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INTERVIEW

NAZARE

2018.11.16UPDATE

2018年11月号掲載

NAZARE

Member:澪(Vo) 妖(8-strings) うた(Ba) 壱世(Dr)

Interviewer:オザキ ケイト

-特に「幸福論」のギターはスウィープの応酬になってますね。

妖:どの曲でも言えることなのですが、単音系のフレーズやソロなどは僕に任せてくれているんですよ。「幸福論」はこのバンドで8弦ギターを使って初めて作った曲だし、壱世さんからデモが送られてきて聴いたときのインパクトが凄まじかったので印象深いです。最初に映像として出す曲でもあるし、一発目ということでインパクトを残したかったので、ギター・ソロの尺自体はそんなに長くないんですけど、この小節にどれだけの音数を詰められるかを突き詰めました。

-"幸福論"というタイトルは、NAZAREのような凶暴な音を出すバンドでは珍しいタイトルのように思います。

澪:この"幸福論"というタイトルにはすごく皮肉を込めてあります。というのも僕自身が人の死に直面した際に、それに対する取り巻きの在り方が皮肉だなと感じていて。死に直面してもなお、結果的に自分が生きてしまっていることへの皮肉です。ちなみに「災禍論」という曲は「幸福論」のアンサー・ソングになっていて、「幸福論」が激しいのに対して「災禍論」はバラードで、歌詞も「幸福論」のその後を描いています。

-澪さんは全曲作詞をされていますが、どんなことを意識して書かれましたか?

澪:もちろん作曲者からイメージを聞いて詞を書いたものもあるんですけど、直感で書いたものや、明るい曲調なのにめちゃくちゃ暗い詞を書いたものが多くて、バンドではあるんですけど僕は僕で好き勝手やらせてもらいました。

-この手のバンドだと英詞を用いるバンドが多いなかで、日本語メインなのは何か意識されてますか?

澪:日本人だから日本語を使いたいというのと、英語だと歌詞を見ても意味が伝わりづらいというのがあるので、英語を使う場合は響きの良さを重視しています。

-その日本語で歌われる歌詞の内容から全体的に喪失感を感じます。

澪:意外と失恋系の歌詞が多いからですかね。僕自身メタル系の音楽って普段あまり聴かなくて椎名林檎さんとか柴田 淳さんをよく聴くし、歌詞も奥が深くて面白いので影響を受けているかもしれません。だから本当はこのバンドをやる前は弾き語りをやろうと思ってました。

-意外な過去です。なぜNAZAREのような激しいバンドをやろうと思ったのでしょうか。

澪:単純に自分はこういうバンドをやってる方が客観的にかっこいいと思ったのと、僕が書くような歌詞をメタル・サウンドに乗せるバンドはいないので、面白いんじゃないかなって。

-うたさんはいかがですか?

うた:僕はステージングを重視したいので自分で作った曲のベース・ラインは簡単に作っていて、それを壱世さんに投げると簡単だったはずのベース・ラインが難しくなって返ってきます(笑)。でも人間やればなんとかなるもので、毎回上がるハードルをなんとかクリアしていってますね。

-それは先ほどの自分がやりたい音楽だからという発言にも繋がるように思います。

うた:そうですね。もちろんベース・ラインを簡単にすることもできるんですけど、壱世さんの考えたベース・ラインのままの方がかっこいいと思うので、それはもう弾けるようになるしかないんです。

壱世:4人組なので、どうしてもキックとスネアとギターとがっちりユニゾンさせないと気持ち良くないんですよ。だから、難しくしてるつもりはないんです。でも、日々成長してるってことですね。

-壱世さんにベース・ラインを難しくされたとおっしゃっていたうたさん作曲の「受難」は、疾走感溢れるメロディアスな曲ですね。

うた:ヴィジュアル系っぽいですよね。ヴィジュアル系とメタルのいいとこ取りをしたくて、でも僕が作るとどうしてもヴィジュアル系寄りになってしまうので、壱世さんがアレンジしてくれてちょうどいいところに落としどころを作ってくれました。

-同期のアレンジが印象的です。

うた:そこは個人的に好きなのもあるんですけど、僕が捨て切れてないお客さんのウケを狙ってしまうところがまだ残っていて、それが出たのかもしれないです。

-曲調は非常にメロディアスで聴きやすいのに対して歌詞は絶望感が漂っています。

うた:今年の頭に身近な人を亡くして、それに対して思うことがあって、目を背けたかったんですけど、それでも向き合わないと、と作った曲で、そのイメージを澪君に伝えて歌詞を書いてもらいました。

-そんなことがあったんですね。

うた:もちろんこのことを忘れるつもりはないんですけど、この曲ができたことで自分なりの結論が出てひと段落ついたような感じです。なので自分で作ったというのも含めて特別な曲になりました。

-壱世さんはいかがですか。

壱世:あまり凝りすぎないように、シンプルに。中でも曲のテンポ感に関してはかなり気を使っています。個人的にBPM120と240は同じだと考えているので、そこを意識して被らないようにまとめていますね。ドラムに関しては特に何も意識せず、これが俺かな! というドラムを叩きました。

うた:(小声で)かっこいい......。