MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

E.T

2021.07.07UPDATE

2021年06月号掲載

E.T

Member:浩(Vo) 將高(Gt) 一星(Ba) 亜星(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

10周年の節目を踏まえたうえで、E.Tは、このたび実に3年半ぶりとなるフル・アルバム『Between Sleeping and Waking』をここに完成させた。今年元旦より新ギタリスト、將高が正式加入したことにより、よりバンドとしての戦闘力を爆上げした彼らが放つ音はどこまでも貪欲であり、ひたすらに自由なもので、今作については全体的にもはやメタルコアという枠組みを超えた次元の、オリジナリティ溢れるものになっている印象が強い。なお、今作は7月25日に高田馬場AREAにて開催される"10th Anniversary ONEMAN SHOW「REASON」"より、会場での先行販売を開始するとのこと。みなさま方にはぜひともチェックしていただきたい!

-このたびは、1stフル・アルバム『DO NOT BELONG TO ANYTHING』(2017年リリース)に次いでの2ndフル・アルバム『Between Sleeping and Waking』をついに完成させたというE.Tのみなさんですけれども、本誌へは実に3年半ぶりでのご登場とあいなりますね。そして、ギタリスト 將高さんについては以前の取材(※2017年11月号掲載)後に加入されたそうで、初めましてとなりますから、まずは少しここまでのおさらいをしていただけますでしょうか?

將高:今年の元旦から正式加入しました。よろしくお願いします!

浩:將高は去年サポート・ギタリストとして参加してくれていて、当時は彼以外にも何人かのギタリストが順繰りに弾いてくれていたんですけど、最終的に將高が一番相性良かったというか、"合う"感じがしたので、入ってもらうことになったんです。

一星:音楽的な趣味が合ったっていうのはやっぱり大きかったですよ。

浩:それに技術的なものも高かったしね。

將高:ありがとうございます(笑)。僕はもともと別のバンドをやっていて、E.Tとは対バンをしたこともあったんですよね。しかも、メンバーとはすでに顔見知りではあったものの、僕は対バンするたびにいつも、フロアでライヴを観ながらリアルに感動していた人間だったんですよ。だから、最初にサポートの話を貰ったときもそうでしたし、正式加入の電話を貰ったときも僕はすごく嬉しかったんです。現状としては別バンドのほうも並行しながらやっているんですけど、自分の中ではすんなりと"やっていけそうだな"っていう気持ちになれました。

-ただ、この1年半ほどはコロナ禍の影響もありライヴ活動の在り方もそうですし、今作『Between Sleeping and Waking』の制作や、リリース時期にもなんらかの影響があったのではないかと思うのですが、そのあたりはここまでいかがお過ごしだったのでしょう。

浩:実際ライヴのペース自体には影響が出ましたけど、アルバムのリリース時期については今年がちょうどE.T結成10周年の節目なんで、もともと今年出そうと思っていたんですよ。だから、そこの影響は特にありませんでした。

一星:制作を始めたのは2年くらい前からだったので、コロナの前からじっくり作ってきたアルバムということになりますね。"2年後の10周年に2ndを出そう!"っていうヴィジョンのもと、ちょっとずつここまで積み重ねてきたわけです。

浩:もっとも、結局はここにきてちょっと焦ってはいますけどね。録り自体はスムーズに進んできたはずが、ミックスや、デザインみたいな最終段階になって意外と"時間が足りない......!?"ってなっちゃってます(笑)。

亜星:コロナ的なことで言えば、ドラム録りの段階でエンジニアが"ちょっと体調不良かも"ってなって、一時的にレコーディングが中断したっていうことも実はありましたね。そのしわ寄せが今に若干響いている、とも言えます(笑)。

浩:そういえば、そのエンジニアがコロナ疑惑で休んだときは、俺が急遽代理でエンジニア役をやったこともあったんですよ。今回「PLAN-A」は俺がスタジオでマイク立てて、自分のパソコン持ってって録りました。

-なんたがかんだで、コロナ禍の影響もあったわけですね。ちなみに、ここまで制作に2年の歳月をかけてきたとなると、場合によっては、"バンド内における旬の音"が途中で変わっていった可能性もあるのではないかと思うのですが、そのあたりについてはどのように対応されてきたのですか?

浩:そこは純粋に、その時々に作っていたものが"今やりたいこと"だったので、今回はそれが最終的にアルバムの曲数分だけ揃ったっていうことになります。あらかじめコンセプトや、テーマを決めていたわけではなかったぶん、自分らとしては常に自由な流れに任せながら作っていくことができた作品だったんですよ。

-なるほど、そういうことでしたか。

浩:基本的に曲は俺と一星が半々くらいの割合で書いているので、お互いに作ってきた曲のカラーも照らし合わせながら、"だったらこういう曲も必要かな"って、バランスを取りながら新しい曲を足していったこともありましたし。とにかく、その都度一番やりたいことをかたちにしながら、古くさいものだったり、時代遅れだったりする音にだけは絶対したくない! っていう強い思いを持ったうえで作っていたのが、この『Between Sleeping and Waking』なんです。逆に言うと、気にしてたのはそこくらいですね。

-曲作りとアレンジのあと、録りの一番手だったのはドラマーの亜星さんだったと思いますが。今作については"その都度一番やりたいこと"が具現化されているだけに、楽曲によってリズム・パターンもテンポも、かなり色彩が豊富になっていると聴き手としては感じました。これらを叩き分けていくにあたり、意識されていたことは何かありますか? チューニングにしても、細かくアプローチを変えていく必要があったのではないですか?

亜星:いつもレコーディングのときはエンジニアさんと話し合いをしているので、サウンドメイクに関しては曲ごとにそれぞれ最適なやり方をしていった感じですね。チューニング自体を曲単位で変えるということはなかったですけど、きっと録り方や、叩き方で音の表情が変わったところもあったと思います。

-根本の部分ではラウドロックとしての骨太さも大事にしつつ、より幅広い表現力が要求されたということなのでしょうね。

浩:でも、それは別に今に始まったことでもないでしょ(笑)?

亜星:たしかに。前からE.Tではいろんなプレイが必要になることは多かったので、今回はまたそれがさらに増えただけっていうことですかね。それに、アレンジに関しては各曲で作曲者とふたりで詰めていくことも多かったので、自分が何をすべきなのか、というのはどの曲でも把握しやすかったです。

-一方、新メンバーである將高さんは、今回のレコーディングに途中から参加されたことになるのだと思いますが、ギター録りはどのような手順で行われたのでしょうか。

將高:僕はほとんどノータッチで、ギターは今回ほぼ一星さんが弾いてるんですよ。僕は数曲のギター・ソロを弾いてるだけです。

浩:何しろ、將高は正式加入したのが今年の元旦でしたからねぇ。ギタリストが正式決定するまでに、3人でアルバムの録りの大半は終えていたんです。でも、何曲かのソロと最後に入っている「OVER」は曲全体も含めて將高がギターを弾いてます。

-ということはですよ。今回、一星さんは本業のベースも含めると膨大な作業量だったことになりませんか。

一星:かなりの作業量でした。普通にベースだけでも疲れるっていうのに(苦笑)。

-まれに、ギタリストがなんらかの事情によりベースも弾くことになったというケースは、これまでにも何回か遭遇しておりますが、ベーシストがギターも弾くことになったというケースは、相当レアなパターンであるように思いますよ。

一星:とはいえ、僕はいつも曲を作る段階でギターを弾いていますからね。そういう意味で、いざレコーディングとなっても、わりと自然に弾けたんですよ。

-そうしたなか、將高さんが何曲かでのギター・ソロや、「OVER」をプレイしていく際に心掛けられたのはどんなことだったのですか?

將高:E.Tの音に対して僕なりに新しい要素をつけ加えられたら面白いだろうな、ということは思っていましたね。例えば、「MOMENT」にジャズや、ボサノヴァみたいなフレーズが入っているのはそこを意識したからなんです。

-あのくだりからは今までになかった新鮮さを感じました。あれが將高さんならではの色だったのですね!

將高:僕自身としてもあれは新しい要素として思いついたもので、アレンジの件を一星さんと話をしていくなかで、アイディアを採用してもらった形だったんですよ。

-3年半前の前作『DO NOT BELONG TO ANYTHING』でも、E.Tはセンスのいい音を繰り出していましたけれど、今作『Between Sleeping and Waking』では、より垢抜けた音像が生み出されている印象です。將高さんによる差し色が非常に映えておりますね。

浩:ちょうどアルバムを仕上げる最後のタイミングで、いい人材が入ってくれました(笑)。