"と自ら称しているそうですね。
ぼぶ:結成当初から、うちのバンドではライヴのことを運動会って呼んでるんです(笑)。自分自身がライヴ・キッズとしていろんなバンドのライヴに遊びに行っていたころ、"一番面白かったライヴってどんなのだったのかな?"って思い返してみると、だいたいいつも汗をかいた量と比例していた気がするんですよ。楽しければ楽しいほど運動量が多くなるっていうことは、ライヴというかもはや運動会なんじゃないかという発想から、バンドのコンセプトとしてライヴを"運動会"と呼ぶことにしました。
-その前提を踏まえつつ、今作『ランナーズハイ』ではより大きな運動量を生み出しそうな楽曲とサウンドが1枚のEPに集約されることとなったようですね。
ぼぶ:これまでと比べても、『ランナーズハイ』の曲たちはどれも爆発的に運動量が増えていると思います。
-各楽曲たちは、すでにライヴでも演奏されているのですか?
ぼぶ:いえ。まだライヴではやっていない曲ばっかりです。ここからライヴでやっていきたいな、と思うような曲たちをいろいろ作っていったら今回の4曲が揃った感じですね。新体制になったこともあって、今回は作詞作曲をすべて僕がやっていくことになりました。
-なるほど。ちなみに、この新体制になったことによりアイスクリームネバーグラウンドにもたらされた利点としては、主にどのようなことが挙げられますか?
じゃふ:新しく入ったみきさんとじろ~さんのふたりと、もともとヴォーカルをやってくれているらんごさんがフロントですごく頑張ってくれているので、前よりもINGとしては成長している感じがします。
らんご:ライヴでの煽りの雰囲気とかも、この体制になってからはガラっと変わりましたね。バンドとしての力強さが出たんじゃないかと思いますし、やってて僕はとてもやりやすいです。
えいむ:ライヴのパフォーマンスが良くなったのはもちろんですし、今回の『ランナーズハイ』を作っていくうえでも、歌う3人の声色をそれぞれきちんと効果的に使い分けることができるような曲を、ぼぶさんが書いたというのも大きいと思います。たぶんこの曲たちをライヴでやっていくことになったときには、これまで以上にお客さんたちをキョロキョロさせることになるんじゃないですかね(笑)。
-ではここで、新加入されたみきさんとじろ~さんにも話をうかがってまいりましょう。まず、みきさんにとって現段階でのINGの居心地はいかがですか?
みき:実は今日この取材の前に入ってから5回目のライヴをやってきたばかりなんですけど、普段は運動をしないのでINGのライヴは結構ハードです。まだ生で実際にはやってないですけど、今回の『ランナーズハイ』に入っている曲の中には、1曲で300回くらいジャンプするものがあるので、ここからまたさらに頑張っていかなきゃなと思ってます(笑)。
らんご:毎拍飛ばないといけないからね(笑)。
-じろ~さんはINGに入られて今どのような手応えを感じていらっしゃいますか?
じろ~:さっきも話に出たように、今のINGには僕を含めてヴォーカルが3人いるので、お客さんたちに対してたくさんの情報量を提供できるようになっているんじゃないかな、と感じていますね。楽しいエンターテイメントな要素は、もっとここから増やしていけたらいいなと思ってます。とにかく、INGでは僕自身も思いっきりはしゃげるところが楽しいです(笑)。
"走ることしか考えてなさそうな曲にしよう"というのがテーマでした(笑)
-そういった意味では今回『ランナーズハイ』に収録されている曲たちも、まさにはしゃげるようなものばかりに仕上がっている印象です。レコーディングをしていくうえで、みなさんがどのようなスタンスでいらしたのかも知りたいです。
らんご:それが、案外そこはちゃんとしてました(笑)。
-やはりそうでしたか。たしかにどの曲も豪快に弾けるサウンドにはなっていますけれど、先ほどじろ~さんもおっしゃっていたように、INGは音の面でもかなり情報量が多く詰まっているので、これを作品としてまとめていくには相応の手腕が必要だったのではないかと思うのですよ。
ぼぶ:正直それはありますね(笑)。
えいむ:今回ぼぶさんはどの曲も丸々デモを作ってきたんですけど、その時点でも完成度はすごく高かったです。だから、僕らとしてはそれをコピーしていくような感覚に近かったんですよ。あとは個々でそこに"こんなことします"とか"こんなことしてよ"って話し合いながら、それぞれアレンジを加えていって完成させたのがこの『ランナーズハイ』なんです。
-なお、今作中においてリード・チューンにあたるのは「エンドレスリレー」です。こちらの楽曲を作っていく際、ぼぶさんが意識されたのはどんなことでしたか?
ぼぶ:やっぱり運動会っぽい曲を作りたいなという気持ちがあって、僕の中では運動会というと"走る"イメージが強かったんですよ。過去には、「迷走ランナー」(2018年3月リリースのミニ・アルバム『ライブアスリート強化計画』収録曲)という前任メンバーであるみっき~(Vo)さんが作った曲もあったんですけど、それとはまた違うやり方で走る感覚を曲にしたらこういうものになりましたね。"走ることしか考えてなさそうな曲にしよう"というのがテーマでした(笑)。
-と同時に、この「エンドレスリレー」は4分ほどの曲であるにもかかわらず、歌詞がA4の用紙3枚いっぱいの文字量になっているのも驚きです。
ぼぶ:いやー、歌う人が3人も4人もいるので言葉数も増えちゃいました(笑)。
らんご:うちはギター・ソロがないっていうのもひとつにはあるよね。間奏がないぶん、ひたすら歌で攻め込んでいく感じになるんです。
-歌の割り振りはどのようにして決めていったのですか?
らんご:ぼぶさんからデモが上がってきた時点で、ここは誰のデスボ、ここは誰のクリーンってすでに決まってました。
ぼぶ:まず全体の構成を作る段階では、いったん息継ぎのタイミングは無視して展開を作り、そこからヴォーカルごとへ分担と調整をして、なんとか成り立たせています。普通ならある程度曲中に隙間などを持たせて、余裕を作ったりすることの方が多いと思うのですが、そういった大人な作り方は未だできてません(笑)。
-せっかくですので、この「エンドレスリレー」について特にここを頑張りましたという点を、メンバーのみなさんからアピールしていただけると嬉しいです。
らんご:とりあえず、ドラムは泣きながら叩いていたよな(笑)。
じゃふ:まず時間がなかったんですよ。毎回のことなんですけど、僕らのレコーディングに関してはぼぶさんが日程を決めるんですね。そうすると曲ができて2~3週間後には本番の録りになってしまうので、「エンドレスリレー」も結構タイトでした。そして、それこそ運動量という点でもこの曲はこれまでで一番だったので、とにかく身体の筋肉に休憩を与える隙が一切なかったです。たいていどんな曲でもどこかしらには休める瞬間があるものなんですけど、この曲ばっかりはほんとになくて。終始ずっと激しいのでスタミナが必要でした。INGの曲をコピーするなら、技術よりスタミナがないと絶対ダメだと思います(笑)。
みき:たしかにー!
-そこは各パートに共通しているのかもしれませんね。ベーシストとしてのぼぶさんが、この「エンドレスリレー」を弾くときに心掛けたのはどんなことでした?
ぼぶ:「エンドレスリレー」に関しては、サビが来るたびにその裏で違うことをしましたね。でも、そのくらいかな。ベーシスト的には「習慣燃焼PYONPYON」の方が、死ぬほど頑張って弾いてます!
らんご:僕からするとこの曲はAメロのシャウトがものすごく高くて、正直もう自分でも何をやっているのか途中でよくわかんなくなってきたくらいでしたね(笑)。シャウトもデスボも多いので、そういうところで頑張りました!
みき:この曲では、サビを3人じゃなくてえいむさんも入れた4人で分担してやっているんですよ。それぞれの個性がよく出ているし、私も自分らしさが出せたと思うので、聴いていても飽きないです。
らんご:"あなたの好きな声はどれ?"っていう聴き方もできるよね。
じろ~:スタジオでレコーディングしているときの感じが、"まさにこれはエンドレスリレー"でした。次々とバトンを渡していく感じで歌っていったので、その感じがみんなに伝わったら嬉しいですし、ライヴでもそれを表現していけたらいいなと思ってます。
-3人どころか4人で歌っていくというのは、なんとも圧巻ですね。
えいむ:他の3人と歌い方やニュアンス感がなるべく被らないように歌う、ということは僕も気をつけました。なおかつ、ギター・フレーズも速いパッセージだったり、急にテンポが変わったりする展開の多い曲なので、そこの切り替わりをはっきりと感じさせるようなプレイを心掛けてます。じろ~さんの言うとおり、ヴォーカリスト同士もそうですし、メンバー同士の間でちゃんとリレーをしていって、1曲が完成していくように意識はしていましたね。歌詞カードを見ながら、"ここは誰が歌ってんねやろ?"みたいな感じで楽しんでもらえたら嬉しいです。あと、ライヴに来たらぜひキョロキョロしてください。"えっ、次はこの人が歌うの?"ってきっとなると思います(笑)。