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INTERVIEW

E.T

2017.11.07UPDATE

2017年11月号掲載

E.T

Member:浩(Vo) 一星(Ba) 亜星(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-相方といえば、ドラムにとって演奏上での相方はベーシストになるかと思いますが、一星さんはE.Tにおいてどんな部分を担っていることになるのでしょうか。

一星:このジャンル全般のありがちな話でいくと、たいていベースはギターとユニゾンしたりだとか、ギターのフレーズをなぞりながら展開していったりすることが多いと思うんですよ。もちろん、僕も基本はそうやって音を作っていくようにはしているんですが、あえてそこを外したフレージングをすることも結構あります。

浩:自分ならではの"味"を出すようにしているわけね。

一星:そうそう。普通のヘヴィ・ロックやメタルらしくないベースを、原曲の枠組みを壊さない程度に入れていくっていうことを積極的にやってます。だから、ドラムの方には合わせるけど、意図的にギターとは違うアプローチをとったりすることもあるんですよ。歌やギターの邪魔になりすぎないギリギリのところで、攻めさせてもらってます。

亜星:結果カッコよければ、なんでもアリでしょ。

一星:今回のアルバムの中で言えば、MVにもなっている1曲目の「Still Alive」が、リズム隊的には最も捻くれた音になっていると思いますね。

浩:これは、僕からも結構オーダーをあれこれ出したんですよ。

一星:まさに、そのオーダーが"思い切り捻くれてほしい"だったんです(笑)。

亜星:あまりにもアレンジに頭を使いすぎて、この曲を作っていたときはちょっと脳みそが痛くなりました(苦笑)。

-では、メイン・コンポーザーであり、歌詞も手掛けるなかで、ヴォーカリストとしての責務も果たしている浩さんは、今回のアルバムを仕上げていく際にどのようなことを強く意識されていましたか。

浩:"ミクスチャー"という言葉をここで使うのが適当なのかは、自分でもよくわからないんですけど......いわゆるラウドとかへヴィという枠の中だけには収まりきらない作品を作りたかったんですよ。激しいものが基盤にはなっているんだけれども、曲によっては叙情的な一面というのも感じさせたかったというか。何より僕自身が、うるさいばっかりの音楽って聴けないんです(笑)。

-たしかに、ずっと刺々しいばかりでは疲れてしまうことがあるかもしれません(笑)。

浩:激しいだけじゃなく、僕は無性にきれいな部分も欲しくなっちゃうんですよ。

-きっと、そうした想いが不定期開催のアコースティック・ライヴにも繋がっているのでしょうし、先ほど話題に上がった「Still Alive」についても、力強さと美しさが見事にコンフュージョンした楽曲に仕上がっていますものね。

一星:この曲は"アルバムを出すならMVも撮りたいね"という話がバンド内で出たときに、"だったら、それ用に別の新しい曲を作る!"と言って浩さんが持ってきたものだったんですけど、ヘヴィ・ロックどころかロックっぽさすらないところが、俺はこの曲の一番の魅力だと思っているんですよ。

-それは一理ありますね。と同時に、「Still Alive」は絶対的な普遍性を持った楽曲でもある気がします。

浩:そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。

一星:「Still Alive」はメロディ自体がまず歌モノとして完成しているし、普通のロック・バンドのバラードとはまた違う次元で音を仕上げることができたので、こういう曲でちゃんとMVを撮れたというのはバンドとしての新しい試みにもなったと思いますね。そして、リズム的にはちょっとファンクっぽいところがあるのもこの曲のポイントです。

亜星:そうそう! このリズム隊の音には黒さがあって面白いんですよ。

-ともすれば、激ロック読者の中には「Still Alive」を聴いて"あんまり激しくないじゃないか"と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あえてこの曲をアルバムのリード・チューンとしたところにこそ、わたしはE.Tの"他とは違う"優位性を感じます。

浩:曲を作った側からすると、聴いてカッコよければなんでもいいのかなと思っているだけなんですけどね(笑)。「Still Alive」に限らず、僕らはその時々でやりたいことをかたちにしているだけなんですよ。