INTERVIEW
the Art of Mankind
2018.12.17UPDATE
Member:sawacy(Vo) Wooming(Gt) Kenkawa(Gt)
Interviewer:増田 勇一
-好きこそものの上手なれ、というやつですよね。ところで"Archetype"というアルバム・タイトルが意味するのは"典型"ですよね。自らの作品にこの言葉を掲げるというのは、むしろ珍しいんじゃないかと思うんですが。
sawacy:たしかに。今回も基本的には全体を通して憤りだとか悲しみの気持ちを歌っていて、世の中にはいろいろなタイプの人間がいるな、ということを自分でも感じさせられて。そこからこの言葉が出てきたんです。
-そういう感情からまっすぐ生まれた音楽の典型、という意味なんでしょうか?
sawacy:それもあります。何しろ音から受けるイメージを言葉にしていて、曲の印象がそのまま歌詞になっているわけなんで。そういう側面もあるかな、と思いますね。
Kenkawa:そう言われてみると、今回の表題曲を作ったときに自分でも感じたのは、これはこのバンドの定番というか、このバンドらしさが固まったような曲だな、ということで。ライヴでの定番というのとは違うんだけど、自分たちとは何か? みたいなもの。特に新しい冒険をしているわけでもないけど、平凡な曲にしようとしたわけでもないし。そういう曲にこのタイトルが付いたのも、なんか面白いですよね。
sawacy:実のところ、その曲が出てくる以前にこの言葉はあったんですけど、全体を通してそういうイメージがありました。
-自分たちのど真ん中にあるもの、としての典型。これがそうなんだ、と自分たちの側から堂々と言えるのは強いのかもしれません。
Kenkawa:そうですね。実際、迷いはないですからね。曲調とかについても、これが自分たちだ、という芯の部分については揺らぎもまったくないし。だから自分でも"典型"と言い切れるというか。
-ただ、ここでアルバム評とかで"メロデスの典型"とか書かれると腹が立つはず。
一同:ははははは!
sawacy:でも、そういう意味では典型的じゃないはずだし、これをやってる国産メロデス・バンドっていないですからね。だからその点では、典型って言ったもの勝ちというか。要するに、自分たちにとっての典型は世の中の典型とは違うってことだと思います。
-なるほど。ところで今作は2枚組仕様になっていて、disc-2には自主製作EPの『AXIS』(2016年リリース)に収録されていた4曲が再録されています。これは単純に、今現在の自分たちの基準で録り直してみたいという欲求からだったんでしょうか?
Wooming:もちろんそれもありますけど、まず曲自体のクオリティが今に劣ってるとは思わないし、今後ライヴでやっていきたいわけなんですよ。ところがEP自体はもう手に入らなくなってるんで、"じゃあここに入れよう"と。あとは単純に"2枚組って面白くね?"みたいな(笑)。未発表的な扱いでアルバムの中に組み込もうか、という話もあったんですけど、そもそもが『AXIS』というひとつの世界に則った曲たちでもあるんで、そうするのには無理があるかな、と。だから結果的に、こうして分けることにしたんです。
Kenkawa:僕としては、ライヴで今後やりたいというのももちろんありましたけど、録り直したいという気持ちの方が強かったですね。改めて聴いてみると、今にして思えばこうしたかった、みたいな箇所が結構あったんで。例えば1曲目の「Beyond Redemption」は僕の曲で、以前の音源では僕が全部自分で好きなようにやってたんですけど、今となってはちょっとこのバンドっぽくないところがある。そこに今回、Woomimgさんが手を加えてくれて、より今の自分たちらしくなった。そういう意味では曲も成長してるし、ここ1年の経験を反映できてるんじゃないかと思います。
sawacy:原曲とBPMは同じはずなのに、いっそう速く聴こえるようになっている曲があったりもするし、楽曲に対する全員の思惑が一致してるからこそ、そういう差が生じてるのかなと思いますね。
-2019年は、このアルバムを引っ提げてどのように活動範囲を広げていくことを望んでいますか?
Wooming:単純に、CDを手に取ってくれる人が増えて、ライヴにもたくさん人が来てくれたらいいなと思いますね。とにかくライヴは増やしていきたいです。ライヴをたくさんやりたいからこそCDを出したはずなのに、今回の制作のためにライヴの誘いを断らざるを得なかったこともあったので。そうなっちゃうと本末転倒じゃないですか。ライヴ・バンドとしての経験はまだまだだと思うんで、そこはもっと頑張っていきたい。それによって、もっともっと本物のバンドになれるはずだと思うんで。
sawacy:海外のすごいバンドとかを観ていると、変な話、実際に音を出す前からカッコ良かったりするじゃないですか。のちのちそういうレベルに自分たちを押し上げていくためにも、ライヴでの自分たちというのを鍛えていきたいですね。
Kenkawa:もっとライヴでのクオリティを上げていきたいし、ライヴ活動の面でもこのバンドの存在を広めていきたいですね。どちらかというと、これまでは制作面に集中してきたところがありますけど。
Wooming:うん。お客さんと触れ合う機会というのをもっと持ちたいんです。アルバムの感想とかをもっと直接聞いてみたいというのもありますし、もっと愛されるバンド、愛される人間になりたいです。
-どういう意味です?
Wooming:僕らは基本的に、家にしばらくこもって音楽を作っているような人間の集まりで。僕なんかは特にずっとそういう20代を過ごしてきたので、これからはもっと気持ちを外に向けて、愛される人間になっていきたいんです。バンドってやっぱり、お客さんから応援してもらわないと成り立たないわけじゃないですか。音楽が第一ではありますけど、人間的にも。だから、もっと応援したいと思ってもらえるようなバンドになっていきたいなと思います。