INTERVIEW
IBUKI
2018.06.15UPDATE
2018年06月号掲載
Interviewer:杉江 由紀
-きれいにそつなくまとまっている歌よりも、多少ピッチがズレていたとしても熱量の高い気持ちのこもった歌の方が、より胸に響いてくるというケースはよくありますものね。
だから、今回のアルバムでは何よりも聴いたときに"伝わるかどうか"というところに徹底してこだわりました。あらゆる面で。
-だとすると、先ほどお話に出てきた「Falling Bird」と「ExMyself」以外で、今作中において特に感情移入の度合が強かった曲はどちらになるでしょう。
アルバムの最後に入れた「Sky above」です。歌詞を読んでいただければその理由はわかると思うんですけど、これは素に戻ったとき私自身が見上げた空みたいなものについて書いた曲なんですね。このアルバムの中で、一番これは素直でありのままの自分が出たなと思います。それだけに、歌っていても感情移入の度合も深かったんですよ。
-「Sky above」は、曲調の面でもとても自然でニュートラルな仕上がりですね。
バンドをやっていた時代の、昔の私のことをよく知っている人たちからしたら、これは意外に感じる面かもしれませんね。でも私、ポップスな曲も好きなんです(笑)。
-かと思えば、今作には「Deserted memory」のようなバラードも収録されています。これも、歌う人としてのIBUKIさんの魅力がじわじわと伝わってくる曲です。
これは自分が思っていた以上に、まずはマネージャーとエンジニアさんからの評判が良かった曲ですね。そもそもは、ライヴに来てくださっているファンの方たちから"バラードを聴きたい"という要望がいくつも出ていたので、これは今回その声に応えてアルバムに入れようと思いました。
-こちらの歌詞は、いわゆる恋愛を描いたものになりますか?
テーマは恋愛なんですけど、内容としてはダークになってます。メロディが切ないものになっているので、詞もそれに合うように書いていったら、だんだん切なさだけじゃなく絶望感まで出ちゃいました。過去の失恋の話を引き出しからいまさら引っ張り出してきたりしつつ、恋愛とは関係ないですけど自分の家族がもし亡くなってしまったら......みたいなことを想像しながら、この詞を書いていったからでしょうね。
-はたまた、「Break Out!」はリズムの質感が実に面白かったです。
ちょっとこれは、懐かしいノリのある感じだと思います(笑)。というのも、私は日本の90年代ソングが大好きなんですよ。そのエッセンスが、この曲には出ました。こういう要素も、自分にとってはルーツのひとつなんです。
-ルーツといえば、今作に入っている「Jealousy & Desire」はなんとIBUKIさんが10代のときに作られたものだったと小耳に挟んでおります。なかなかこれは、曲としても攻撃力が高いですし、歌詞もデカダンスでセンシュアルな雰囲気ですね。
これはですねー、まだ10代だったときに作ったものなだけあって、原形はもっと若気の至りな感じが満載だったんですよ(笑)。当時、Janne Da Arcが大好きだった影響もだいぶ出ているんだと思います。今回のアルバムへ入れるのにあたっては歌詞を一部変更しました。
-これは褒め言葉として受け取っていただきたいのですが、今なお全体から漂うこの厨二病感は素敵ですよ。
この曲、今になって歌ってみるとすごく難しいんですよ。自分で作った曲ではあるんですけど、この当時はあとで自分が歌うことを念頭に置かないまま好きなように曲を書いていたみたいで、ほんとにこれを歌うのは大変でした。もし良かったら、みなさんにも聴きながら一緒に歌ってもらえると、そのしんどさが伝わるはずです(笑)。
-ほかにも、今作にはワイルド&クールなサウンドとIBUKIさんのソウルフルな歌が堪能できる「shake your body」や、壮大なオーケストレーションを組み込んだ「un soldat」といった曲たちも収録されておりますが、今ここで1stアルバム『ExMyself』を見事に完成させたことは、IBUKIさんにとってさぞかし大きな達成感に繋がったのでしょうね。
当然、"これだ! カッコいいのできた!"っていう達成感は強かったですね。現時点でやれることをすべてやって、ようやく生み出したあとは一時期の落ち込みが嘘だったかのように、とても晴れ晴れとした気持ちになりました(笑)。
-さて。来たる7月14日には、今作のレコ発ライヴにして初のワンマンとなる"IBUKI 1st Album Release 1st One-man Live 「ExMyself」"が渋谷CYCLONEにて開催されることとなっております。こちらはどんなライヴになっていきそうでしょうか。
ソロ・シンガーとして、ここまで幅広い楽曲を自分で作って歌っている人はそういないと思うんですよ。そういったIBUKIの持っている唯一無二な部分を、ライヴでもみなさんに感じてもらえるような空間を作っていきたいですね。きっと、ライヴでは生ならではの臨場感であったり、そのときならではの歌い方だったりというのも加わってくると思います。ぜひ、CDで聴いたあとにはIBUKIの生の歌を体感しに来てほしいです!