INTERVIEW
KAMELOT
2018.04.24UPDATE
2018年05月号掲載
Member:Thomas Youngblood(Gt)
Interviewer:山本 真由
-そして「Amnesiac」は、動と静のコントラストが際立った構成や、キャッチーなメロディで特にライヴ映えしそうな楽曲ですが、ライヴで盛り上がる楽曲を作る、という狙いが初めからあって書かれた楽曲なのでしょうか?
そうだね、ライヴでやるときのことを想像するようにしているよ。今回のアルバムでは『Haven』の世界をちょっと反映させたかったけど、この曲は俺たちにとって「Insomnia」(『Haven』収録曲)との関連性が多々感じられる。似たようなフィーリングがあるんだけど、それはあんな感じの曲をまた入れたかったからだ。『Haven』に伴うツアーのとき、「Insomnia」がファンのお気に入りだったからだよ。コーラスもヴァースも含め、どの国でもファンは曲を通しで歌っていたんで、今回のアルバムにもそういうものを入れたかった。「Amnesiac」がそれに匹敵する曲になってくれればと思っているよ。
俺たちは単なるパワー・メタル・バンドではないし、単なるロック・バンドでもない。やろうとしている側面が実にたくさんある
-また「Burns To Embrace」は、壮大な楽曲を盛り上げる子供たちの合唱も魅力的な楽曲ですが、このコーラス・メンバーはどのようにして選ばれたのですか?
子供たちの合唱は、主にうちの息子が歌っている。自宅スタジオで俺がレコーディングしたんだ。10種類のパートをレコーディングしたものをまとめて、ヴォルフスブルクで録った他の声も編集して入れたんだよ。息子の声をレコーディングするのはとても楽しかった。アルバムに参加できると言って、息子がエキサイトしているところを見るのは楽しかったよ。
-ワンマン・クワイアですか(笑)。
他の人たちの声も入っているけど、息子の声が一番前面に出ている。8歳にしては、息子はとてもいい声をしているんで、ぜひともそうしたかったんだ(笑)。DVD収録のときには、フル・チルドレン・クワイアに歌ってもらうことになるかもしれないけど、ライヴにはぜひとも息子に参加してもらいたいと思っているよ。
-それは楽しみですね。美しいバラード曲の「In Twilight Hours」は、映画のサウンドトラックのような、メタルという垣根を超えた、作中でも際立った楽曲ですね。個人的には、メタル・アルバムの中にあるバラード曲というのは、メロディをじっくり味わえるのでとても好きなのですが、KAMELOTにとってバラード曲というのはどんな意味を持っているのでしょうか?
とても重要な意味を持っている。KAMELOTは、『The Fourth Legacy』(1999年リリースの4thアルバム)からは単なるメタル・バンドではなくなった。そして、単なるロック・バンドでもない。やろうとしている側面が実にたくさんあるんだ。その中で、アルバムにいいバラードをひとつ、ふたつ入れるのは重要なことだ。どのアルバムにも緩急がないといけないと俺は思っている。アルバムを映画と捉えているんだ。アルバムを作るとき、俺たちは最初から最後まで聴いてくれるファンのために作っている。その考え方をいまだに信じているんだ。消えゆくアートであることはわかっていて、今ではみんな曲単位で聴いているけど、俺はアルバムを最初から最後まで聴いてもらいたい。満ち引きがあって、多様で、アルバム全体のペース配分がところによって違うものを作りたい。だからもちろん、バラードはとても重要だよ。
-また、「Vespertine (My Crimson Bride)」は、フォーク・メタルにも通じるような、これまでにないメロディ・ラインが印象的な楽曲です。この曲のアイディアはどのように生まれたのですか?
ケルトっぽいことをやりたかったんだ。『The Fourth Legacy』でも「The Shadow Of Uther」でやったことがあったんで、今回もそれをちょっと使いたかったんだよ。「Burns To Embrace」と「Vespertine (My Crimson Bride)」でやったんだ。あと、東欧というか、中東っぽいメロディも入れたかった。「The Proud And The Broken」で聴かれる、あのシンプルなソロ・ピアノ・ラインはかなりそんな感じだ。ロシアのピアニストがこのピアノ・ラインを片手で弾いているようなところを想像してみたんだよ。今回のアルバムには音楽的に異なる要素を取り入れたかったけど、それはなされたと思う。特にフォーク・メタル・ソングでね(笑)!
-そして、日本盤のボーナス・トラックとして収録されている「Angel Of Refraction」は、非常にシンフォニック且つモダンなインストゥルメンタル・ナンバーですが、この曲をボーナス・トラックに選んだ理由は?
ボーナス・トラックはその都度感じが違うけど、今回はミュージシャンとしての腕をもっと見せられる、プログレッシヴな要素の入った曲を作りたかったんだ。カバーされにくい曲にしたかったんだよ(笑)。Oliverにそう言ったんだ、"ユニークだけどプログレッシヴな曲を日本向けに作ろう"とね。みんなプログレッシヴな傾向にあって、それをKAMELOTに取り込んでいたけど、超プログレッシヴなアルバムにしたいとは思わなかった。だから、それをボーナス・トラックでやれてすごく楽しかったよ。俺たちにとってスペシャルなことだったんだ。当初はヨーロッパ盤用ボーナス・トラックとしてやろうと思っていたけど、突然日本用にやることにしたのさ。
-今作を引っ提げての来日公演("KAMELOT THE SHADOW THEORY JAPAN TOUR 2018")も決まりましたね。東京(11月28日)と大阪(11月29日)での2公演になりますが、どんなライヴになりそうですか?
俺たちが期待しているのは、ファンがみんな来てくれること(笑)! 俺たちは日本が大好きだし、しょっちゅう日本のことを自慢しているんだ。たぶん、今度は家族と一緒に行くことになると思う。子供たちに日本文化を見せたいんだ。Laurenも同行する。彼女が日本に行くのは初めてなんで、日本のファンがいかに素晴らしいか彼女に見てもらいたい。渋谷O-EASTでプレイするんだ。今は違う名前なんだっけ。TATSUYA......。
-TSUTAYA O-EASTです。
あの会場が大好きなんだ。大きいんで、大掛かりなプロダクションができる。このときのライヴをDVD収録するという話を、レコード会社の人としていたんだ。日本の模様をDVDに収録したいんだよ。2019年にDVD/Blu-rayがリリースされるんで、日本の模様をそこに入れたい。だから、みんなにはこのライヴに絶対来てもらいたいんだ。あともちろん、大阪のファンのためにプレイするのも大好きだ。大阪の夜はいつだって素晴らしい。というわけで、新しいプロダクションを日本に持って行くのを楽しみにしているよ。
-ツアーのゲスト・ヴォーカリストとしてLauren Hartを選んだ理由は?
彼女はクリーンも歌えるし、グロウルも知られているからだ。ONCE HUMANのファンなら、彼女がすごくユニークなグロウラーであることを知っている。彼女のグロウルのスタイルは違うんだ。もうちょっとガテラルかな。俺は、彼女の声に潜むあのユニークなところが大好きなんだ。クリーンでヘヴィなヴォーカル、ルックス良し、個性ありだから、ツアーに連れて行くにはうってつけなんだよ。