－バンドのケミストリーを楽しめるようになった？

島：そうですね。今のメンバーを信用しているんでしょうね。前のメンバーを信用してなかったわけじゃないけど......昔の自分は頑固だったのかなと。僕は今のメンバーと演奏することをエンジョイしてますからね。

久世：メロディに歌詞を合わせるときに、あえて英語と日本語の子音がスパッと出るように、ちょっと詰め込んでみたり、いままでの制作の中でも一番攻めることができたんですよ。歌い回しの面でもパワーだけじゃなく、何通りか歌い方を考えて、いろんなアプローチで攻めることができました。

－今作の最初のアルバム像はどんなものでした？

島：レーベルの担当者と話したときに、"どんなアルバムがいいと思う？"って聞いたんですよ。"メロディックなところや、スピード感のある曲がかっこいい"と言われました。それは実際の速さというより、ドライブ感ですね。それを踏まえつつ、今回はカラフルでバリエーションに富んだ作品にしようと。ストレートなロックンロールもあれば、跳ねたリズムのミディアム曲もあって、過去作以上に曲の振れ幅はあると思います。

－外野の意見を取り入れたのは初めてですか？

島：周りの意見に振り回された時期もあるし、外野の意見に耳を傾けない時期もありましたけど、おそらく今はバンドの状態がいいんでしょうね。どんなリクエストにも応えられる心の余裕があるのかなと。

－「Lift My Life」は今作の中でも毛色が違いますよね？

島：河塚のドラムならなんちゃって16ビートにはならないだろうし、ヘヴィ・メタラーの中易がベースを弾けば問題ないし、自分が跳ねモノのギターリフを弾いてもやわな感じに聴こえないから。この曲はプレイ的にも満足度が高くて、今のメンバーだからこそ成立させられた楽曲だなと。

－いわゆるヘヴィ・メタルとは違いますが、個人的には大好きな曲です。

島：僕も気に入ってます。4曲目にこういう曲があるからこそ、ヘヴィなものはよりヘヴィに聴こえますからね。

－歌い方も男臭くて、ほかの曲とは変えてますよね？

久世：声を張ってみて、倍音を出しましょうかって。

島：アダルトな感じも出てますもんね。剛球一直線だけじゃないですからね。

－「Don't Wanna Cry No More」は、RAINBOWの「All Night Long」をちょっと彷彿させます。

島：リフはそうですね。この曲こそ僕が考えたメロディそのままだと、それに近づきすぎんじゃないかと思って。この曲は久世のアイディアを活かしたから、それが良かったなと。以前なら、Ritchie Blackmoreになりすぎるから、やめておこうと言ったかもしれないけど、この曲の歌は久世に投げましたからね。この曲も今のメンバーだから、レコーディングしようと思えました。

－ルーツが見えても、自分たちなりに消化できるだろうと。今、島さんの中で様式美ハード・ロック／ヘヴィ・メタルという括りは意識されてますか？

島：それが昔から自分の中では意識してないんですよ。自分のプレイが様式美ハード・ロックと言われるなら、それでいいのかなと。

－わかりました。今後の予定を教えてもらえますか？

島：11月末から"CONCERTO MOON ～Prologue To Messiah Tour～"と題した東名阪＋1本のショート・ツアーをやろうと思っているんですよ。新作の曲もやりますけど、来年うちのバンドはデビュー20周年を迎えるから、このメンバーで普段はやらない、この機会を逃したら二度とやらないような曲をピックアップしようと。そして、来年の春にはこのアルバムに伴う全国規模のツアー、そのあとに20周年に絡んだ何かを企画してます。

久世：僕は2011年に加入しましたけど、どっしり構えられるようになったので、もっと大きなヴォーカリストになれたらいいなと。昔の曲を歌っても、自分が歌うのが一番いいだろ！ と言えるものを見せたいですね。今回はすごくいい作品ができた自信があるので、来年のツアーも楽しみですね。